Panasonic VP-7723A その7 修理完了2017年12月23日 21時43分01秒

74HC14が届いたので早速交換した。
写真は故障したものをはずした状態。念のために隠れているパターンを記録しておく。

これまで何度も裏切られてきたので、期待半分、諦め半分、なんとも複雑な思いをかかえながら電源を入れる。

結果。無事に測定値が表示されるようになった。内臓発振器の出力を直接入力して歪率を測定した様子が写真。仕様では80KHzのフィルターをかけた場合、 20〜15KHzの範囲で0.001%以下となている。実機では、フィルターを掛けない状態でも0.00077%となっていて仕様を満たしている。
ADコンバーターが壊れていなかったことは、不幸中の騒いであった。これが壊れていたら代替部品の入手は難しく、完全なお手上げになっていた。
ちょうどこの時期、よいクリスマスプレゼントになった。今夜はぐっすり寝られそうだ。
総括するとこうなる。
・手に入れたアナライザーはデジタル回路には大きな不具合がなかった。ネット情報を鵜呑みにしてSRAMを交換したが、よく考えればお粗末な対応だった。そもそも、オークション出品時の説明では「歪率以外の測定ができる」との説明だったのだから、その時点でデジタル回路は問題なしと判断すべきだった。

・故障していたのは以下の部品
NJM311
74HC138
74HC14
・パターン切れが一箇所
・経年変化で劣化していた部品
バックアップ電池
電解コンデンサも劣化していたようだが、前オーナーが全て交換してくれていた。
・故障はすべてアナログ<ー>デジタルの橋渡し部分に集中していた。

オーディオアナライザーの修理は初めての経験で、だいぶ手こずったが、終わってみるといろいろなことを学ぶことができた。
特にデジタルとアナログの共存回路で、精密測定機能をどのように実現するのか、設計屋の苦労が伝わってくるようで、おおいに興味をひいた。ポイントは、フォトカプラを使って徹底的にデジアナを分離すること。これはDAコンバーターの設計に大いに役立てることができる。

オークションでは、同種のアナライザーが大量に放出されていて、落札された方はおそらく同じような苦労を経験するはず。故障診断のポイントを幾つか。
7セグLEDになにも表示されない場合は、CPU周りの故障が疑われる。
歪率が測定できない症状は、NJM311の故障が疑われる。
200Vとか-200Vを表示する症状の場合は、74HC138もしくは74HC14の故障を疑う。
厄介なのは故障の原因が二つ以上ある場合で、古い機種ではしばしば経験する。あわてず騒がずじっくりと腰を据えて、細かな記録を残しながらあたるしかない。

この勢いに乗って、机の中にあった部品で先日作り上げたアンバランス->バランス変換アンプの歪率を測ってみた。0.03%もあってこのままではどうも具合が悪い。作り直しになりそうだ。