+5V電源2005年08月29日 09時40分11秒

 実は、電圧リファレンス素子が送られてくる間に予備実験をしておいた。三端子レギュレーターをはずして、新たなレギュレーターに置き換えてみたのである。
 何に置き換えたか。金田明彦氏がずっと以前に発表している+5Vレギューレーターである(参考図書;「時空を超えた音楽再現、オーディオDCアンプシステム 上巻」p178)。ただしデッドコピーではない。よく見ると性能改善の余地があるように思われる。オリジナル回路では、基準電源となるツェナーダイオードへの電流を非安定電源から定電流回路を通して流している。金田氏もかなり悩まれたのではないかと推測される部分。ベストではないが、ベターな解決策としてこのような手法をとられたのだろう。プラマイ5V電源を同時に使うと不具合が出るためと説明されている。
 であれば、+電源だけを使うならば大丈夫なはず。早速、安定化電源からツェナーに電流を流すように変更した。その代わり、スタート回路も必要になる。それも追加。そしてもう一カ所。ツェナーダイオードの代わりに、スイッチングダイオードをシリーズ接続して所望の電圧を得るようにした(1S1588×4個)。これは手持ちに所定のツェナーがなかったという理由。
 結果は。うまくうごかない。出力が出ない。スタート回路から電流を引っ張ったまま、張り付いてしまう。制御トランジスタが電流をよこせとがんばっているようなのだ。この問題を解決するのに数日かかった。
 制御トランジスタが電流を引っ張るのであれば、その影響を受けないようにすれば良い。スタート回路の役割は、カスコードトラと、ツエナーに電流を与えることだけだ。ということで、スイッチングダイオード(1S1588)2個を安定化電圧部からカスコードトランジスタのベースの間に入れた。改良前は抵抗でつないでいた部分である。その結果無事に動作するようになった。本当に電子回路は難しいものである。またそこがおもしろいのかもしれない。
 問題の音はどうなったか。このレギュレーターを発振回路に入れてみた。音が大きく変わった。帯域が上下に延びたように感じる。ピアノの実在感が増す。ベースやドラムの音の動きが明瞭になった。に耳に障るようなピークがなくなって滑らかになる。
 これで三端子レギュレーターを一刻も追放しなければという確信が強まった。