Panasonic VP-7723A2017年12月04日 19時01分41秒

電子回路の開発には測定器がなければ手も足も出ない。最低でもテスターは必須。中学生になって、テスターを自由に使えるようになったときは欣喜雀躍したものだった。

次に必要なのはオシロスコープと周波数発振器。数十年前、オンボロのアナログ・オシロを使っていた。周波数特性があまりよくなく、定電圧回路の発振の有無が判別できずに困ったことがあった。その後、200MHzの分解能をもつTDS350を手に入れてからは、定電圧回路の開発に大いに役立った。

発振器も菊水MODEL 4500Aを手に入れてそれなりに重宝してきた。しかしサイン波の歪率が仕様で0.6%となっていて、とてもアンプの測定には使えそうもない。精密な歪率測定をするためには、低歪率発振器と歪率計が必要となるが、これまでなかなか手が出せないでいた。

しかしDynacoの改造も一段落し、Circlotronの開発に着手するにあたり、客観性のあるデータを世間の皆様に提供する必要性を感じ始めた。そこで思い切ってPanasonic VP-7723Aを入手することにした。もちろん新品など手が出せるわけがない。正常動作品でも躊躇する値段。手に入れたのはジャンク品である。

こういうものはハズレを手にすると悲惨な目にあうことは何度か経験してきた。それなりの目利きと覚悟が必要である。某オークションに出品されたときの説明によれば「歪率測定ができない」とあった。どういうことか不明なところがあるが、とにかく予算範囲内だったので落札。

届けられたものを開梱し、早速電源を入れてみた。説明通り、歪率測定のモードにしても数値が一切表示されない。その他の測定はできる。発振器も問題なく動作。

さて原因は何か。中を覗いてみると、発売されてから時間が経過している割には非常にきれい。ほとんどゴミが見えず、わずかにファンの周囲に付着している程度。ケミコンの劣化も目視では確認できない。焦げたところもない。

次にロジック基板を確認する。ご多分に漏れずバックアップバッテリーから粉が吹いていて、すぐとなりのSRAMに飛沫が降り掛かっている。周辺のパターンも錆が浮いている。テスターで念入りにチェックしたところ、幸いパターンの断裂までには至っていなかった。バッテリーの電圧も3.2Vで、低いわけではない。おそらくSRAMがやられているのだろう。早速、バッテリーとSRAMの代替品を手配した。これで正常動作してくれたら御の字である。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://john.asablo.jp/blog/2017/12/04/8741764/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。