GaN 単段アンプ その72021年04月03日 21時32分34秒

Nelson PassのZen Variations 9 には、LU1014Dが使われている。手元には以前にeBay経由で購入したLU1014Dがある。こうなると、LU1014Dの音を確認したくなる。

一度完成した2021年3月15日版に手を入れ、基板を作り直す。回路が単純なので作業は手間取らない。おまけに自己バイアスなので調整も簡単。1時間あまりで片チャンネルが完成した。

回路は以下の通り。
完成したアンプの姿。
放熱器には、秋月で売っているアルミ基板に載せたLU1014DとGS61004Bが見える。なお、鳴き止めのために上からかぶせてある細長のアルミ板にはGS66502Bとあるのはご愛敬。
そこで出てきた音なのだが、一聴して「涼しい音」である。うるさくなくて、透明感がある。これだけ聴けば不満なところがない。ところが、GaNアンプをすでに聴いている。あの音に比べると、奥に引っ込んでいて力がない。低音も薄く、足がない幽霊のようだ。

それだけならまだ我慢できる。じっと聴いていると知らないうちに気分が暗くなり、身体の調子までおかしくなるのには困った。
LU1014DはJFETに分類される。実を言えば、これまでJFETを使ったアンプを散々作ってきて、あの暗くて抑圧的な音に辟易してしまい、生涯使わないと心に決めていた。それが今回使う気になったのは、Nelson Passが推奨しているからということだけ。ところが、やっぱりダメだった。

ということでオールGaNタイプに戻る。

GaN 単段アンプ その8 (おそらく決定版)2021年04月03日 22時07分13秒

そこですべてGaN素子に戻したのだが、ついでに回路を見直して、無駄なところをそぎ落とした。回路は以下のとおり。
できあがった姿はこのとおり。基板の上の部品はこれだけ。実にシンプルで気持ちがよい。
以前使っていた部品を戻したのだから、熟成までそれほど時間はかからないと思う。それでも両チャンネルが完成してまだ24時間経過したばかりなので、堅いところが残っている。

それでも、LU1014D版と比べて出てくる音が全く違うのはすぐにわかった。一個の部品でこうまで差が出るのだから、これがオーディオのおもしろいところであるし、また恐ろしいところでもある。

これらのことからごく控えめに言えば、こうなる。
GaNはA級アンプに使っても非常に高い能力を発揮する。

もっと積極的な言い方をするなら、こうだ。
GaNはA級アンプで最もその性能を発揮することができ、出てくる音は他の素子よりも抜きんでている可能性がある。

VP-7723Aが壊れる2021年04月03日 22時24分29秒

このようにGaNを使った単段アンプを研究していく上で欠かせないのが測定器で、なかでも素子の最適動作点を探すためにはひずみ率計は必須となる。
それで今回、押し入れにしまっておいたVP-7723Aを引っ張り出して、なんども測定を繰り返すうちに、その使いやすさと正確さに実に頼もしく感じていた。

と、思った矢先、突然フリーズしてしまった。そもそもこの機械、某オークションで「故障品」として購入したもの。それを苦労して修理し、生き返らせてやったものである。それがまた壊れてしまったか。
操作パネルの表示がこんなふうになってしまう。

すぐに原因を探る。前回は、電解コンデンサの液漏れでパターン破断と素子が数個壊れて、AD変換部分が不具合に至ったことが原因だった。

しかし不具合の現象から見て、原因は前回とは別のところにあると考えられる。
現象は以下の通り。
冷たい状態で電源を入れると数分間だけ正常動作する。
ところが数分すると、パネルの操作を受け付けなくなりフリーズする。
電源を切って、すぐに入れ直しても、フリーズしたまま。
30分程度間を置いてから電源をオンすると、数分間だけ正常動作する。

これから推測されることは。
ロジック部に故障箇所があって、それ以外は問題がない。
故障を引き起こす引き金は素子が発する熱にあるようだ。
では、ロジック部のどの素子が壊れているのか。最初は74HCのいずれかのICかと思って、急冷スプレーを吹きかけても何の変化もない。
あれこれやってもらちがあかない。ロジック部で最も熱を発するのはCPUである。故障しているのはCPUではないかとにらんだ。
ある人たちには懐かしいZ80をルーツとする、今見れば骨董品のCPUである。
さがしてみると、古い部品なのに在庫品を売っているところがある。おそらく私のように古い機械の修理のために必要としている人たちが、いくらかいるのだろう。

そういえば、CPUのすぐそばにある電解コンに急冷スプレーを吹き付けたら、煙を噴いて壊れてしまったことがあった。やっぱりCPUあたりが臭い。この推測が正しいかどうかは、代替のCPUが来たとき判明する。

2021年11月28日追記
この後、新しいCPUに交換したところ、不具合現象は再現せず、この件はクローズした。ところが11月になって、同じ現象が再び起こるようになったことから、結局故障の真の原因はCPUではなかったことが判明した。
詳細は、11月27日以降の記事を参照されたい。