クロック発振用レギュレータ(3)2005年11月03日 16時53分15秒

 原因を探るため、ADR423の出力波形を観測してみた。横軸10mV/div、横軸1μSecの解像度である。30mVp-pと、結構大きな値になっている。サイン波ではなく、上下が非対称になっているのは、内部回路の特性なのだろう。先ほどの入力電圧がそのままかかっているから、さすがのADR423の出力も影響を受ける。

DACの姿2005年11月03日 16時59分44秒

 現状のDACの様子である。いっしょに写っているのはおんぼろオシロスコープ。DACの下が電源の箱である。ここにも大きく手を入れた。電源内部の様子はまた次回にでも公開する。

対策後の音2005年11月03日 17時04分47秒

 ±5V電源の電源を強化した。33000μFを投入したところ、リップルは観測されなくなった。エージングはできていないが、早速音を出してみた。
 最初の出だしから昨日までの音とは全く異なっていることがわかる。やや腰高の印象は残るが、安心して聞ける音に変化した。どこかに欠点がある場合は、どうしても分析的にしか音を聞くことが出来ないのだが、欠点がなくなっていくと、音楽そのものを自由な気持ちで聞いていく。音楽が楽しく聞こえる。
 ドンジョバンニを聞くと、ホールの余韻が非常にすばらしく響くのがわかる。ヴァイオリンも美しい。どこも出っ張ったり、引っ込んだりしていない。欠点がない訳でもない。ソプラノの高い音域で若干の雑味が感じられる。透明感が失われている。エージングに期待しよう。
 男女混声合唱を聞く。今まで最も難しかったCDである。驚いた。今までと全く異なる音が出て来た。これまでは、音が薄くて、遠くからしか聞こえてこない印象だった。一見美しいが、虚像を見ているようで、もどかしかった。おまけにソプラノ高音域が濁ってしまい、音像もふらふら動いて、定まらない。
 ところが今日は、音が厚くなっている。低音が薄いと思っていたら、驚くほどの低い音が録音されている。ソプラノはもちろん濁らない。定位も明確。感激した。
 改造して良かった。苦労のかいがあった。きちんと理論を詰めていけば、結果がついてくる。システムの最も弱いところが、全体の音を決めてしまうことを今回も確認した。DACが良くなれば、きちんとその結果の音を出すということは、アンプとスピーカの完成度がかなり高いことの証左であろう。今更ながら、選んで来たものは間違いがなかったと安心した。

これも発振だった!2005年11月04日 12時24分13秒

 発振回路用のレギュレータだけがなぜあのようなサイン波を出してしまうのか、考えた。最初は絶対に負荷のせいだと思い込んでいた。しかしつじつまが合わない。発信器の周波数は16.9344MHzである。500KHzというような周波数が出てくる理由がないのだ。はたと考えて、思わず赤面した。レギュレータが発振しているのだ。今まで、レギュレータは安定動作と考えていた自分が恥ずかしい。
 原因を考えた。金田氏オリジナルと異なるのは基準電圧にツェナーではなく、ADR423を使っていること。ここも基本原則に帰って、オリジナルと異なるところを攻めなければならない。というか、今頃こんなことをするのは遅すぎる。単体でレギュレータを組上げた時点で波形を観測していれば、とっくの昔にわかっていたこと。思い込みに満ちた誤りをブログに書いて来たことになる。ここまで読んでくださった方にお詫びするしかない。
 気を取り直して、対策をどうしたか書こう。これも原因は電源のインピーダンスが関係しているとにらんだ。ADR423のマニュアルには、VinとGNDとの間にパスコンを入れるよう指定している。実機では、まあいいかといういい加減さで省略している。テスターで測定したら電圧がきちんと出ているからという安易な確認で済ませ、チェックを怠っていた。ここは原則通り、パスコンを入れることにした。2台のレギュレータには手持ちのOSコンを(容量は不明)、1台には双信のV2A0.1μFを接続。結果、一発で発振はなくなった。オシロで見ると、非常にきれいだ。もちろん、おんぼろオシロの観測限界内での話ではあるが。
 ということでお粗末な結末となった。これまでずっと発振したままのレギュレータで聞いていたことになる。それで悦に入っていたのだから恥ずかしい。音がどう変わるか楽しみだ。その結果はまた次の欄で報告する。

トラブル発生2005年11月05日 12時41分25秒

 完成間近と思った瞬間、トラブルが襲って来た。たて続けに二つも。
(1)CDプレーヤが動かない
 いつものようにスイッチを入れた。CDプレーヤの表示画面が明るくなる。ところが、初期動作として必ずする「ガー」が聞こえてこない。CDを回転させるモーターが一旦始点と終点を行き来する動きだ(ソニーの光学系が固定されているタイプなので)。
 この原因は、クロックがCDプレーヤに来ていない症状だ。すぐに、発振回路のレギュレータの電圧を測定する。0Vだ。もしかしてレギュレータが壊れた?
 ふとその先を見ると、レギュレータから延びているコードがぷらぷらしている。電解コンの端子から浮いている。原因はイモハンダ。なさけない。基本中の基本がおろそかになっているとこういうことになる。半田をやり直して、無事回復した。

(2)+5V、−15Vがおかしい!
 さて、夜ゆっくりとCDを聞こうと思い、スイッチを入れてエージング開始。30分くらいしていつものようにオフセット電圧を確認するためにテスターをあてると、「うわ。200mVもある。」そんな電圧は今まで出たことがない。どこかが壊れている。
 早速書くレギュレータの電圧を測定した。TDA1541Aに供給している+5Vがマイナス数十mVになっている。「えー?」おまけに−15Vの出力も−13Vあたりまで低下している。真っ青になった。「もしかしてDACがやられたのか?」
 気を取り直して、異常のあるレギュレータを外して再度電圧を測る。−15Vは正常出力となった。+5Vは変わらず。ここで可能性として (a)+5Vレギュレータが壊れた (b)DACが壊れた (c)その両方 が、考えられる。
 そこでまず+5Vを追跡。結論を書くと、これも結局イモハンダが原因だった。悲しい。相当目と手が衰えている。基準電圧となっているツェナーに電圧がかかっていなかったのだ。半田をやり直したら、正常復帰。
 もう一度配線し直して、オフセットを測ると今度は正常になっていた。ああ、良かった。一時は胃の痛くなる思いをしてしまった。
 つくずく基本動作が大事であることを認識させられた。ここまでシステムが大きくなっていくと、小さな不具合が全体に大きな影響を及ぼしていく。システムはかけ算だ。どこかがゼロになれば、すべてはゼロになる。
 考えてみると、今までこれほどまでに複雑な電気系を作ったことはなかった。誤配線だけがなかったのは救いだ。NASAのように巨大なシステムを完成させることがいかに大変なことか。システムの構築は、「小さなことに忠実に」これに尽きる。