Dynaco MK3の改造(25)三結・無帰還に変更2018年01月03日 21時35分49秒

みなさま、あけましておめでとうございます。

元旦は仕事が入り、我が家は昨日から3日間の休みをいただいている。この時期としては気温は高めで吹雪にもならず、まことに静かな正月である。近くの公園では小さな子供がソリ遊びをしている声が聞こえてきた。

さて、「年の初めのためしとて♪」の懐かしい歌にあるように、昨年からの課題に挑戦する。
ターゲットはDynaco MK3。改造当初はメリットに目が行ったが、時間が経つにつれデメリットが目立ってきた。音が前に出るのは良いのだが、どこか詰まっている印象がつきまとう。気になり始めるとどうにかしたくなるものだ。

それで結局、三結、無帰還になった。
改造は簡単で、片チャンネルなら30分もかからない。KT-88のスクリーングリッドは一般に100Ωから1KΩ程度の発振防止用の抵抗をシリーズで入れる。以前は510Ω抵抗を入れていた。今回は、省スペースの目的もあってちょうど手元にあったファインメットビーズを使ってみた。
回路図は以下の通り。

U1とU3のカソード抵抗270Ωはそのまま残してカソード同士をジャンパー線で接続する。こうすると初段は差動増幅となり、ゲインが増大する。測定したら仕上がりゲインは31dBとなった。ちょっと高めであるが、ゲインが高いと音も躍動感が増すように感じるのでこのままとする。

作りっぱなしではいけない。早速歪率を測定する。
周波数による歪率の差はわずかで、ほぼ揃っている。カーブは典型的な無帰還アンプそのものである。スピーカーシステムの能率が高いので5Wまで測定しておけば十分である。
シミュレーションと比べると実測値とおおよそ一致した。
ちなみに、このときに KT88のアイドリング電流は55mAに設定している。
周波数特性を測定したら、-3dBポイントは35KHzであった。

さて、出てきた音はどうか。
実にいい。何か今までつっかえていたものが取れ、のびのびしていて気持ちが良い。心まで晴れやかになってくる。やはりアンプは無帰還に限るのか。それとも、高帰還アンプで良い音に仕上げるためにはそれ相応のノウハウが必要だということだろうか。

ただ気になるのは、ダンピングファクターが小さいためなのか、低音がボンつく場合がないでもない。これを抑えようとすると、おそらく全体に活気が失われていく可能性がある。これは今後の課題だろう。

YAMAHA JA-4202 修理2018年01月25日 19時19分47秒

数週間前、左チャンネルに使っていたYAMAHA JA-4202から音が出ていないことに気が付き、調べてみるとDCR=1.5Ωになっていた。正常な方は, DCR=8.1Ωなので、これは明らかな異常。

しかし、スピーカーの故障といえば断線が圧倒的に多いはず。それが完全なショートでもなく、中途半端な値で抵抗値が小さくなるとは、理由がわからず頭を抱えてしまった。

早々にこれは素人の手に負えないと判断し、YOSHIDAスピーカーリペアサービスさんに修理をお願いした。昨年、GAUSSの故障でお世話になったばかりである。

ダイアフラムを確認したら、ボイスコイルと引き出し線との接続部分が腐食しており、ほとんど外れかかっていることが判明。当初観察された、DCRが低くなる現象とどう関連するのかは不明だが、とにかく不具合があったことがわかったので、修理してもらうことに。

数日前に修理が完了し戻ってきた。その日は外気温が非常に低かったせいで、ドライバー本体に触れると非常に冷えている。室温にならしてから音だしして動作確認。当然のことだが正常に出音。ほっと胸をなでおろす。

中古品を買うなら腕の確かなショップからにした方が良い。少々値段が高くても、長期にわたる安定性と信頼感には代えがたい。
どうしても安くあげたいのであれば、それなりのリスクを覚悟して臨むべきであろう。

ネットワーク2018年01月25日 19時32分26秒

ここ数週間、Dynaco MK3改造版とサークロトロンアンプとを交互に取り替えながら試聴を続けている。最初はボンついていた低音が落ち着いてくると、不思議な事にどんどん音が変わっていく。スピーカーはエージングが済んでいるものと思っていが、どうもそうではなかったらしい。アンプの力でエージングが加速されたのだろうか。

結局、中音ドライバーに使っている GAUSS HF-4000のレベルをどんどん落とすことになリ、気がついたら以前に比べて2dB程度減衰量を増やしてやっとバランスが取れた。

一方、ツイーターのJA-4202は、これまで0.1uFでHPFとしていたものが、もう少しレベルを上げたくなった。それで、試しに0.47uFに交換したところ、低音の姿かたちがよく見えるようになリ、こちらが正解となった。使用したのはロシア製テフロン・コンデンサである。手に取ってみるとずしりと重い。

以上のような経過をたどった結果、現状は以下のような配置に落ち着いた。回路図ではピンとこないので、珍しくポンチ絵を書いてみた。
これを見て、何かの間違いではないかと思わない人はいないだろう。
3Wayである。教科書によれば、6dB/octでつなぐなら少なくともLとCがそれぞれ2個必要なはずで、それが、LとCが1個ずつしかないとは。。ど素人のやることは、これだから困ったものだ、とお嘆きになる気持ちはわかる。

私も実際に教科書通りに部品を揃え、音を聴いてみた。ところが活気がなくて、実につまらない。理論と音と、どちらを取るかと言えば、音を取るに決まっている。理論が良くても音が悪ければ、そこにどんな存在意義があるのだろうか。

この接続で問題となるのはウーハーの高域成分が十分に減衰しないことである。しかしどんなに耳を澄まして聴いても、不具合を感じない。多分私の耳が悪いのかもしれない。むしろ、上と下がスムースにつながっていて、実に違和感がなく聴こえるのでこれ以上いじる意欲がわいてこない。困ったものである。

実装状態は簡素で、あっけない。ネットを散策していると、たまにWesternのオイルコンなどを何個も連ねて腰が抜けそうなほど大掛かりなものを使っておられる方に出くわすが、それに比べれば実につつましい。

暖かくなったらもう少しまもともな姿にしてやりたいのだが、このままになってしまいそうな気もする。