I/Vコンバーター その後2009年07月23日 18時58分53秒

 気になっていたドリフトを抑えるために、2SC960にかかるコレクタ電圧を+75Vから+50Vに変更した。コレクタ損失が減り、自己発熱が小さくなり、結果としてドリフトが抑えられる。それでも定常状態になるまでスイッチオンから10分程度かかる。もともと真空管の音が安定してくるまで30分はかかるので、実用的には支障がない。

 この他にもドリフトを抑えるためにいろいろ試行錯誤していた。いろいろなイデアを思いついた。
 その中の一つのアイデアは、2SA606をWE420Aのカソード側に接続する案だった。シンプルで効果が高いことはシミュレーションで確認しておいた。しかし、音を聴いてみると、トランジスタ特有の癖のある音が支配的になってしまう。これではせっかく真空管を導入した意義がなくなってしまう。即座に撤去してしまった。

 この結果から、ドリフトのことを除けば、今の回路が最善であると予想される。何かを追加しても、必ず悪い方向にしか作用しないだろう。期せずして、一発目でベストの回路となっていたことになる。

 今回の一連のことから、つくずくトランジスタというものは電流増幅素子なのだと思い知らされた。表面上は電圧を与えれば動くようにも見えるが、実質はベース電流でコレクタ電流を制御している。まさに教科書どおり。ベース接地回路といえども、この原理を忘れてはならない。真空管によってベース電流を完全に制御できれば、真空管の音が出てくることにもなるのだろう。今回の現象はこのように説明できる。