BORA ONEの11速化+セラミック化2018年02月01日 19時57分56秒

我が家にBORA ONEがやってきたのは、2010年3月でそれ以来貧脚な主人のために甲斐甲斐しく尽くしてきてくれた。販売された年代から当然10速仕様である。

そこへ昨年Shamal Ultra君が仲間入りしてきた。こちらはあたりまえだけれど11速仕様。とは言っても2台のマシンはいずれも10速のままなので、フリーボディにスペーサーを入れ10速として使うことになる。現在主流となっている11速化については、その必要もないだろうということで将来計画の俎上に上ることはなく、10速のまま、我がロードバイク人生を終わるつもりでいた。

ところが。。。今年に入ってから今シーズンの目標を考えているうちに、Shamal Ultraの回転性能のすばらしさを知った時、BORA ONEのハブがなんだか貧相に感じてしまったことを思い出した。実を言うと、WH-7850SLのセラミック化以来、いつかBORA ONEもと思いはあった。ところが諸般の事情で実現されることなく月日がたってしまったというわけである。そこで、セラミック化を決意した。

早速以前お世話になった舟辺精工さんにサイズ5/32のセラミックボールを60個注文、数日して送られてきた。
待てよ、ベアリングを交換するためにはフリーハブをはずさなければならない。ならばいっそのこと11速対応のフリーハブに交換したらどうか。ということになり、あっという間に2台のマシンを11速化する方向に話が加速した。

問題は予算であるが、死蔵していたUltegra 6600シリーズの部品や、ピットを踏んだEurus 2Wayfitをオークションで売りに出したところ意外に高値で売れ、幸い懐が少しばかり暖かくなっていたのでそれを充てることにした。

今日は午前中少し時間が取れたのでフロントのベアリング交換作業。シールがうまくはまらずにちょいと難儀したが、玉当たり調整も一発で決まり、問題なく終了。試しに手で回してみると、実になめらかに回る。左右のアクスル(軸)を持っている手に伝わってくる感触がたまらなく気持ちが良い。

夕方、仕事場から帰ってきてから今度はリアに挑戦。フリーハブのはずし方は難しくない。問題はその次。ハブ左右端にある固定ネジの堅いこと堅いこと。尋常ではない。事前にネットで調べていたので予想はしていたが、一瞬回す方向を間違ったかと思ったくらいである。こういうときは焦らず、しかし大胆にせめるしかない。格闘すること10分。無事にねじが緩んだときは正直ホッとした。
その後はフロントと同じ作業。シールをはめるところで手こずったくらい。フリーハブボディ用のグリスを買い忘れたので、組付けは後日。今の状態で回転させてみると、フロントに比べると少しコリコリ感を感じるが、おそらく数百キロ走るうちになじんでくるだろう。玉当たり調整が一発で決まるところはさすがカンパだと思わされる。

写真は、セラミック化する前のリアのベアリングの状態。長期間メンテナンスを怠っていたせいもあって、グリスも大分汚れていた。

BORA ONE 11速化+セラミック化 完了2018年02月02日 19時28分48秒

フリーハブボディ用のグリスを新たに買い求めねばと思っていたが、ネットで調べるとマイクロロンを使っている方がいることに気がついた。これならば手持ちがある。ただし、水に弱いとの指摘があって、こまめなメンテナンスが必要らしい。

今回、カンパのハブ分解でノウハウは習得したし、フリーハブの分解だけなら簡単な作業である。リスクを承知した上でマイクロロンを塗布した。一応、水の侵入を防ぐためにフリーハブを押さえるスリーブと固定ナット周辺にはデュラのグリースをたっぷりと塗っておいた。しかしよく考えると、ハブ本体とフリーハブの間には隙間があって、水はそこから入り込む可能性が高いわけなので、今回の処置はあまり意味がなかったかもしれない。

結果、よく言われるカンパ特有の爆音はなくなり、非常に静か。ただしこのままサイレンス状態をどこまで維持するかは、使ってみないとなんとも言えない。早速CS-R8000 11速のカセットを取り付ける。

その完成写真がこれ。やはり新品のカセットはピカピカ輝いて美しい。これを見ているだけでやる気が出てくるのだからゲンキンなものである。

GaN Transistorをダイオードとして使う2018年02月05日 22時16分34秒

昨年12月17日にBunpeiさんから、以下のようなコメントを頂いていた。一部再録させて頂くと。。。
「以下の発表資料によると、GaN素子のG-Sを直結するとダイオードと等価になるとこのことで、GS66502Bを買って5V用電源でトライしてみました。
https://superlab.stanford.edu/poster/APEC2017_slides_Sanghyeon.pdf SiCダイオードと交換したところ、何も放熱のしかけをしていないGS66502Bが熱くなるので、こわくなって止めました。 このアルミ基板で放熱の問題がなくなるならば、ダイオードとしての利用でInfineonのSiCとの比較を公開していただけると大変ありがたいです。 」

Bupeiさんから紹介していただいた資料を読むとたしかに次のような記述がある。
GS66502Bがダイオードとして使えるとは初耳だったので、これを見たときは目を疑った。早速シミュレーションをかけて確認してみた。比較に使ったのはInfineonの第6世代ダイオードである。

計算結果を見るとたしかにダイオードとして動作している。これだけ見るとGaNの旗色があまり良いとはいえないが、どこまで実態を反映しているかは不明である。実際に試してみなければわからない。

そこで、このごろやっとメインシステムが安定し評価環境が整ってきたこともあり、Bunpeiさんからの宿題に挑戦してみることにした。
こんな場合、ダイオードの評価としてもっとも適切に判断できるのは、これまでの経験からクロック発振器の電源であることがわかっている。今回もそこをターゲットとして選んだ。
これまで使っていたのはInfineonの第5世代ダイオード。
それをGaN素子であるGS66502Bに入れ替えた。
ニチコンの電解コンデンサKGシリーズで平滑化されたあと、Taylor型レギュレータに行き、ロシア製水晶発振器ГК154-П-Т (45.1584MHz)につながる。DACはここ数年ずっと使っているFN1241。
さて結果は。
交換した直後は、Infineonダイオードとほとんど似たような音が出たので、期待が大きかっただけに少々がっかりした。これならわざわざGaNに入れ替える必要はないだろう。

ところが時間が経過するうちにだんだん変化していくではないか。これは24時間経ってから評価したほうがよいと判断し、昨夜はそのままにしてとこに入った。

そして24時間経過。。
最近お気に入りの『CHARLIE HADEN /JIM HALL』を聴いてみた。むむ、違う。まだエージング不足の面があって硬いところはあるが、それでも違いは一聴瞭然。音が上も下もスーッと伸びていて、余韻が美しい。なにより演奏者の心がひしひしと迫ってくるのが良い。音楽に身体が同期してリズムを刻む。

クラッシクはどうか。バイロイト祝祭歌劇場実況録音盤『ローエングリン』を聴いてみた。これは私の愛聴盤でこれまで何度も繰り返して聴いているので変化はわかりやすいとの判断。
最初の出だしからもう違う。こんなにオーケストラの音量が豊かだったけ?ととまどうほど、スケールがふたまわりくらい大きく聴こえる。もちろんうるさくなることはない。むしろ演奏の隅々まで細かなところが手に取るようにわかる。声ももちろん言うことはない。口の周りの表情が読み取れるのではないかと思えるほどである。

この音を聴くと、さすがのInfineonでもまだまだ発展途上であることがわかってくるから恐ろしい。例えば以前なら低音が団子になってしまうことがあり、アンプやスピーカーのせいではないかと疑っていたが、GaNにしたらこれが一変したので驚いた。音と音とが重なり合って醸し出す微妙なゆれまで正確に表現する。これには舌を巻いた。

悩ましいのは値段である。変換基板を含むと1個1200円程度になるから、システム全体のダイオードを交換しようとなると結構な金額になる。こうなると、是非GaNダイオードが一般化することを願う。

GaNトランジスタをダイオードとして使うことに目を開かせてくださったBunpeiさんに改めてお礼をお申し上げる。これからエージングが進めばまだまだ変化していくと思われるので、随時続報を入れたいと思う。