TDA1541Aの-15V電源を電池にしてみる2011年07月18日 20時55分38秒

 -15Vの質が音に大きく影響することがわかり、電源回路を大幅に見直すことにした。

 電源トランスはパワーアンプ用に設計されたR-コアトランス。ここはトロイダルトランスがベストなのだろうが、それはまた将来の計画に取っておこう。

 チョークトランスは現在物色中。これまで我がオーディオ装置にチョークトランスを導入したことはない。初めての経験となる。
 ここ数年、銅の国際取引価格が暴騰したおかげで、チョークトランスといえども結構な値段がする。何も考えずに一番お手頃なトランスを使ってもいいが、せっかくだからこだわりたくなる。ここも理想はトロイダルトランスなのだろうが、いかんせん目の玉が飛び出るくらい高価だ。これも将来の夢に取っておこう。現在、eBayに適当なものが出品されていないか探しているところ.

 電解コンデンサは、マイク・エリオット氏の推奨に従い、ニチコンKGスーパースルー。隠し味として、在庫限りになってしまったブラックゲートも使いたい。

 今回はこれらの部品でチョークインプット型の平滑回路を構成する予定。ただし、電源変動でDACチップを壊すのが怖いので、NFBなしのレギュレーターを入れる。

 これらの部品は、現在カナダに発注して到着待ちの状態。
 さて、このままでは音が出ないのもさびしい。そんなとき、死蔵してた単一電池20本があることを思い出した。電圧を測ってみるとなんとか使えそう。さっそくDACに接続し、音を出してみた。

 結論から言うと、まったくだめだった。音がうわずっており、高域にエネルギーが集中し、サ行の声が耳に突き刺さる。おそらく電源のインピーダンスが高いためだろうと推測する。もうちょっと周辺回路で補強すれば使えるのかもしれない。いずれにしても、電源の質が大きく音に影響するということのだめ押しの証明となってしまった。

TDA1541A -15V電源をチョークインプットとする2011年07月25日 17時59分13秒

 ここ数週間、さんざん実験を繰り返してきた。チョークインプット型の電源回路は初めての経験で、とまどいが満載だった。

 まず一番困ったのは、シミュレーションでは、希望電圧が得られるはずなのに、実際に組み立てみると予想値と違う電圧が出てしまうこと。低すぎるのならまだ良いが、いきなり-16Vを超える電圧が出たときは真っ青になった。一瞬、DACチップが壊れたかと冷や汗を流したが、無事だった。これに懲りて、無帰還型のレギュレターを入れた。MOS-FETのIRF9610が手元に大量にあるので、これを使う。

 チョークトランスは当初、UTCのビンテージものでもと思ってeBayをウオッチしていたが、終了間際5秒前に高値をつけた方がいて、世界にはすごい技を使う人がいるものだと妙に感心してしまった。結局、最も安い普及品を購入。

 もう一つ驚いたことがあった。これまでショットキーバリアダイオードならどれでも音がよいに決まっていると思い込んでいた。今まで使っていたのは、FRH10A15。今回、ちょっと実験という軽い気持ちで、使わないでしまっていたKSH30A20Bと交換してみた。出てきた音を聞いて驚いた。これを聞いて初めて、今までの音が歪みっぽくてうるささがまとわりついていたことがわかってしまった。
 整流ダイオードでここまで音が変わるのか。今までいったい自分は何を聞いていたのだろうと、ちょっと落ち込んでしまった。

 こうなると理想は整流管なのだろうが、左右独立電源でチョークインプット型を優先するなら、整流管が2本必要になる。これはちょっと大げさすぎるので、今回は見送ることにした。
 マイク・エリオット氏の推奨はHEX FREDらしいので、いつかこれを使ってみたいものだと考えている。

 さて、そんなこんなでやっと今日、電源回路が完成した。ただ今エージング中。ハンダ付け直後の音ちょっと聞いてみたが、最初の出だしから今までの音と違うことがわかった。

 電電ユニットは横着してRコアトランスが入っていたダンボール箱を使って、その中に入れている。それなので空中配線の極みである。ショートを避けるために、プチプチを基盤の下に敷いているという、ある人から見たら目を覆いたくなるような光景だ。そのうち立派な木箱にでも入れてあげたいのだが。。

エージング中2011年07月26日 21時57分04秒

 音はまだ堅くて弦の音がきつく感じられる。低いほうの音域もまだ出ていない。それでも、今までとは全く空間描写力に驚いている。人の声を聞くと、思わず惹きつけられる。

 オーディオ装置の良し悪しを判断する最も簡単な方法は人の声を聞いてみることだと思っている。普段の暮らしの中で人間は、自然に人の声を聞き分ける能力をみにつけているのだろう。あるときは、声で人の心の揺れ具合までをも感知することさえできる。

 TDA1541Aの-15V PSUは装置全体のグレードを決定してしまうくらいの影響力を持っていた。アンプにだけこだわり続けていたら限界にぶつかっていただろう。ここに着目してよかった。

 エージング不足でも、秘めている可能性はすごいとわかる。楽器群や合唱隊が左右のスピーカーの間におさまっているのが窮屈なのではと思うくらい、びっしりと空間を埋め尽くしている。

 いいことばかりを書いたが、幾つか課題が残っている。電源オン直後から温度上昇につれて出力電圧が徐々に低下する現象が起きている。おそらく定電流FETが原因だろうと推測。音には影響はなさそうだが、気持が悪いので対策したい。

 現在、チョークトランスの後に接続している平滑用電解コンデンサはニチコンNTだ。これをニチコンのスーパースルーに入れ替える予定。それでまた音が変わってくると予想している。

 それからもう一つ。整流用ダイオードはKSH30A20Bを使っている。数年前、CREEのCSD20030Dと一騎打ちしたとき、大差で敗れたことが頭に残っている。CREEを知らなかったなら、これ充分満足していただろう。しかし、CREEを知ってしまった今、これを使いたくなる。もし入れ替えたならどんな音がするのか、興味津々である。でも、日本で入手できるのか、できたとしても値段はどうか。ちょっと先の話になりそうだ。

 ちなみに、CREEのダイオードが素晴らしいと言っているのは私だけではないことを最近知った。diyAudioのメンバーだったと思うが、leoさんという方が「HEX FREDを大差で打ちのめした」と報告していた。おお、力強い味方がいて嬉しくなった。