Dynaco MK3の改造(12)2017年09月19日 20時08分10秒

CAEのデザインを参考にしてアレンジしたのが掲載の回路。
位相反転段を省略して初段と終段はRC結合となっている。

これまでは、三結、無帰還を特徴していたのが、こんどはUL接続、高帰還アンプとなった。シミュレーションでは、歪率などで大きな改善がみられるようだが、さて実機ではどうなるか。

昨日、外に出した電源トランスを載せるための板を目的のサイズに切り出し、サンダーでヤスリがけした。板厚は30mmあって、木工店を営む知り合いからただ譲っていただいたもの。ストーブで燃やすつもりだったという楓材の端切れ。手動ノコできれいに仕上げる自信がないので、わざわざ電動ノコまで買った。これは便利。

まずは現在のアンプを解体するところから作業が始まる。完成するまでの間、サークロトロン・アンプに戻す。

戻して驚いた。思いのほか良い。
Dynacoがすばらしいと言っておきながら、その欠点が目立つようになると、サークロトロンの良さが引き立ってくる。とにかく細かな音がよく出て、解像度抜群。Dynacoに負けずきちんと音が前に出てくるところも良い。ただし欠点があって、妙な響きがつきまとい、明らかに初段が理想動作をしていないのが気にかかる。初段をWE420Aにすればかなり歪率が改善することがシミュレーションでわかっている。Dynacoが一段落したら、次はそこに手をつける予定。

電源トランスを外に出すのは、第一にトランスのうなりと振動を抑えることが目的だった。よく考えてみると、外出し電源はDynacoアンプだけではなく、他にも使い回しができるということであって、300Bシングルアンプにはもったいないほどの容量があり、うってつけではないか。
そうなると、300Bシングルへの道程は容易なものとなるだろう。サークロトロンの次の目標となる。

Dynaco MK3の改造(11)2017年09月19日 19時37分36秒

最初は大いに感動した改造版であったが、時間が経つにつれだんだん欠点も見えてきた。

雄大なのはいいのだが、繊細さに少々かけていて「大味」という印象が拭えない。加えて、低音が緩み加減で、細かな音階が聞こえてこない。なにかがまだ不十分なのだろう。

こんなとき、やみくもにカットアンドトライしても、真空管アンプの経験が浅い者には徒労で終わる可能性が高い。先人たちの汗水たらした成果から謙虚に学ぶことが一番確実である。

しかし、世の中にはいろいろな回路が出回っていて、目移りするばかり。どれが本物か、見分けが難しい。迷った末に目をつけたのがCurcio Audio Engineeringである。MK3のアップグレード・キットを販売している小さな(多分)会社である。セールストークによれば、様々な回路を長年検討してきたとある。また購入者のコメントも載せてあって、それなりの自信があると見た。
幸いなことに回路を公開してくれている。これを参考にさせていただいて、初段をもう一度作り直すことにした。

Dynaco MK3の改造(7)2017年09月04日 21時04分57秒

いろいろ試行錯誤した結果、掲載の回路に落ち着いた。
昨夜に完成したが、出てきた音が非常に素晴らしい。現在常用機となっているサークロトロン・アンプの上を行くだろうと予感がする。

使用している真空管は以下の通り。

Genalex KT88 Gold Lion (Reissue made in Russia)
Siemens E88CC Gold pin
松下 GZ-34

オークションで手に入れたときは中華製の真空管が刺さっていた。 音はそれなりで、ぱっとせず、Dynaco MK3はこんなものかと興ざめしたものだ

真空管パワーアンプは初めての経験で、改造を始めるときは不安もあったが、やってよかった。とまどうようなトラブルに遭遇し、苦労もあったが過ぎてみれば良い勉強になった。

バイアス回路にリップルフィルターが入っているが、これはおそらく不要なはず。
特徴は、電源回路に20Hのチョークトランスを入れたこと。Dynacoについていたオリジナルのチョークトランスは1.5H。当初、ハム音が盛大に聞こえてきて、この原因を探るのに手を焼いた。最初に電源トランスと出力トランスの電磁誘導を疑ったが、はやばやとシロと判明。
次に疑ったのがバイアス回路。それでリップルフィルターが追加となった。しかしこれもシロ。

プッシュプル回路だから、B電源にリップルが少々あっても大丈夫だろうと思いこんでいた。しかしラジオ技術誌をひっくり返してみると、新忠篤氏の記事に同様のトラブルのことが記載されていた。原因はB電源のリップルである。

対策をどうするか。チョークトランスが手元にある。最大電流が100mAでインダクタンスは20H。タンゴのNo-10483という型番。アナログ親爺様から以前にいただいていたもので、やっと日の目を見させることができた。
問題は実装方法で、シャーシにはどこにもスペースがなく、外付けしたため、まるで犬のしっぽのような姿になった。 やってみるとピタリとハム音がなくなった。
対策前のB電源のリップルは、デジタルオシロで計測すると200mVrms。対策後のリップルは24.7mVrms。絶大な効果である。

最後に残った課題は、電源トランスのうなりである。けっこううるさくて耳につく。根本的な解決は、電源部を独立させてトランスを防振するしかないと考えている。

Dynaco MK3の改造(3)2017年08月23日 22時03分53秒

その後、ああでもないこうでもないと思案した結果、結局掲載の回路に落ち着いた。本当は、初段のプレート負荷抵抗(回路図では100KΩ)をもっと低いものにしたいのだが、そうするとゲインが不足する。どこかで妥協するかことも必要だ。

とにかく頭のなかでは音が出ない。一度作って評価し、そこから少しずつ手を加えていく方法を取る。

Dynaco MK3の改造(2)2017年07月29日 20時43分34秒

もっとも優先度の高い改造ポイントは、バランス入力に変更することである。Mk3はPK分割によってホットとコールドに信号を分割している。それがバランス入力になればPK分割は不要となるので、回路は大分シンプルになる。

この場合、初段にはQuadのように五極管をもってくるのが一般的であろう。しかし、手もとにはMT型の五極管がない。かつて大量にあったのだが、もう使うことはないだろうと思って、全部売り払ってしまった。

あるのは6DJ8である。できるだけ手持ちの部品だけで改造するとの制約を守ろうとするなら、ここは譲れない。しかし、三極管一本ではゲインが不足する。Counterpoint SA-20のように二段にすればゲインは稼げる。しかしそれではどうも面白くない。

そこで考えたのがカスコード接続である。これならゲインを確保できる。これまでの経験から、初段の周波数特性が音の品位に影響するとの感触があるので、周波数特性が改善されるカスコード接続はなおさら好都合である。

初段の構成が決まれば、後は難しいところはない。出力段は改造なしで使える。現時点での回路図を掲載する。

回路はシンプルで美しいと思うのだが、出て来る音が素晴らしいかどうかは全く自信がない。やってみないと何とも言えない。

改造作業は、大きく分けて三つある。
1)初段部分をユニバーサル基板に組んで、オリジナルの基板と交換する。
2)バランス用レセプタクルコネクターをシャーシに取り付ける。これはちょっと手間がかかる。
3)電源トランスのうなりを止めたい。止められるかどうかは、カットアンドトライになりそう。