Taylor Follower型レギュレータにGaNトランジスタを応用する2016年07月17日 16時33分21秒

 SiC(シリコンカーバイド)の次世代の素材としてGaN(Gallium Nitride 窒化ガリウム)が期待されていることは衆目の一致するところである。メーカーからはサンプルがやっと出荷されるようになったけれど、アマチュアが使えるようになるのは、まだまだ先のことだろうと思っていた。

 ところが調べてみるとGaN Systemsが競合他社を大きくリードして、すでに製品版を出荷しているではないか。しかもMouser経由で購入でき、価格はまだ高いとはいえ、手が届かないほど高嶺の花というわけではない。俄然興味が湧いてきた。

 しかも、幸いにして同社からSpice Modelも提供されている。事前によくシミュレーションしてから購入の可否を判断できるところがありがたい。

 では何に応用するか。もちろんパワーアンプの終段がふさわしいだろう。しかし小型であるという利点をフルに活用するなら、DACの電源に使うのも良いように思えてきた。

 ちょうど、Taylor Follower型レギュレータの改良のアイデアを考えていたときにこのGaNトランジスタと出会ったのは偶然とも思えない。

 
 これまでレギュレータとターゲット基板とは四線式で結び、両者が離れていても理論的に直近にレギュレータを配置したものと同等の効果が出るようにしていた。しかし、それは従来の二線式に比較してのことで、どうしてもケーブルによる影響は避けられなかった。

 レギュレータの新しいアイデアはこうである。
 四線式で限界があるなら、いっそのこと基幹となるレギュレータの機能をターゲット基板にもってきたらどうか。そう考えていろいろやってみたところ、掲載の回路図の結果を得た。

 点線で囲んだ枠がターゲット基板を現していて、レギュレータとは三線式で結ばれる。その枠の中に見慣れない記号の素子がある。これがGaNトランジスタGS66502Bである。

 レギュレータのゲインはそれほど高くはない。その代わりに周波数特性はすこぶる良好で、100KHzにおける位相回転が7°未満と目を疑うような数値である。さすがGaNの面目躍如である。

 なお、三線式のケーブルには10芯のフラットケーブルを想定している。回路図のLCRがそのフラットケーブルの分布定数線路を表現している。しかし数値は適当で特に根拠があるわけではない。あらかじめおことわりしておく。

 とにかくシミュレーションによればうまく動作する可能性が高いことがわかった。矩形波の電流負荷をかけたときの出力端子の波形を計算すると、レギュレータをターゲットの直近に配置した場合と近似する。すくなくとも二線式はもちろん、四線式よりも性能は高いと言えるようだ。

 アマチュアでGaN素子をオーディオに応用した事例は、管見であるがまだないかもしれない。これが成功すれば世界初か?

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