200V電源の効果2012年05月16日 09時29分13秒

 オーディオルームに200V電源を引き込んだ。配電盤からのケーブルには、フジクラのCV-S 3.5×3芯を使用。

 クロック発振器、I/VC、ラインアンプ、パワーアンプは100V電源なので、200Vを使うためには、ステップダウントランスが必要となる。すでにトランスは手もとにある。
 いっぽう、DACの電源トランスは幸いにして200V入力が可能になっているので、まずそこから200Vの効果を確認することにした。

 ところでフジクラのCV-S 3.5×3芯は、噂には聞いていたけれど非常に堅くて慣れていないと扱いにかなり難儀する。それに外観のことで言えば、壁の中に収納する限り問題にならないが、部屋の中で目に触れる所に置くとかなり違和感がある。
 このごろ見た目(最近はコスメと言うのだそうだが)にも気を配ることの大切さがわかってきたので、これはなんとかしなければならない。

 さて、DAC電源を200V仕様にした効果はどうであったか。
 変更直後はとにかくひどい音だった。ケーブルのエージング不足は明らか。24時間経過して少しまともな音になってきた。48時間経過してもなおエージングは不足しているが、なんとか落ち着いた評価が可能になった。

 ひとことで言えば、驚いた。まず音場がちがう。これまで音場と言えば横方向の広がりや定位のことだと思い込んでいた。200V電源になって、縦方向の音場というものを初めて知った。なんの制限もなく空間が広がっていく様は圧巻である。

 制限が取り払われたことはダイナミックレンジにも言える。100V電源ではエネルギーが枯渇し、貧血のまま全力疾走を強いられていたようなものだった。これが200V電源になると、エネルギーが充満する。

 さりとて力ずくで乱暴に振り回すのとも違う。たとえて言えば、優れた剣術使いの武士のように全くむだな動きがないままに、相手をバサリと切り倒す切れ味。まるで静止画を見ているようでありながら、しかしダイナミック。相反するテーマがまるで何事もなかったように目の前に現前する。

 自転車で言えば、表情はふだんのまま、上体だけ見ればまるで緩い下り坂を軽くペダリングしているかのような力みのなさなのに、カメラを引いて見ると、実はすごいのぼり坂をぐいぐい登っていた。そんな印象だ。

 とにかく、なんと言い表すのがふさわしいのか、しばらくことばが見つからなかったというのが正直な感想。

 場合によっては200V電源の効果はそれほど期待できないと言われる方もいるかもしれない。使っているシステムや環境で評価はいかようにも変わる可能性もあるので、十分にあり得ることである。。
 しかし、少なくとも私の場合、200V電源はこれまでオーディオ観をひっくり返すほどの効果があったように思われる。

 200V電源の音を聞いて初めてこれまでの100V電源の癖がわかる。オーディをやるならまず電源環境をきちんと整えなさいとアドバイスしたい。電源環境が弱ければ、どんなにすばらしいシステムを構築しても、必ず限界にぶつかり悩むことになるはずだ。私がそうだった。

 いつも音が堅くて、高い方に周波数スペクトルがよるのはどうしてか。音がいつも圧迫されたようで、こじんまりとしてしまい、迫力がないのはどうしてか。特定のキーで耳に突き刺さる音がしたり、混濁したり、不明瞭になるのはなぜか。

 すべては部品や回路設計が悪いためかと思ってきた。確かにそこにも原因はあった。しかし電源の品質が大きな影響を与えていたことに気がついた。

 次計画は、ステップダウントランスを使って全システムを200V電源で動かすこと。さてどんな結果になるか。