ボルテージ・ミラー型シリーズレギュレータ(9)2016年02月15日 21時37分05秒

妻のオルガンシステムに使っているDACにボルテージミラー型シリーズレギュレータを搭載したことは既報の通り。

一度トラブルはあったが、対策してからは安定して動作している。しかし、妻の評価は芳しくない。音ががさつくと言うのだ。聞いてみると確かにそのとおり。内心、ボルテージミラー型レギュレータに自信があったので、これにはちょっとがっかりした。

考え付く対策は二つ。
(1)リファレンス電圧を設定しているダイオードとLEDのインピーダンスを下げるために、コンデンサを並列接続する。
(2)ブリーダ抵抗を出力につないで、50mA程度のアイドリング電流を流す。

結果は。。
数時間のエージングの後、妻がオルガンを弾いてみた。妻の評価。「サステインをかけたように余韻が伸びていく。まるで天井や左右の壁にオルガンのパイプが林立していて、そこから音が聴こえてくるようだ。」

私の評価も同じ。余韻が豊かに聴き取れるということは、非常によい兆候である。これで、ボルテージミラー型レギュレータの本領がやっと発揮されたとみて良いだろう。

この音を聴くと、わがシステムのアラがハッキリと分かってくる。わがシステムは、高い周波数領域に刺激的な癖がある。いっぽう、妻のシステムはまったくそんなところがなく、すっと気持ち良いほど伸びていく。これだ。探し求めていたのはこれである。

おそらく、雪が融ける頃までにレギュレータの全面入替えをすることになるだろう。

ボルテージ・ミラー型シリーズレギュレータ(10)勝負あり!2016年02月16日 21時36分26秒

妻のオルガンシステム用DACにボルテージ・ミラー型レギュレータに改良を加えてから30時間経過。
iTunes経由で、マックス・ローチのRich verse's RoachからThe Casbahを聴いてみた。

音が出た途端、横で聴いていた妻の目が輝き出し、椅子から立ち上がって踊り始めたではないか。エアー・トランペットやエアー・トロンボーン、エアー・ドラムのオンパレード。

「スピーカーの前で子供が踊り出したら成功である」という格言をどこかで耳にしたことがあるが、うちでは妻が踊り出した(笑)。

このようにして、まさかの大逆転で我がシステムの敗北は決定的となった。Salas Reflektor(大幅改造タイプ)が舞台から去る日がやってきた。

ところで妻は、はしゃぎすぎたせいで踊りまくている最中に五十肩が再発し、あまりの痛さに床にうずくまってしまうというおまけがついた。いやはや、なんとも。。

ボルテージ・ミラー型シリーズレギュレータ(11)2016年02月22日 16時23分35秒

妻のDACに投入したボルテージミラー型レギュレータが圧倒的な勝利をおさめたのを受けて、我がシスムテムも変更を余儀なくされた。当初は雪が融けることまでに入れ替えをしようと考えていたが、我慢ができない。三日間かけて一気に基板を作り上げた。

すでに問題は潰しているのですんなりと完成するかと思っていたら、やはり落とし穴が待っていた。

(1)出力が立ち上がらない
シミュレーションでは、スタートアップ回路はいらないと踏んでいたが、だめだった。急遽スタートアップ回路を追加して問題を解決。

(2)発振した
シミュレーションでは発振に対してかなりの余裕があると思っていた。ところが、負荷電流を多くしていくと発振してしまう。オシロで確認すると周波数は140MHz付近で、ほぼ正弦波に近い。

原因はすぐに判明した。シミュレーションでは、実装状態でのインダクタンス成分を無視していたが、これを考慮していくと100MHzを超えたあたりで位相余裕を失っていく。Zobelのコンデンサを表面実装型の小さなものにすれば結果は違ってくるかもしれないが、今回は大型のオイルコンデンサを使っている。

Q6にベース抵抗を入れると確実に発振がおさまるので、これを対策とする。なお回路図では、M1(RD06HHF1)のゲートにも抵抗を入れているが、これはなくてもよい。

出力電圧は無調整で3.4〜3.5Vとなった。
なおM1には放熱器が必要である。

回路図の横のグラフ、上側がPSRR(電源変動抑圧特性)、下側が出力インピーダンス特性。位相変化は20KHzで約20°。理想を言えばもう少し小さくしたいところだが、現在のところこれが最小値。

この特性を得ることができたのは、M1にRF用途のM0S-FETを採用したことが大きい。すでにディスコンになっているが在庫品がまだ入手可能のようだ。

なおRF用であるだけに、従来のIRF610と違って発振には気を使わなければならないことを今回学んだ。

ボルテージ・ミラー型シリーズレギュレータ(12)2016年02月22日 16時42分40秒

新しくつくった基板の様子。

コンデンサ類はスルーホールの大型品を使っているので実装面積が大きくなっている。これを表面実装品にすれば、かなり小さくなるはず。

稼働状態では、放熱器はやや熱くなる程度。2N3634は消費電力が大きいので結構熱くなる。

なお、回路図で2N4401となっているところは2SC1400もしくは2SC943を、0.22uFにはASCフィルムコンデンサ、0.1uFにはロシア製オイルコンデンサを使っている。

ALTEC 817Bの登場2016年02月22日 16時51分33秒

2年ほど前からオールホーンシステムへの移行を考え始めて、こつこつと小遣いをためながらドライバーや、ホーンを買い集めていた。

最後まで残ったのが低音ホーンである。当初は自分で設計して、誰かに作ってもらおうかとも思ったのだが、素人がいきなりそんなことをして成功するとも思われないし、リスクが大きすぎる。ならばいっそのこと既製品に目的のものがないかとさがすことにした。

途中の経過は省略して、結局入手したのが中古のALTEC 817Bである。本州から送ってもらうのにはさすがに送料が高くなる。オークションに市内のお店で出品されないかチェックを続けていた。忍耐することおよそ半年間。予算と品物の状態とがマッチしたので落札。

問題は、部屋の中に搬入できるかどうか。実物の大きさに切り抜いた型紙を廊下やドアのところに置いて確認してはいるらしいということはわかっていた。

817Bが我が家に嫁いできたのは1月18日。感じの良いお店の方がふたりで、慣れた手つきで掛け声をかけながら確実に玄関へ運び込んでいただく。そこから先は自分の手で。

ボックスの下にダンボールを敷き、廊下の上を滑らせて移動する。オーディオルームのドアをはずしておき、慎重に90度水平回転させる。いちど部屋の向かいにある洗面所へ入れ、そこからオーディオルームに侵入させる。

やってみると、これがぎりぎりで、あと数ミリ廊下が狭かったら入らないで立ち往生しただろう。まるで817Bのために設計したような我が家であった。

その後、416-8Bをもう1セット関東地方のショップからメンテナンス済みのものを入手して、やっと本日セットアップした。

ネットワークは従来のものをそのまま使う。そんなことは無茶であることはわかっているが、とにかく音を聴いてみたいとの一途な思いから。

出てきた音は。
意外なことにドライバー(Radian 850PB 16Ωタイプ)とALTEC 416-8B(シリーズ接続)との間のバランスは悪くない。このままで良いと思うくらい。
空間にぽっかりと浮かぶ音が印象的である。

これから時間をかけて調整していくことになるだろう。