MUESE72323 電子ボリューム フィクス(たぶん)2023年11月05日 20時03分43秒

電子ボリューム回路のその後.
MUSES72323出力の後、バッファーをはずしてそのままパワーアンプに直結した音は、芳醇で豊かで素晴らしいのひとこと。しかし、ゲインが足りない。
そこでバッファなし音に近づけられるバッファを新たに考えることにした。
と言っても革新的なアイデアがあるわけではない、結局、DN2540を使ったソースフォロワである。回路図は以下のとおり。
DN2540のソース抵抗にはVARを起用。いまや驚異的な円安のせいでとても高価になってしまった。なので、手持ちのものを使った。

実装の状態。
右の基板がバッファ回路。余分な空間が目立つ.

半田付けが終わってからまだ48時間しか経過していないので、エージングの途上にある。なのでまだ結論は出せないが、いまのところバッファなしの状態と近いと感じる。もちろん、よく聞き比べるとわずかに響きが後退したようにも思える。
もしもゲインさえ確保できるなら直結がお勧めである。

それにしても聴けば聴くほどMUSES72323の底力には驚く。アンプがどうの、スピーカーがどうの、真空管がどうのという前に、真っ先にやるべきことはボリューム、音量調整機能を見直すことではないか。
私のような者が何か意見を述べても全く説得力がないが、いまの正直な気持ちである。

MUSES72323電子ボリューム 回路図フィクス2023年10月09日 21時51分28秒

いろいろな試行錯誤を通って、やっと回路がフィクスした。
特徴は以下のとおり。
1)MUSES72323のデータシートによれば、入力にはカプリング・コンデンサを入れるようになっている。しかし、今回は省略した。接続先のDACの出力にトランスを使っていて、DC成分がないからである。実際、何の問題もない。

2)また、MUSES72323の出力側には0dBのバッファを入れてあるが、そのバッファはAI-4741を使った。741型アンプが4個入っている1970年代の古典的opアンプである。しかし侮ってはならない。セラミックパッケージというところもすごいが、当時の放送用音声調整卓に多数使われていたらしく、信頼性は抜群である。
このICのデータシートを見ると、バイポーラトランジスタ差動入力段+プッシュプルエミッタフォロワという極めて単純な構成。それでも1KHzのオープンゲインが75dBもある。これをバッファとして使用し、ホット、コールド両方でパラ接続する。

3)バイポーラ入力タイプを使用する場合、MUSES72323との間にカプリング・コンデンサを入れるよう指示されている。最初はそうしていた。しかし、これがなくても問題なく動作することがわかり、自己責任で全部取り去った。おかげで回路図は随分すっきりした。

4)制御部にはPIC12F675を使った。非常に小型なわりにはいろいろな機能が備えられていて今回の目的にはぴったりだった。

5)定電圧回路はTL431によるシャント型を採用した。情報源は別府氏の記事である。今回参考にさせていただき、大変助かった。

6)プラス電源はオーディオ信号回路と、デジタル回路と共通になっているが、将来デジタル回路を分離独立させたいと思っている。

ところで音の印象だが、もう機械式音調調整には戻れない。空間が透明で、いままでなにかにマスキングされて聞こえてこなかった音が全部そのまま出てくる。そのうえ音に力があり、前にせり出してくる。実在感という陳腐な表現があるけれど、それ以外にふさわしい言葉がみつからない。

これまでパワーアンプの限界と思っていたことが、実は音量調整機能が制限していたことが本当によくわかる。GaNシングルエンドアンプの実力が遺憾なく発揮され、非常に満足度が高い。

GaN Single End Power Amp その82023年05月17日 21時18分50秒

アンプ7のNFB抵抗を47KΩから147KΩに変更した。改めて回路図をかかがげる。
続いて電源部。
歪率は以下のとおり。
100Hzの歪率特性はまだ一致しているとは言えないが、アンプ7に比べて改善されている。

音も変化はあった。ただアンプ7とアンプ8とどちらが優れているかというのではなく、好みの違いのレベル。アンプ8は一段と透明感が上がるが、アンプ7の力強さも魅力的である。

今回、チョークトランスは新品を使ったので、このエージングには数ヶ月かかる。夏の盛りには音が落ち着いているだろうか。

最後に現在の雄姿を。
今の状態でもアイドリング電流はよく安定している。とは言え、放熱器をもう少し大きくしたほうが理想的と思える。
C3mはヒーター電圧が20Vでやや特殊だが、終段のB電源(+31V)をそのまま利用できるので都合がよい(100Ω抵抗を介して供給)。なおヒーター部については回路図には記していない。

GaN Single End Power Amp その72023年05月17日 20時47分30秒

「その6」アンプの100Hzの歪率が極端に悪い現象。入力トランスの2次側負荷が重すぎたのが原因と判明。

ということで次のアンプ、次のような構成となる。
・入力トランス:PI201203
・初段はC3mをカソードフォロワとし、カソードには30Hのチョークを接続。終段のアイドリング電流は、C3mの第二グリッドの電圧を変えることで設定する。
・終段はGaN素子
・GaNはドレインフォロワとし、100mHの空芯インダクタをドレインに配する
ここまでは前回までと同じ。NFBのかけ方が変わる。
・NFBは反転入力タイプとし、C3mのグリッドに47KΩを配する。これで入力トランスの2次側の負荷が軽くなる。

回路図は以下のとおり。なお電源部についてはアンプ6と同じ。
出力に0.22uFをつなぐことで動作は完璧に安定する。

さて、歪率であるがつぎのようになった。
アンプ6に比べ、まだ十分とは言えないかもしれないが100Hzの歪率は明らかに改善した。
音も格段な変化があった。いままで頭が押さえつけられた蓋が取り去られ、空間が大きく拡大する。

こうなるとNFBの47KΩをもっと大きな値にしたらどうなるかというところに興味が湧く。

GaN Single End Power Amp その52023年03月13日 21時43分38秒

前回のアンプを使っているうちに、次のような目標が見えてきた。
1)少なくともゲインは20dB必要である。
2)トランスを使わないでバランス入力を受けたい。
3)新しい部品は極力買わないようにして、手持ちのものを活用する。
4)GaNラインアンプでやったように、フロントエンド(前段増幅部)を10mm厚アルミ板に組み立てたい。

ということで、途中経過を一切省略して最終的な回路図はこうなった。増幅部。
次に電源部。
注意点をいくつか。
・出力段のGaNのゲートにある寄生発振防止用抵抗R11は、必ず1KΩとすること。当初500Ωとしたところ、みごとに発振してしまった。
・出力につながっているR14は、入力と出力が同時にオープンになったとき、動作が不安定になることを防止するためのもので、これがないと最悪出力段のGaNが壊れる。
・C18は発振対策として念のために入れておく。
・C8があるとないとでは音質がかなり変化する。Dynamicapはよい仕事をしている。
・C2,C3の値も音質に大きく影響する。手持ちのものという制限があるためとりあえず8pFとしているが、音を聴くともう少し大きな値にしたい。
・R4は100Ωとしている。この値が1KΩを超えると出力段GaNのゲート漏れ電流の影響で動作が不安定になる。

使っているGaNトランジスタを数えてみたら全部で18個になった。

この項続く。