Circlotorn3 位相補償の検討2019年10月06日 21時58分15秒

あれからずっと試聴を重ねてきた。エージングが落ち着いてくると、最初はよいバランスだと思っていたのがどうも高音が耳につくようになってきた。長時間聴いていられない。

無帰還アンプでは問題にならないのだが、高帰還アンプでは位相補償については十分な配慮をしなければならない。今回問題はそこに原因があると睨んだ。
そこでまず帰還抵抗に120pFをパラってみた(微分型補償)。最初はこれで良いかと思ったのが、やはりよくない。まだ足りないようだ。

そこで330pFに変更。こんどはドンピシャリで、聴いていてこれまでの印象とずいぶん違い、落ち着いて聴き続けることができる。出過ぎていた高音のエネルギーにマスクされていたものが一挙に聞こえてくる様子で、心が躍り出す。

今回のことから、位相補償がうまくできるかどうかで、アンプの出来不出来が決まることが改めてわかる。どんなにすばらしい部品とすばらしい回路でも、位相補償が適正でないとすべてが台無しになる。高帰還アンプが嫌われるのには、意外にこんな理由があったのかもしれない。

最終の回路図は以下の通り。

8Ω負荷時の10KHz矩形波は以下の通りで、まったくリンギングもオーバーシュートもなく美しい。
高域カットオフ周波数は130KHzで、当たり前だがシミュレーションと完全に一致していた。
Circlotron3はこれにてフィクスとする。
次は、仕掛かり中のKT88ppに移る予定。

KT88pp 回路図(暫定版)2019年08月27日 14時08分15秒

Dynaco Mk3のシャーシとトランス類を使ってKT88ppを作っていく。出力段はウルトラリニアをするが、それ以外の回路はすべて手を加えたオリジナルである。
回路図を見ておわかりの通り、初段と出力段が直結であるところに大きな特徴がある。

まずはアンプ部。
回路説明はまた別のコラムで行う。
次に定電圧回路。
プラマイで計4つの出力を出す。初段と出力段が直結なので、電圧変動がアイドリング電流に与える影響が大きい。そのためこのような措置が必要となる。
最後に電源関係。
コンデンサ類はすべてフィルム系を使い、電解コンデンサは使用しない。

Circlotron3 ついに完成2019年08月14日 20時56分26秒

前回からの変更点は以下の通り。

(1)WE420Aのヒーターを定電流点火とする。そのため、専用トランスを一台追加。整流は理想ダイオードブリッジ、電流制御素子はもちろんGaNである。

(2)GaNのG-S間抵抗を2.2KΩ VARに入れ替えた。

(3)終段のフローティング電源の仮想グランドとなる510Ωを 100Ωに変更した。というのは、どうしてもコモンモードノイズが乗り、高能率スピーカーでは無視できないほどの大きさで聞こえてしまうからである。

これで回路はフィクスとするので、回路図を掲載する。
まずはメインアンプ部から。
続いて初段の電源関係。
続いて終段の電源とプロテクター回路。ただし、プロテクター回路については、絵だけで詳細は省略してある。
最後にヒーターの定電流回路。
それで結果はどうなったのか。そのことは次のコラムで。

Circlotron3 改版2019年08月02日 19時55分50秒

猛暑のニュースが連日報じられるなか、当地も負けずに暑い日が続いている。先日は、三日連続熱帯夜が続き、観測を始めて以来の記録になったのだとか。我が家にはエアコンがないので自然冷房が頼り。熱中症にかからないよう、水分補給はこまめに。。

こうなると半田ごてを握ろうという気持ちにはなれない。ああして、こうしてというアイデアが頭に浮かんでも前に進まない。

それでも昨夜はとうとう意を決して半田ごてを握った。
理由はひとつ。Circlotron3の音が堅いのである。最初はエージング不足のせいだろうと高をくくっていたが、いつまでたっても変わらず、これは根本的に何か問題があることに思い至った。

実を言うと完成直後から気になっていたことがあった。アイドリング電流を目標値のIo=800mAに設定しようとすると、GS66502Bのゲート・ソース間電圧は Vgs=2.7Vとなる。そのためにはWE420Aのプレート電流が1.35mAでなければならない。Vp=300Vでなんとか流れたが、この真空管の限界を超えている。おまけにカレンミラー素子の電力消費量も大きくなり、発熱のためドリフトも無視できなくなる。おそらくこれが原因で音が堅くなっているものと推測。

対策は簡単である。G-S間の抵抗を1KΩとしていたものを2.2KΩにすればWE420Aのプレート電流は613uAに抑えられて、余裕のある動作が期待できる。おまけに発熱も劇的に抑えられるのでドリフトも少なくなるはず。

肝心の抵抗のことだが、ここはどうしてもVARにしたいところ。すでにTexas Componentsには注文してあるのだが、いまだに工場から出荷されずバックオーダーに入っているようだ。と言っても、到着を待ちながらこのまま我慢して聞き続けたくない。手持ちの抵抗で応急措置をするしかない。音に癖があって使いたくはないのだが進抵抗を持ち出した。

抵抗を入れた後、アイドリング電流と出力のオフセット調整となる。アイドリング電流は680mAとした。オフセット調整は非常にスムースでドリフトがほとんどなく極めて安定している。これには驚いた。
B2電圧は300Vから160Vへと大幅に落とした。それにともないVp-k電圧は157Vとなった。

さて音はどうなったか。予想は的中。あれほど耳に突き刺さり、心にも突き刺さった音の堅さは消散し、音のエネルギーが低い周波数域に美しく広がる。音に芯があって、Amazing Circlotronで感じた抑圧感などみじんもない。自由でありながら荒れところや奔放なところもなく、静かである。音に独特の粘りのようなものを感じるのは初段にWE420Aを採用したためであろうか。あるいは、出力段に採用したGaN素子(GS66502B)の色づけが非常に少なく、初段の良さが存分に発揮されているためと考えることもできる。 とにかくこの音は味わい深い。一年間苦労してきた甲斐が十分にあった。
こうしてCirclotron3本来の実力が発揮されたわけだが、これを進抵抗ではなくVAR抵抗にしたらどんな音になるのだろうか。

今後の作業予定。
  1) VARに入れ替え
  2) WE420Aを定電流点火にする(すでに回路は完成済み)

Circlotron3 回路図(決定版)2019年06月26日 19時57分03秒

試験走行で大きな問題がでなかったので、現段階でのフィックス版とし、回路図を公開する。

まずは増幅部より。前回からの変更点がいくつかあって、WE420AのプレートにあったMOSFETは削除し、教科書通りのカレンミラー回路とした。また初段のカソードに入れていた定電流回路も削除して抵抗一本にした。なぜかこの方が動作が安定する。
このなかのC3の機能について説明する。電源オンから約55秒後にプロテクタのタイマーが働くとTLP291がオンとなり、終段にアイドリング電流が流れる。そのとき、ラッシュカレントが流れにくくなるようにGS66502BのVgs間電圧がゆっくり立ち上がるようにするのがこのC3である。ゆっくりと言ってもわずか数ミリsecの話であるが、それでも効果があるようだ。
次に電源部。初段の整流にはWE412Aを投入している。+300V定電圧回路は無帰還とし、制御MOSFETにはGaN素子を使っている。発振などの不具合はなく、スムースに所望の電圧に設定できる。ただし、FETのQポイントはもう少し電流の少ないところにあるらしく、電源オン後に2V程度ドリフトする。

なお、保護回路については省略してある。

いまのところ、大きな課題はない。一つだけ挙げれば、ハム音がすること。高能率のフロントロードホーンを使っているのでどうしても気になる。ここは将来、WE420Aを定電流点火にするかもしれない。ただし、実装スペースがほとんどないのでどうするか。ゆっくり考えていこう。