300B シングルエンド 整流管 ― 2022年01月24日 17時14分20秒
なんでも初めてのことをするときは、いきなり本番というわけには行かない。プロトタイプを何台か作ってバグだしをしながら徐々に完成度を上げていく。そうやって初めて完成に至る。
そういうわけで電源部は、KT88ppから借用して間に合わせていた。完成度も上がってきたので、そろそろ専用電源を作ることにした。
電源トランスはDynaco Mk3のものを某オークションから入手。問題は整流管である。調べてみると、WE274A/Bこそが本命ということで一致している。しかし、いまや絶滅危惧種の筆頭であり、美術品扱いで価格は高騰。とても素人が手を出せるようなものではない。
そんなときPSVANEは、中国、香港、台湾、アメリカの四カ所の技術者を総動員して1年半をかけてWEのレプリカを開発し、その名もWE274Bを世に出した。世評は高く、値段も高い。
PSVANE WE274Bは将来の夢ということにして、今回はPSVANE 274B(クラシックシリーズ)で我慢することにした。
(写真は、同社のホームページから)
さて、整流管が届いたところで、おもむろに電源部の製作に着手する。その顛末はまた別の記事で。
そういうわけで電源部は、KT88ppから借用して間に合わせていた。完成度も上がってきたので、そろそろ専用電源を作ることにした。
電源トランスはDynaco Mk3のものを某オークションから入手。問題は整流管である。調べてみると、WE274A/Bこそが本命ということで一致している。しかし、いまや絶滅危惧種の筆頭であり、美術品扱いで価格は高騰。とても素人が手を出せるようなものではない。
そんなときPSVANEは、中国、香港、台湾、アメリカの四カ所の技術者を総動員して1年半をかけてWEのレプリカを開発し、その名もWE274Bを世に出した。世評は高く、値段も高い。
PSVANE WE274Bは将来の夢ということにして、今回はPSVANE 274B(クラシックシリーズ)で我慢することにした。

さて、整流管が届いたところで、おもむろに電源部の製作に着手する。その顛末はまた別の記事で。
300Bシングルエンド 電源部の解説 ― 2022年01月24日 18時58分14秒
新しい電源部の仕様は次の通り。
(1)電源トランスはDynaco Mk3のものを流用
(2)整流管は前述の通り、PSVANE 274Bとする
(3)300Bのフィラメントを定電流点火とする
回路図は以下のとおり。 例によって、「まな板」を切り出してシャーシとする。写真は制作途中の様子。
以下、フィラメント定電流回路についてのコメント。
・フィラメント電源の整流には、ほんとうはGaNダイオードを使いたかったのだが手持ちがなく、今回はInfineonの第6世代SiCダイオードにした。
・それから、これまで定電流回路はバイポーラトランジスタのVbe電圧を利用していたのだが、これを止めて、石塚峻氏が提唱しているようにTL431を使った。フィラメントへのリップルはノイズに埋もれて観測できないほど小さくなった。
・当初、ごく一般的なπ型フィルタでやってみたところ、GS66502Bの発熱が大きく、放熱板の温度が軽く100℃を超えてしまった。トランスの電圧を下げることができないため、チョーク入力型フィルタにしたところ、実用レベルに落ち着いた。
写真は定電流回路周辺の様子
できあがった電源部を8pinプラグで増幅部に接続し、動作試験をする。今回は大きなトラブルも起きなくほっとする。
写真はカレントミラー合成部の電圧を300Vに調整している様子。
(1)電源トランスはDynaco Mk3のものを流用
(2)整流管は前述の通り、PSVANE 274Bとする
(3)300Bのフィラメントを定電流点火とする
回路図は以下のとおり。 例によって、「まな板」を切り出してシャーシとする。写真は制作途中の様子。

以下、フィラメント定電流回路についてのコメント。
・フィラメント電源の整流には、ほんとうはGaNダイオードを使いたかったのだが手持ちがなく、今回はInfineonの第6世代SiCダイオードにした。
・それから、これまで定電流回路はバイポーラトランジスタのVbe電圧を利用していたのだが、これを止めて、石塚峻氏が提唱しているようにTL431を使った。フィラメントへのリップルはノイズに埋もれて観測できないほど小さくなった。
・当初、ごく一般的なπ型フィルタでやってみたところ、GS66502Bの発熱が大きく、放熱板の温度が軽く100℃を超えてしまった。トランスの電圧を下げることができないため、チョーク入力型フィルタにしたところ、実用レベルに落ち着いた。
写真は定電流回路周辺の様子

できあがった電源部を8pinプラグで増幅部に接続し、動作試験をする。今回は大きなトラブルも起きなくほっとする。
写真はカレントミラー合成部の電圧を300Vに調整している様子。

300Bシングルエンド アンプ 結果は ― 2022年01月24日 19時31分01秒
まずは300Bのフィラメントを定電流点火した効果から。
VP-7723Aで残留雑音を測定する。8Ω単純負荷時。
L-ch : 0.42mVrms
R-ch : 0.26mVrms
交流点火の時はおよそ4mVrmsはあったから劇的な改善で、ハム音に悩まされたことが遠い過去のように感じる。
L-chがR-chに比べて大きいのは整流管のばらつきによるものと推定する。
実を言うと、通電当初L-chから不定期にバシッという放電しているようなノイズが出て肝を冷やした。よく見ると、どうも整流管からのようで、ノイズもかなり大きい。そのまま通電して数日したらノイズも小さくなり、放電現象もなくなった。もともとPSVANE 274Bはそのような造りなのだろう。
電源部が完成してからおよそ1週間、エージングを重ね、音もだいぶ落ち着いてきた。さすが出力段が真空管であることの意義は大きく、前にせり出すような力強い音でありながら、なおかつ音楽性に富んでいて、聴いていて心が躍り出す。
世の人々が300Bアンプを称揚する気持ちはよく理解できる。
整列した300Bシングルエンドアンプ。ST管が横並びに4本並ぶとなかなか壮観である。
後日談
そこで終われば人はおおくのことを悩むことなく、幸せに過ごせただろう。どうしても先に作ったGaNシングルエンド・アンプと比較したくなる。聴いてみて頭を抱えた。
GaNシングルエンドアンプがすばらしくよいのである。音に質量があり、前にせり出していながら、非常に落ち着いていて包み込むような優しさに富んでいる。もちろん人の心を揺さぶる音楽が聴こえる。
それに比べて300Bシングルエンドアンプは、決して悪いアンプではないのだが、雑味が混じり、がさがさしていて洗練されていない印象がある。
この違いはどこから生じるのか考えてみたが、整流管がまだエージングが十分ではないのかもしれない。
ここで次なる課題が浮かび上がる。
おそらく300Bアンプの実力を発揮させるにはWE274Bが必要なのだろう。しかしそのことを享受できるのは、懐に余裕のあるごく限られた人々であって、なにか釈然としない。世界は貧富によらず血筋によらず、だれにでも機会が公平に与えられることを目指してきたのではないか.
そこで、すでにGaNダイオードがすばらしい結果を出しているのだから、これを300Bアンプに応用できないかということになる。そこで検討しなければならないのは耐圧である。
GaN素子は最大で650Vに規定されている。300Bアンプの電源トランスの電圧は約480V。要求される耐圧はこれの3倍だから、1500V程度となる。全く足りない。
唯一の解決策は直列接続することだが、果たしてそれでうまくいくのかは実験してみないとわからない。
このテーマについては、また進展があったら取り上げることにする。
VP-7723Aで残留雑音を測定する。8Ω単純負荷時。
L-ch : 0.42mVrms
R-ch : 0.26mVrms
交流点火の時はおよそ4mVrmsはあったから劇的な改善で、ハム音に悩まされたことが遠い過去のように感じる。
L-chがR-chに比べて大きいのは整流管のばらつきによるものと推定する。
実を言うと、通電当初L-chから不定期にバシッという放電しているようなノイズが出て肝を冷やした。よく見ると、どうも整流管からのようで、ノイズもかなり大きい。そのまま通電して数日したらノイズも小さくなり、放電現象もなくなった。もともとPSVANE 274Bはそのような造りなのだろう。
電源部が完成してからおよそ1週間、エージングを重ね、音もだいぶ落ち着いてきた。さすが出力段が真空管であることの意義は大きく、前にせり出すような力強い音でありながら、なおかつ音楽性に富んでいて、聴いていて心が躍り出す。
世の人々が300Bアンプを称揚する気持ちはよく理解できる。
整列した300Bシングルエンドアンプ。ST管が横並びに4本並ぶとなかなか壮観である。
後日談
そこで終われば人はおおくのことを悩むことなく、幸せに過ごせただろう。どうしても先に作ったGaNシングルエンド・アンプと比較したくなる。聴いてみて頭を抱えた。
GaNシングルエンドアンプがすばらしくよいのである。音に質量があり、前にせり出していながら、非常に落ち着いていて包み込むような優しさに富んでいる。もちろん人の心を揺さぶる音楽が聴こえる。
それに比べて300Bシングルエンドアンプは、決して悪いアンプではないのだが、雑味が混じり、がさがさしていて洗練されていない印象がある。
この違いはどこから生じるのか考えてみたが、整流管がまだエージングが十分ではないのかもしれない。

おそらく300Bアンプの実力を発揮させるにはWE274Bが必要なのだろう。しかしそのことを享受できるのは、懐に余裕のあるごく限られた人々であって、なにか釈然としない。世界は貧富によらず血筋によらず、だれにでも機会が公平に与えられることを目指してきたのではないか.
そこで、すでにGaNダイオードがすばらしい結果を出しているのだから、これを300Bアンプに応用できないかということになる。そこで検討しなければならないのは耐圧である。
GaN素子は最大で650Vに規定されている。300Bアンプの電源トランスの電圧は約480V。要求される耐圧はこれの3倍だから、1500V程度となる。全く足りない。
唯一の解決策は直列接続することだが、果たしてそれでうまくいくのかは実験してみないとわからない。
このテーマについては、また進展があったら取り上げることにする。
登山靴 ― 2022年01月24日 20時47分28秒

四十代までは山登りをしていたのだが、五十代で自転車に凝るようになって、すっかり遠のいてしまった。その勢いでりっぱな登山靴を売り払い、自転車の部品を賄う足しにしてしまった。
数年前から周りの友人にスノーシューを履いての冬のハイキングに誘われたりしていたが、なかなかその気にならず横目で眺めているばかりだった。
きっかけは、昨年三月に友人と手稲山に登ったこと。間に合わせにSALOMONの冬靴を履いていったのだが、やっぱり物足りない。友人の登山靴がうらやましかった。
昨年秋から、歩きやジョギングを再開し、冬になっても時間があれば外を走るようになって、山登りに再挑戦してみたくなった。
とは言ってもすぐに本格的な登山をするかどうかはまだ心許ない。
そこでまずはということで、中古の登山靴をあつらえることにした。むかし履いていたのがSCARPAで、信頼感抜群ですっかり気に入っていた。そこで今回も同じメーカーにした。少し旧いモデルではあるが、値段も手頃で気に入った。
今日の午後、近くの山に散歩がてらに試しに登ってきた。つぼ足で雪を踏みしめる感覚が懐かしい。サイズだけは履いてみないとわからず、それだけが不安だったが、歩いてみるとちょうどよい。
これからスノーシューやストックをそろえていくつもり。
数年前から周りの友人にスノーシューを履いての冬のハイキングに誘われたりしていたが、なかなかその気にならず横目で眺めているばかりだった。
きっかけは、昨年三月に友人と手稲山に登ったこと。間に合わせにSALOMONの冬靴を履いていったのだが、やっぱり物足りない。友人の登山靴がうらやましかった。
昨年秋から、歩きやジョギングを再開し、冬になっても時間があれば外を走るようになって、山登りに再挑戦してみたくなった。
とは言ってもすぐに本格的な登山をするかどうかはまだ心許ない。
そこでまずはということで、中古の登山靴をあつらえることにした。むかし履いていたのがSCARPAで、信頼感抜群ですっかり気に入っていた。そこで今回も同じメーカーにした。少し旧いモデルではあるが、値段も手頃で気に入った。
今日の午後、近くの山に散歩がてらに試しに登ってきた。つぼ足で雪を踏みしめる感覚が懐かしい。サイズだけは履いてみないとわからず、それだけが不安だったが、歩いてみるとちょうどよい。
これからスノーシューやストックをそろえていくつもり。
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