ラインアンプの整流ダイオードをGaNに入れ替える その後のその後2020年09月21日 21時11分24秒

前回、GaNに入れ替えてからずっと熟成するのを待っていたが、どうもよろしくない。聞いていて楽しくない。どこか地に足が着いていなくて、まるで虚像を聞いているかのよう。
期待していただけに、ちょっと困った。原因が思い当たらない。一つだけ気になっていたのは、前回の写真でもわかるように、GaN基板が2本のリード線で浮き上がっていて、固定されておらず、ぶらぶらしている。とにかくこのままでは気持ちが悪い。対策することにした。

ぶらぶらが悪いのであるのならば、完全に固定するしかない。写真のように、アルミ基板タイプに入れ替えて、これを木製シャーシに木ネジで固定した。ついでに、GaNの上に振動対策用のアルミ板を重ねておく。
もしかしてリード線に原因があったのかもしれないと考え、前回はただのメッキ線だったものを、Westernの綿、絹で巻いた黒エナメル線にしてみた。

結果。ドンピシャリ。カメラで言えばピントがビシッと決まって、被写界深度が深く、曖昧さがない。もちろん地に足がついていてこれこそ実像である。いつまでも聞いていたくなる。やっと胸をなで下ろした。

出てくる音が思い通りにならないときは、仕事をしていても気持ちが落ち着かない。別にいのちに関わることではないのに、人生の大損失にでもあった気分になってしまい、いやはやまことに大げさなことである。

ラインアンプの整流ダイオードをGaNに入れ替える その後2020年08月26日 20時47分58秒

GaNダイオードに入れ替えてから2週間経過。24時間通電しているわけではないので、エージングは道半ばである。

高い周波数域にエネルギースペクトルがわずかに偏っていて、聞いていて落ち着かない。以前ならこの微妙さには気がつかなかっただろう。今は、すぐに耳で聞き分けられる。

こうしてみるとInfineonの第6世代ダイオードもかなり実力があったと今更ながら感心する。あの音は、本当に腰が据わっていて、表情が豊かで、どんな音源であってもいつまでも聞いていたという気持ちになった。失ってから初めてすごさに気がつく。

ただGaNダイオードは、まだエージングの途上である。暑い日が続くが、じっと忍耐して熟成を待つことにする。

ラインアンプの整流ダイオードをGaNに入れ替える2020年08月13日 21時45分59秒

実を言えば、ラインアンプの整流ダイオードは2018年春に一度GaNに入れ替えている。ところがその後、サークロトロンの開発途中、なんどもGaNを飛ばしてしまい、手持ちを全部なくしてしまったことがあった。運悪くちょうどそのとき、Mouserは日本国内でのGaN販売を停止していて、どうにもならない。窮余の策としてラインアンプからGaNをはずしてサークロトロンの終段に使ったといういきさつがあった。
そのとき、代替につかったのがInfineonの第6世代ダイオード。これはこれで非常に満足していた。

しかし、真空管式クロック発振器の成果を目の当たりにしてしまうと、究極を目指してくなるのが人情。もういちどGaNに入れ替えることにした。
それがこの写真。
ついでに現在のラインアンプの内部風景。

このGaNは以前、ロシア製水晶発振器の電源に使っていたのでエージングは済んでいるはずと思った。ところが、入れ替えた直後も次の日も音が悪い。Infineonダイオードの時は心が踊るような音が出ていたのに。。。期待が大きかっただけに、気持ちが暗くなる。

どうしてか。ロシア製水晶発振器の電源に使っていたときは、AC12Vの電圧だった。今回はAC120Vである。使用電圧が一桁違うとエージングは最初からやり直しなのかもしれない。

ラインアンプは一日4時間程度の稼働なので、熟成には時間がかかる。入れ替えてから一週間経過した今日、当初よりもだいぶ良くなってきているけれど、まだまだいけない。忍の一字である。

試作10号 その4(水晶発振子 3個シリーズ接続)2020年08月05日 21時47分32秒

水晶発振子が本領を発揮するまでかなり時間がかかると聞いたことがある。普通の部品のエージング時間は、およそ500時間と考えるのが一つの目安である。ところが水晶発振子は、それを超えても変化し続けている。落ち着くまで24時間連続稼働でも半年はかかるのかもしれない。

ただ待つのも芸がない。気になっているところに手を入れることにした。
B電源の整流素子である。これまではまず正常動作を第一目標に置いたので、手元にあったInfineonのSic SBDを使っていた。写真がそれ。
裏面はこうなっている。左側の赤い基板がGaNを使った理想ダイオードブリッジで、ヒーターの定電流回路を構成している。
SiCダイオードをはずして、新しく入れたのがGaN(GS66502B)をダイオード接続したもの。今回は変換基板を使わず、そのままユニバーサル基板に直付けした。消費電流が少ないので発熱を気にする必要がない。念のため非接触センサーで温度を測定してみたが、室温とほとんど変わらなかった。
回路図にするとこうなる。
音はどうなったか。
入れ替えてから3日経ったあたりはひどかった。何か間違ったかと思うほど低い周波数域がでないで、高い周波数域にエネルギーが偏る。これはいつものことなので気にしない。今日でちょうど1週間経った。だいぶ落ち着いてきた。

予想はしていたことだが、SiCダイオードから大きな変化があった。一層音が透明になり、生々しさが増しただけでなく、同じフェーダー位置であるのに、音のエネルギーが押し寄せるように感じる。
音楽のジャンルは問わない。YouTubeであろうがCDであろうが、ストリーミングであろうが、この効果は全く同様である。

交換前、低音が膨らんで鈍さを感じていて、こればスピーカーのせいであろうと思っていたのが、コントラバスの空間を波のように漂うかのような雰囲気まで表現できるようになった。これを聞いて、以前までの音がわずかに歪んでいたことに気がつく。

GaNを使う場合、変換基板が必須で、その点が敷居を高くしていた。今回のように変換基板無しでも実装できるとなれば、だいぶ使いやすくなる。

真空管のピンを磨く2020年07月26日 20時48分18秒

ずっと以前から真空管のピンのことが気になっていた。真空管アンプを作り始めた頃は、こまめにピン磨きに励んだものであったが、なにせMT管ともなると作業が細かくてどうしても面倒になる。最近はすっかりご無沙汰してしまっていた。

しかし、抵抗一個には何を使うか神経を使ういっぽうで、ピンのことはぞんざいな扱いというのは、あまりにもバランスが悪い。何かよい方法はないものかと思っていたら、偶然和光テクニカルのメタルクリーナーが目にとまった。どれほどの効果があるのか、?であったがそれほど高価なものでもないので試しに購入してみた。
能書きを読むと、刷毛で塗ってから綿棒でこすり、あとは水洗いすればよいとある。やってみるとすこぶる作業は容易である。あっという間に終わった。
こと後、和光テクニカルのチタンオーディオオイルを塗るのが定石のようであるが、今回は手元にあったエレクトロルブを塗った。15年以上前にある方から譲っていただいたもので、残りはわずかになってしまった。

さてその効果は。。次の写真を見ると一目瞭然。ティッシュペーパーに微粒子状となった汚れが付着している。これほどとはと驚いた。
今回磨いた真空管は、ラインアンプの13D2が2本、パワーアンプのWE420Aが2本と、WE412Aが1本、そしてクロック発振器のWE404Aが一本。果たして音はどう変化しただろうか。

真空管をそれぞれの位置に戻して電源を入れる。一聴して、低音がすっぱり切られて出ていないとわかる。これでは評価ができない。キャノンコネクタを一度挿抜しただけで音が変化するくらいだから、これはいたしかたない。24時間放置して再度評価することにする。

そして翌日。すっかり音が変わっていた。これを聞いて初めてこれまでの音が、高い周波数域の音がにじみ、わずかに潰れかかって歪んでいたことに気がついた。そして低い周波数域の音に関していえば、団子状になって気になっていたところが、よくほぐれて細かな音階が聞こえるようになった。

作業の簡便さに比較して得られる効果は絶大である。