TDA1541A/S1 差動出力プラン2008年08月17日 14時55分52秒

 DACが壊れたのを機会に、さらなるバージョンアップをすべくプランを練っている。この際、今まで気になっていたけれど、そのままにしていた部分ももう一度見直すことにした。

 情報によれば、TDA1541Aの出力ピンは最大でも25mV以下の電位にすべきであると言われている。これを越えるとひずみが増大するというのが理由。デジタル変換精度が低下するようだ。これまで、国内で発表されたDAC記事を見る限り管見かもしれないが、この問題について触れたものを知らない。海外サイトでかなり詳しく論じられていて、そこで初めて私もことの重要性を知った。

 25mV以下に抑えるということは、I/V変換をOP-Ampで行うことが想定されている。反転アンプを使えば簡単に実現できるので誰も問題にしてこなかった。しかし、抵抗変換やトランス入力変換となると、とたんにこの問題にぶつかる。たんにOP-Ampを抵抗やトランスに置き換えただけでは絶対に解決できない。これまでは、この問題を軽視し、音が良ければすべて良しと言う方針できた。しかし、やはり原理原則を踏み外してはならない。きちんと対策を考えるべきではないか。ではどうするか。

 その解決方法がDACの差動出力だ。差動出力でトランスの一次をドライブする。こうすることで原理的にはDAC出力ピンの電位をゼロにすることができる。実際には、トランス一次巻き線は抵抗成分を持っているのでその分の電位は発生する。
 現在使っているトランスのDCRは7Ω。シミュレーションしたら、最大出力時でも±7mVに抑えられることがわかった。これはうれしい。

 TDA1541Aはユニポーラー出力だからそのままトランスを差動ドライブしようとしてもうまくいかない。2mAのFET定電流回路をそれぞれのDACに入れてキャンセルすることでバイポーラーにできる。

 なお、差動出力でトランスをドライブするアイデアは私独自のものではない。ネットから教えられたものであることをお断りしておく。有益な情報を提供していただいた先駆者に感謝するばかりである。


 もうひとつ。これまでTDA1541Aノーマルを使ってきた。これを機会にS1グレード(シングルクラウン)使うことを決意した。もちろんとっくの昔にディスコンになった製品だから、まともなかたちでは入手不可だ。それに人気機種だから、にせもの(fake)が出回っていると言われる。掲示板には、これらの情報もさかんに投稿されている。eBayを見ると、S1グレード新品が70ドル前後で出品されていた。それも本物かどうか確信が持てない。

 過去、S1グレードを使用したCDプレーヤーが発売されていた。そしてどの機種が該当するか篤志家がきちんと発表してくれている。そしてYahooオークションを見ると、まさにその製品が出品されているではないか。それもS1グレードが二個も実装されている。大手メーカー品だから偽物であるはずがない。おまけに安い。新品を一個海外から買うよりも安かった。
 ということで落札した。今週中に送られてくる見込み。

<メモ>
 TDA1541AノーマルとS1グレードの違い

     Typ. THD+N   Typ. THD+N
      at 0dB     at -60dB
       db(%)      db(%)

ノーマル  -95(0.0018)   -42(0.79)
S1     -95(0.001)    -47(0.4)

微小信号時のリニアリティでS1に大きな優位にある。
ちなみにS2グレードはこれに加えて大きな信号時においてもリニアリティが改善される(0dB時にS1よりも2dBアップ)。