Circlotron 改造2017年11月05日 22時03分00秒

前回、Dynaco MK3改造版と比較して長所も見られたが、高域に弱点があることを書いた。初段の動作に無理があるとの推定である。

初段2SJ74にかかる電源は終段と共通となっているため、音声信号に同期して電圧が変動する。そのため2SJ74は理想動作できず、歪が発生するとの見立て。

対策は簡単でカスコード接続にして2SJ74のD(ドレイン)にかかる電圧を固定すれば良い。そこで机の引き出しにしまってあったMMBF5461を追加することにした(回路図では2N5460となっている)。
シミュレーションによれば、たったこれだけの変更で格段に歪率が改善されるはず。

ついでに懸案となっていた幾つかの事項も見直した。
1)GS66502Bが突然故障することが数回あった。数週間前には、近所に雷が落ちたのがきっかけで両チャンネルともお亡くなりになった。はずしてみると、G-S間がショートしている。
故障の直接の原因は不明であるが、G-S間電圧最大定格は±10Vと規定されていて、これを超えた可能性もある。そこで保護措置としてツェナーを入れることにした。

2)はずしたGS66502Bの外観を観察すると、ソースのパットに盛ったハンダが変色している。ハンダの融点に近くまで温度が上昇した可能性がある。ドレイン電流は600mAに設定していた。ドレイン損失はおよそ12W。きちんと熱対策をしていればこんなことは起きないはず。基板の熱放出がうまくいっていないのだろう。
対策としてドレイン電流を下げて300mAとした。おかげで放熱器はほとんど暖かくならない。これでもきちんと音が出る。

3)GS66502Bの性能がよいため、仕上がりの周波数特性は1MHzあたりまでのびる。さすがにこれでは問題がありそうなので、帰還抵抗に330pFをパラ接続した。

3日に完成して、現在エージング中。改造前に問題となっていた高音域の違和感は解消した。非常に滑らかで、安心して聴くことができる。

Dynaco MK3に比較すると、全体に解像度が高く、あいまいさが感じられない。ただこれが楽しい音楽として聴こえるかどうかは微妙なところ。なんとなく冷静な感じ。もっと熱く訴えてほしいのだが。これは2SJ74の持ち味にちがいない。これに比べると終段は初段の音色をそのまま出力するという性格があるように感じられる。全体の音は初段で決まっているのではないか。

こうなると、初段をWE420Aで動かしてみるのが次の目標として見えてくる。

Circlotron 改造(2)2017年11月05日 22時51分23秒

残留雑音電圧の測定。結果は入力オープンで20μVrms。ホーンに耳を近づけても何も聞こえない。Dynaco MK3であれほど苦労したのが嘘のようである。

実装風景。配線がきたないのはご勘弁。