Salas Reflektor 2011に手を加える2012年01月28日 13時39分58秒

 DACの+5.0V電源のレギュレータに、 Diyaudioで公表されているSalas Reflektor 2011を搭載した。当初は、部品箱にあるパーツを寄せ集めたので、一部の定数は妥協したままにし、とにかく無事動作することを最優先した。

 最初はひずみを感じない透明度の高い音と感心していたのだが、しばらく音を聞き続けるいくつか不満点が見えるようになってきた。

・音はきれいなのだが、今ひとつ躍動感に欠ける。
・高い周波数域の透明度は申し分ないのだが、低いほうの周波数域ではどこか幕がかかったようでもどかしさを感じる。
・音楽の感動が期待したように得られない。

 そこで次のような3点の対策を行った。
(1)定電流回路で全体の電流を規定している抵抗を従来の5.2Ωから3Ωにして、電流を増やした。
 これは、すでにDiyaudioで掲載されている対策で、電流を増やすことで「システムが歌い出した」と報告されている。
 本当はもっと増やしたいところなのだが、出力電圧が5.0Vであるため、動作条件を勘案するとこのあたりが限界である。

(2)シャント回路を構成するIRF640の直近に置かれたZobel回路で従来0.1uFであったものを0.47uFに増やした。これもDiyaudioに掲載されている対策で、本当は1uFが良いらしいのだが手持ちがないのでこれにした。

(3)基準電圧を構成している1S1588と1KΩ半固定抵抗と並列に接続している電解コンデンサを従来の10000uF(日ケミ一般品)から820uF×2にした。これはニチコンのLEシリーズで、三洋(パナソニック)がOSコンと称しているものと同類である。

 その結果は。
 エージングなしで聞いても、効果は絶大。躍動感があふれ、ワグナーの「タンホイザー」実況録音版を聞くと、目の前3メートルの位置で歌手が歌っているかのように聞こえる。音が生々しく、かつ鮮明。ステージ全景が手に取るようにわかり雄大な描写力は圧巻。とにかくすべてが「歌い出した」という印象だ。

 レギュレータでこんなに音が変わるのかと、ただただ驚いた。今までどうしても出せなくて悩んでいた音が軽々と出て来る。以前に感じていた堅い音など一つもない。何も気にせず、ただ音楽にどっぷりと浸れる。こんな幸せなことはない。もうこれ以上アンプをつくる必要がないし、作る理由もがなくなったように思い、何もすることがなくなったのだろうかと、逆に少し不安になってしまうほどだ。

 どうせまた手を加えたいという虫が起き出すに決まっているが、いずれにしても本当に良いレギュレータに出会うことができたとに感謝したい。

 部品数が少ないので、指定のMOS-FETを使い、カレントミラー回路に使うトラのペア取りさえきちんとしておけばノートラブルで動作する。

 ノイズは極小。たんにノイズの音が聞こえにくいということだけではなく、音楽信号に付随して発生する動的ノイズの発生が非常に小さく感じるという意味でもある。透明感が高く感じるのはそのせいなのだろう。

 ただ一点、従来のレギュレータと違うところは、出力電圧がドリフトすることである。一般の負帰還型レギュレータとは異なる動作原理で動いているせいなのだろう。スイッチオン直後から出力電圧が安定になるまで、数分程度かかる。

 その点だけ注意していただけるのなら、この回路は是非お勧めである。

On 2012 Sep. 10 wrote.
訂正 ニチコンLEコンデンサの数値が間違っていました。以下のように訂正します。diyAudioのみなさんには混乱させてしまったようで、申し訳ありません。
誤 8200uF
正 820uF

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