GaN 単段アンプ その9 (たぶん決定版)2021年04月10日 20時45分26秒

あれからいろいろ聞きこむうちに、違和感を覚えるようになった。エネルギースペクトルが高い方に偏り、神経質で緊張を覚える。 以前素晴らしい音を奏でていた GaN 単段アンプ その6 に戻したはずなのに、なぜこんな音になったのか。

いま「戻した」と書いたが、実を言うと2点だけ異なるところがある。一つは、カスコードアンプの上側(Upper side)のゲート電圧の固定方法が異なること。もう一つは、NFB抵抗で前回は47KΩで、今回は100KΩ。確かに100KΩではゲインが高すぎて使いづらいことはあった。しかし、音味まで異なるとは。これが原因なのか。

このことを確かめるために、NFB抵抗を47KΩに戻すしかない。
結果、以前の音が出てきた。緊張させるようなものが取り去られて、安心して音楽に没頭できる。NFB抵抗の値でここまで音が変わるのかと驚く。おそらく最適NFB量が存在するのだろう。

さて、残った課題は何かと思い巡らしてもなかなか思いつかない。せいぜい、電解コンにフィルムコンかオイルコン(WESTCAP)をパラるくらいか。なんだか目標がなくなると、張り合いがなくなって困った。

GaN 単段アンプ その8 (おそらく決定版)2021年04月03日 22時07分13秒

そこですべてGaN素子に戻したのだが、ついでに回路を見直して、無駄なところをそぎ落とした。回路は以下のとおり。
できあがった姿はこのとおり。基板の上の部品はこれだけ。実にシンプルで気持ちがよい。
以前使っていた部品を戻したのだから、熟成までそれほど時間はかからないと思う。それでも両チャンネルが完成してまだ24時間経過したばかりなので、堅いところが残っている。

それでも、LU1014D版と比べて出てくる音が全く違うのはすぐにわかった。一個の部品でこうまで差が出るのだから、これがオーディオのおもしろいところであるし、また恐ろしいところでもある。

これらのことからごく控えめに言えば、こうなる。
GaNはA級アンプに使っても非常に高い能力を発揮する。

もっと積極的な言い方をするなら、こうだ。
GaNはA級アンプで最もその性能を発揮することができ、出てくる音は他の素子よりも抜きんでている可能性がある。

GaN 単段アンプ その72021年04月03日 21時32分34秒

Nelson PassのZen Variations 9 には、LU1014Dが使われている。手元には以前にeBay経由で購入したLU1014Dがある。こうなると、LU1014Dの音を確認したくなる。

一度完成した2021年3月15日版に手を入れ、基板を作り直す。回路が単純なので作業は手間取らない。おまけに自己バイアスなので調整も簡単。1時間あまりで片チャンネルが完成した。

回路は以下の通り。
完成したアンプの姿。
放熱器には、秋月で売っているアルミ基板に載せたLU1014DとGS61004Bが見える。なお、鳴き止めのために上からかぶせてある細長のアルミ板にはGS66502Bとあるのはご愛敬。
そこで出てきた音なのだが、一聴して「涼しい音」である。うるさくなくて、透明感がある。これだけ聴けば不満なところがない。ところが、GaNアンプをすでに聴いている。あの音に比べると、奥に引っ込んでいて力がない。低音も薄く、足がない幽霊のようだ。

それだけならまだ我慢できる。じっと聴いていると知らないうちに気分が暗くなり、身体の調子までおかしくなるのには困った。
LU1014DはJFETに分類される。実を言えば、これまでJFETを使ったアンプを散々作ってきて、あの暗くて抑圧的な音に辟易してしまい、生涯使わないと心に決めていた。それが今回使う気になったのは、Nelson Passが推奨しているからということだけ。ところが、やっぱりダメだった。

ということでオールGaNタイプに戻る。

GaN単段アンプ コイル巻き2021年03月18日 20時24分11秒

さて、一番最後に残った課題がコイル巻き。いろいろノウハウがあるだろうということは、ずぶの素人でも予想はできる。これも身銭を切って学ぶしかない。

しっかりとしたものを作りたければ、旋盤なみの剛性を持った巻線機が理想だとはわかるが、コイルを巻いたこともない者が最初から用意するわけにはいかない。今回は、とにかくコイル巻きのノウハウを学べればよしとして、目標は高く置かないことにした。

まずは肝心の巻線機。
板きれは車庫にあったものを探してきた。ほかの金具はホームセンターで調達。手前のボビンがオヤイデから購入したときに巻かれていたもの。奥にあるのが巻いた後のコイルの姿。
直径11mmの中空パイプにコイル長さ20mmで巻いていく。できあがり直径は約100mmとなった。側板は、ネットで購入した3mm厚の円形アクリル板。

巻いてみるとすぐにわかるが、最初の4層目あたりまではなんとか整列巻きができても、その後はガラ巻きなってしまった。0.8mm銅線では難しい。
それからこのような薄型円盤の形状で巻いていくと、側板に力が加わわって外側に膨らんでコイルが崩れていき、大失敗した。トロイダルトランスの円盤状押さえ金具で両側から挟んで対策をしたらうまくいった。

決まった長さで最大のインダクタンスを得るためにはこのような形状がよいらしいと当たりをつけたのだが、どうもあまりよくなかった。よくない理由はもうひとつあって、電流によって発熱するのは当然として、問題はその熱をどう逃がすかである。この形状では中心部分の熱が外部に拡散する経路がほとんどなく、温度が上昇する。いっぽう外側は熱が拡散しやすいので温度はそれほど上がらない。無駄に温度上昇による抵抗分が増えることになる。

とにかくそんなこんながあって巻いた姿がこれ。一番外側は弾性接着剤でまとめた。
アンプに入れ込んで、50時間エージング経過したあたりから音が落ち着いてきた。ところで肝心のインダクタンス。製作前は100mHを目標としていたのに、作ってみたら45mHしかなかった。オヤイデのガラ巻き状態とほとんど変わらず。TESLAサイトの計算ではうまくいくはずだった。このような極端な形状では誤差が大きく出るのかもしれない。その点も今回の反省点である。

GaN 単段アンプ その62021年03月15日 22時43分58秒

あれからいろいろと、GaN素子の最適バイアスがどこにあるのかを考えてみた。もしかしてVdsが小さいところにあるのか。そうなれば、カスコードアンプにするしかない。
このアイデアは、Nelson Pass のZen V9がオリジナルである。あそこでは、三極管特性を持ったLU1014Dを使っていて、これもいつかは試してみたいと思っているが、いまはGaNを追求するのが先である。

ということで、回路図は上のようになった。
VR1でアイドリング電流を設定し、VR2で下のGaNのドレイン電圧を3Vに設定する。ただしVR1とVR2は互いに影響し合うので、交互に調整する必要がある。

回路は一見複雑そうに見えるが、単段アンプに数個の部品を追加するだけである。
下は実装した状態。
放熱器が2個取り付けられるタイプだったので、ちょうどよかった。ちなみに放熱器は、手でずっと触れていられるくらいの温度なので、だいぶ余裕がある。

それで音なのだが、これがまた大きく変化した。ひずみ率は残念ながらカスコード化する前とほとんど同じなのに、どうしてこんなに違うのかと不思議である。

GaNは入力容量が小さいので、そのままでも高周波特性が伸びて不満がなかった。ところがカスコード化すると、音がすうっと上の方に伸びていて、改造前の音にはストレスがあったことが初めてわかる。カスコード化は必須である。これでやっとGaN本来の持ち味を発揮させたことになるだろうか。