GS66502B用アルミ基板を発注する2017年11月15日 19時26分52秒

窒化ガリウム素子であるGS66502Bを活かすためには放熱が課題であることが見えてきた。従来のFR-4基板ではかなりのノウハウが必要で、どうしても限界を感じる。

そこで思い切ってアルミ基板を試みることにした。最初は結構価格が上がるかと思ったが、基板サイズが小さいので意外に安く上がった。10枚で、送料込み、5ドル引きのクーポンを使って22.79ドル。業者は前回に続いてFusion PCB。最近は日本語サイトも立ち上げだいぶ敷居が低くなってきた。アマチュアにはありがたい時代である。

大急ぎでデータを作ったので、シルクの文字がおかしな格好になっているが、人に見せるものでもないから気にしない。出来上がりは3〜4週間後であろう。
基板の上に未接続のパッドが二つ見える。これは将来、温度制御が必要になった場合の予備として入れておいた。サーミスタやダイオードの足をここにハンダ付けしておけば、作業性が上がる。

またソース(S)のバッドが二つあるのは、それぞれドライブ基板、電源と個別に結ぶためのものである。

Dynaco MK3の改造(21)2017年11月15日 19時44分39秒

帰還アンプでの位相補正と言えば、NFB抵抗にCをパラにするのが一般的である。
ところがMK3ではこれと併せて、終段KT88のスクリーングリッド (SG)と初段のカソードを120pFでつないでいる(SG-K帰還と呼ぼうか)。このテクニックは管見にして他に見当たらず、Dynaco独特のようである。MK4になってからは、NFB抵抗にパラるCを削除し、SGからの帰還Cだけになっている。それほど強力に効くということなのだろう。実際、試した結果もそうであった。

さてその効果について言えば、とにかく音が前に出てくる。加えてホールの残響音が豊かに聞こえてくるのも特徴。ただし、まだエージング不足のせいか低い音域がやや薄れがちで、ここが豊かになれば言うことなし。

古くから根強いDynacoファンがいるのは、プアマンズ・マッキントッシュと言われるほど価格が手頃であったばかりではなく、価格を超えた音が多くの人たちを引きつけてきたことにあるのだろう。その魅力的な音を出す要因の一つは出力トランスにあるだろうし、私の推測では、SG-K帰還もその一翼を担っているように思う。

最初手にしたオリジナルの音は、どこかまったりとして良く言えば「豊かで緊張感のないどっしりとした音」であったが、いっぽうもう少し解像度と奥行きがあればと感じた。
改造版ではこれらの不満がほぼなくなり、見違えるほどの繊細さを見せてくれる。エージングが進んだらまた印象が変わってくるだろう。

写真は、例のSG-K帰還に使われているモールド・マイカコンデンサ。耐圧は500V。このようなキャラメル型のコンデンサを手にしたのは何年ぶりだろう。小学生時代、兄のジャンク箱を漁ってこの形のコンデンサを探し出し、ラジオを作ったことが懐かしく思い出される。

Dynaco MK3の改造(22)意外な落とし穴2017年11月15日 20時09分46秒

ところで改造作業の最終段階に入った時、思わぬ落とし穴にハマってしまったので、記録として残しておく。

現象はこうである。それまで左右チャンネルともに正常に動作していた。SG-Kコンデンサを付け加える作業にはいる数日前に、左チャンネルの音量が突然に小さくなった。電源を入れ直すと正常に戻ったりする。初段真空管のせいかと思い、交換したら何事もなかったかのように動いた。これで問題は解決したものと思った。

その後、右チャンネルのシャーシをひっくりかえし、SG-K帰還コンデンサを実装し、波形観測して問題ないことを確認した。
次に左チャンネルについて同じ作業をおこない、波形観測しようとした。ここで問題発生。奇妙な波形が出てくるではないか。それに出力が異常に小さい。

まず最初に疑ったのは、配線間違いである。しかし右チャンネルとくらべて確認してもミスがみつからない。次に疑ったのは真空管。正常動作している右チャンネルの真空管と入れ替えてみた。しかし現象は変わらず。こうなると部品が怪しくなる。もしも出力トランスが壊れているのなら致命的である。そう考える頭がくらくらしてきた。

ここで気を落ち着かせる。そうだまずは電圧を測定してみよう。何かわかるかもしれない。答えはすぐに出た。初段の電圧がまったくおかしい。カスコード増幅段のトップがわにある6DJ8のプレート電圧が異常に低い。160V程度あるべきところが120Vしかない。同じ真空管のグリッド電圧もほぼ120Vになっている。ますますおかしい。ここは部品が壊れない限り絶対に81V近辺になるはずのところ。つまり部品が壊れているのだ。どこか。回路図で言えばR16 20KΩ抵抗が犯人であった。テスターで測定したら無限大を指す。

驚いた。ジャンク品とか酷使した中古品を使ったのではない。新品の2Wカーボン抵抗である。消費電力はどんなに多く見積もっても500mWである。外観を見る限り、焼けたところやクラックもない。表面が光り輝いている。
これまでいろいろな抵抗を使ってきたが、こんなことは初めてである。あえて不良品とは言わない。こちらの使用方法に瑕疵があった可能性は否定できないから。ただ故障したことは事実であるので、このように記録として残しておく。