13D2 ラインアンプのヒーター定電流回路2022年09月14日 21時55分13秒

数週間前のこと、ラインアンプの電源を入れたところ左チャンネルの真空管(13D2)のヒーターが突然ともらないというトラブルが起きた。
最初は真空管のヒーターが切れたのかと思ったが、調べるとちゃんと導通がある。ということはヒーター定電流回路の故障に絞られる。

アンプを裏返し内部を点検してみるとGaN素子が故障していたのを発見。幸いにしてオープンモードで壊れてくれたので異常電流が流れず真空管は守られた。このGaN素子は他のアンプからの使い回ししたもの。おそらくそのとき何らかの異常が発生し、破壊要因が潜んでいたのかもしれない。

ヒーターがともらなくなった当初は困ったと思ったが、これを機会に以前から気になっていたことを試してみることにした。
定電流回路の変更である。

まずは修正以前の回路を示す。
回路図の下側がヒーター定電流回路で、定石通りに2N4401のベース・エミッター間電圧を利用して電流値を設定する。
しかし、この方法を用いると音が悪いことは石塚峻氏がずっと以前から提唱し、TL431を用いるようにと具体例まで示してくれている。実を言うと、すでに300Bシングルアンプの300Bフィラメントはこの方法で点火するようにしてある。しかしラインアンプは手つかずのままだった。

そこで次のような回路に変更する。メインの増幅部とB電源は変更ない。
この回路変更の効果は予想以上で、空間が透明になって演奏者の姿が見えるかのように様変わりする。もう従来手法には戻れない。それほど決定的である。
ヒーターの点火方法がここまで音に影響するのかと、改めてオーディオの奥の深さを実感する。世は一般整流ダイオードと三端子レギュレーターを使った点火回路が一般的であるが、もういちど原点を見直した方がよいのではないだろうか。

こうなるとLaptech水晶発振器に使っているWE404Aのヒーター点火回路が次の課題となる。ここも従来手法で定電流回路を構成したままである。回路の源流に遡るほど(つまりクロック発振器が源流になるわけだが)システム全体への影響が大きいことは経験済みである。ここをいじったらどうなるかと考えただけでちょっと興奮してくる。その顛末はまた別の記事で。

コメント

_ Bumpei ― 2022年09月19日 23時10分53秒

おー、GaNのオンパレードで素晴らしい!これはDiyAudioに投稿されましたか?もしまだならば、是非投稿されることを期待します。

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