真空管ヒーター 定電流点火回路の考察(10) ― 2016年01月04日 12時48分26秒
整流管のヒーターを定電流点火することを最初に提唱したのは、石塚峻氏と新忠篤氏であろう。
新氏は、ラジオ技術誌1996年2月号で「300Bシングル・パワーアンプ&整流管DC定電流点火用アダプタの製作」を発表している。その中の「W-274Aを定電流点火でテスト」という章では次のように書かれている。
「定電流化したアンプは、高音から低音まで透明感があり、うるさい感じがまったくなくなり、なめらかな音になった。
交流点火では、中低音の音がふくらみ、芯がなく、ざわざわした余分な音がつきまとい、何となくほこりっぽい感じがある。」
使用しているアンプは全然違うけれど、私が受けた印象は同じである。
そして「オール定電流点火アンプの音」の章には次のように書かれてある。
「アーティストの息づかい、口ずさみ、録音スタジオの外をとおる自動車の音、オーケストラの内声部の旋律、時々起こる演奏の不揃いなど、今まで陰に隠れていた部分が不思議なほど聞こえてくる。
それにもまして、演奏家の表現が手にとるようにわかるようになった。音楽のジャンルに区別なくである。」
ところがその後、新氏が電流点火にこだわり続けたのかというと、どうもそうでもなさそうな気がする。
シミュレーションしてみると、これらのICはオーディオ帯域で複雑な位相回転をする。当然音に強い個性が出るだろうと予想される。
これは推測であるが、当時使用していた定電流ICであるLM-338Kの癖が気になったのではないか。
最初は良く聞こえるのだが、この癖が耳につくようになると我慢が出来なくなり、結局交流点火に戻ってしまったという筋書きである。もしそうであれば誠に惜しいことである。
もっと不思議なことは、これほど定電流点火の優位性が判明していたのにもかかわらず、真空管アンプで定電流点火が採用されるのはいまだに稀であるという事実である。
まして整流管の定電流点火に関しては新氏と石塚氏のほかは寡聞にして知らない。これはいったいどうしたことだろうか。
定電流点火は増幅部と同等かそれ以上の手間がかかることは確かであろう。純粋な真空管アンプにこだわり、半導体を使うことに拒否反応があることも否定しない。
新氏が記事を発表された時代は、定電流回路の研究はまだ着手されたばかりで多くの制限があった。評価があまり高まらなかったのはいたしかたがない。
しかしいまはもっと優れた素子なり回路なりが開発されている。事実、石塚氏はきちんとした定電流回路で評価して欲しいと訴えいている。
ぜひ、この分野で多くの方に挑戦していただきたいものだと願う。
新氏は、ラジオ技術誌1996年2月号で「300Bシングル・パワーアンプ&整流管DC定電流点火用アダプタの製作」を発表している。その中の「W-274Aを定電流点火でテスト」という章では次のように書かれている。
「定電流化したアンプは、高音から低音まで透明感があり、うるさい感じがまったくなくなり、なめらかな音になった。
交流点火では、中低音の音がふくらみ、芯がなく、ざわざわした余分な音がつきまとい、何となくほこりっぽい感じがある。」
使用しているアンプは全然違うけれど、私が受けた印象は同じである。
そして「オール定電流点火アンプの音」の章には次のように書かれてある。
「アーティストの息づかい、口ずさみ、録音スタジオの外をとおる自動車の音、オーケストラの内声部の旋律、時々起こる演奏の不揃いなど、今まで陰に隠れていた部分が不思議なほど聞こえてくる。
それにもまして、演奏家の表現が手にとるようにわかるようになった。音楽のジャンルに区別なくである。」
ところがその後、新氏が電流点火にこだわり続けたのかというと、どうもそうでもなさそうな気がする。
シミュレーションしてみると、これらのICはオーディオ帯域で複雑な位相回転をする。当然音に強い個性が出るだろうと予想される。
これは推測であるが、当時使用していた定電流ICであるLM-338Kの癖が気になったのではないか。
最初は良く聞こえるのだが、この癖が耳につくようになると我慢が出来なくなり、結局交流点火に戻ってしまったという筋書きである。もしそうであれば誠に惜しいことである。
もっと不思議なことは、これほど定電流点火の優位性が判明していたのにもかかわらず、真空管アンプで定電流点火が採用されるのはいまだに稀であるという事実である。
まして整流管の定電流点火に関しては新氏と石塚氏のほかは寡聞にして知らない。これはいったいどうしたことだろうか。
定電流点火は増幅部と同等かそれ以上の手間がかかることは確かであろう。純粋な真空管アンプにこだわり、半導体を使うことに拒否反応があることも否定しない。
新氏が記事を発表された時代は、定電流回路の研究はまだ着手されたばかりで多くの制限があった。評価があまり高まらなかったのはいたしかたがない。
しかしいまはもっと優れた素子なり回路なりが開発されている。事実、石塚氏はきちんとした定電流回路で評価して欲しいと訴えいている。
ぜひ、この分野で多くの方に挑戦していただきたいものだと願う。
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