TDA1541A-S1 DAC 製作記2 ― 2022年11月30日 21時25分40秒
この一ヶ月、回路にいろいろ修正を加えて、だいたいフィクスしてきたので全体の回路図を公開する。
まずはDAC本体から。 ポイントは以下のとおり。
(1)デジタル部
・DDCはI2SoverUSBを採用。理由は三つある。1)USB側とDAC側との間がアイソレーターによって分離されている。2)リクロック回路が内蔵されている。3)TDA1541Aのsimultaneous mode信号を出力できる。
・Laptech OSCのクロック信号(サイン波)の矩形波変換は実績のあるLTC6957を採用する。
・DACはもちろんTDA1541A-S1で、これを左右分離の2パラ接続で使用。
・以下二つの内容はこecdesigns氏のアイデアによる。
・いわゆるDEMリクロック回路は採用しない。その代わり、DEMの発振周波数を50Hzに落とす。デカップリングCは別府氏によればASCが指定であったのだが、DEMの発振周波数が極端に低くなるため、100uFの電解コンデンサとなる。
・DACは前述の通りsimultaneous modeで使用する。
(2)アナログ部
・i/V変換は18Ωの抵抗一本で行う。
・データシートによれば、TDA1541A-S1のアナログ出力のコンプライアンスは、±25mV以内と定められている。抵抗I/Vを採用すると大信号ではこれを守れないケースが出てくるが、ここは妥協する。これはecdesign氏のアイデアであるが、最初これを見たときは正直ちょっと驚いた。しかし様々なI/V変換法を実験した結果、これがベストだったという。使用する抵抗はもちろんVARである。当初は実験的にZ201抵抗を使用していたが、VARに変えたとたん、その格の違いに驚いた。少々高価ではあるが、これしかない。
・18Ω抵抗そのままでは振幅電圧が小さいので、トランスでステップアップする。これはローパスフィルタも兼ねる.
・DACのアナログ出力電圧ゼロ補償はこれも抵抗一本で行う。これも上記のような実験結果による。ただし、この抵抗も音質に大きな影響を与えるので、VARを採用する。電流値の調整は10KΩ半固定抵抗でおこなう。
続いて電源部。
(1)電源トランスと整流部の回路 ・USB側とDAC側とは電源から分離するので、その分トランスが一個必要となる。
・アナログ部の電源も左右分離とし、特に重要な-15V電源についてはチョーク入力平滑回路とした。また平滑コンデンサにはWEST-CAPを並列に入れる。これも結構効いてくる。
・USB側電源を除いて、DAC部、アナログ部の整流にGaN素子を採用した。
(2)続いてプラス側レギュレータ関連 ・制御素子はUSB側電源を除いてほかはすべてGaNを採用。
・無帰還とする。
(3)次にマイナス側レギュレータ関連 ・同じく制御素子にGaNを採用。
・こちらは負帰還をかけている。 ・マイナス電圧の制御は通常p-ch MOSFETもしくはバイポーラトランジスタを使うのが王道であるが、n-ch素子であるGaNを使いたい。そこで回路を工夫した。ただしバオポーラトランジスタに特有のアーリ電圧による音質劣化を避けるなければならない。そこでカレントミラー回路が登場する。実験すると安定して動作する。今後マイナス電圧レギュレータの基本回路となるだろう。
まずはDAC本体から。 ポイントは以下のとおり。
(1)デジタル部
・DDCはI2SoverUSBを採用。理由は三つある。1)USB側とDAC側との間がアイソレーターによって分離されている。2)リクロック回路が内蔵されている。3)TDA1541Aのsimultaneous mode信号を出力できる。
・Laptech OSCのクロック信号(サイン波)の矩形波変換は実績のあるLTC6957を採用する。
・DACはもちろんTDA1541A-S1で、これを左右分離の2パラ接続で使用。
・以下二つの内容はこecdesigns氏のアイデアによる。
・いわゆるDEMリクロック回路は採用しない。その代わり、DEMの発振周波数を50Hzに落とす。デカップリングCは別府氏によればASCが指定であったのだが、DEMの発振周波数が極端に低くなるため、100uFの電解コンデンサとなる。
・DACは前述の通りsimultaneous modeで使用する。
(2)アナログ部
・i/V変換は18Ωの抵抗一本で行う。
・データシートによれば、TDA1541A-S1のアナログ出力のコンプライアンスは、±25mV以内と定められている。抵抗I/Vを採用すると大信号ではこれを守れないケースが出てくるが、ここは妥協する。これはecdesign氏のアイデアであるが、最初これを見たときは正直ちょっと驚いた。しかし様々なI/V変換法を実験した結果、これがベストだったという。使用する抵抗はもちろんVARである。当初は実験的にZ201抵抗を使用していたが、VARに変えたとたん、その格の違いに驚いた。少々高価ではあるが、これしかない。
・18Ω抵抗そのままでは振幅電圧が小さいので、トランスでステップアップする。これはローパスフィルタも兼ねる.
・DACのアナログ出力電圧ゼロ補償はこれも抵抗一本で行う。これも上記のような実験結果による。ただし、この抵抗も音質に大きな影響を与えるので、VARを採用する。電流値の調整は10KΩ半固定抵抗でおこなう。
続いて電源部。
(1)電源トランスと整流部の回路 ・USB側とDAC側とは電源から分離するので、その分トランスが一個必要となる。
・アナログ部の電源も左右分離とし、特に重要な-15V電源についてはチョーク入力平滑回路とした。また平滑コンデンサにはWEST-CAPを並列に入れる。これも結構効いてくる。
・USB側電源を除いて、DAC部、アナログ部の整流にGaN素子を採用した。
(2)続いてプラス側レギュレータ関連 ・制御素子はUSB側電源を除いてほかはすべてGaNを採用。
・無帰還とする。
(3)次にマイナス側レギュレータ関連 ・同じく制御素子にGaNを採用。
・こちらは負帰還をかけている。 ・マイナス電圧の制御は通常p-ch MOSFETもしくはバイポーラトランジスタを使うのが王道であるが、n-ch素子であるGaNを使いたい。そこで回路を工夫した。ただしバオポーラトランジスタに特有のアーリ電圧による音質劣化を避けるなければならない。そこでカレントミラー回路が登場する。実験すると安定して動作する。今後マイナス電圧レギュレータの基本回路となるだろう。
Circlotorn3 位相補償の検討 ― 2019年10月06日 21時58分15秒
あれからずっと試聴を重ねてきた。エージングが落ち着いてくると、最初はよいバランスだと思っていたのがどうも高音が耳につくようになってきた。長時間聴いていられない。
無帰還アンプでは問題にならないのだが、高帰還アンプでは位相補償については十分な配慮をしなければならない。今回問題はそこに原因があると睨んだ。
そこでまず帰還抵抗に120pFをパラってみた(微分型補償)。最初はこれで良いかと思ったのが、やはりよくない。まだ足りないようだ。
そこで330pFに変更。こんどはドンピシャリで、聴いていてこれまでの印象とずいぶん違い、落ち着いて聴き続けることができる。出過ぎていた高音のエネルギーにマスクされていたものが一挙に聞こえてくる様子で、心が躍り出す。
今回のことから、位相補償がうまくできるかどうかで、アンプの出来不出来が決まることが改めてわかる。どんなにすばらしい部品とすばらしい回路でも、位相補償が適正でないとすべてが台無しになる。高帰還アンプが嫌われるのには、意外にこんな理由があったのかもしれない。
最終の回路図は以下の通り。
8Ω負荷時の10KHz矩形波は以下の通りで、まったくリンギングもオーバーシュートもなく美しい。
高域カットオフ周波数は130KHzで、当たり前だがシミュレーションと完全に一致していた。
Circlotron3はこれにてフィクスとする。
次は、仕掛かり中のKT88ppに移る予定。
無帰還アンプでは問題にならないのだが、高帰還アンプでは位相補償については十分な配慮をしなければならない。今回問題はそこに原因があると睨んだ。
そこでまず帰還抵抗に120pFをパラってみた(微分型補償)。最初はこれで良いかと思ったのが、やはりよくない。まだ足りないようだ。
そこで330pFに変更。こんどはドンピシャリで、聴いていてこれまでの印象とずいぶん違い、落ち着いて聴き続けることができる。出過ぎていた高音のエネルギーにマスクされていたものが一挙に聞こえてくる様子で、心が躍り出す。
今回のことから、位相補償がうまくできるかどうかで、アンプの出来不出来が決まることが改めてわかる。どんなにすばらしい部品とすばらしい回路でも、位相補償が適正でないとすべてが台無しになる。高帰還アンプが嫌われるのには、意外にこんな理由があったのかもしれない。
最終の回路図は以下の通り。
8Ω負荷時の10KHz矩形波は以下の通りで、まったくリンギングもオーバーシュートもなく美しい。
高域カットオフ周波数は130KHzで、当たり前だがシミュレーションと完全に一致していた。

次は、仕掛かり中のKT88ppに移る予定。
カスコード増幅回路を考察する ― 2019年08月28日 10時50分17秒
休暇の最終日。普段なかなか手をつけられないでいた宿題を片付けておこう。
Tube CAD Journalに、2016年4月30日のの日付でカスコード増幅回路に関する非常に興味深い記事が掲載されている。まずは下の回路をご覧いただく。(出典 Tube CAD Journal)
左側は、真空管とトランジスタで構成されたカスコード増幅回路であることに異論はない。では右側の回路はどうか。このサイトの管理人であるJohn Broskie氏によれば、シミュレーションによってPSSR、出力インピーダンス、ひずみ率ともに全く同一で差がなかったと報告している。
しかしながら同氏は、出力される位相が180°違うことを根拠に、この二つの回路を同じ名称で呼ぶべきではなく、右側回路についてはRetrograde-Cascodeと呼ぶよう提案する。
どう呼ぶのかについてはいろいろ議論がありそうだが、右側もカスコード増幅回路の一種であることには間違いなさそうである。問題は、ではカスコード増幅回路の本質は何であって、右側回路はどのようにしてその本質が実現されているかである。
ある方が右側回路を見て、これはカソードフォロワーの変種ではないのかと述べたそうだが、それは誤りであろう。なぜならもしカソードフォロワーであるならカソード電圧は信号によって変化しなければならない。ところがこの回路ではPNPトランジスタによって固定されている。
実はそこにヒントがある。左側の回路を見るとプレート電圧はNPNトランジスタによって固定され、なおかつカソード電圧もコンデンサによって交流的に固定されいていると見なすことができる。すなわち、どのような信号が加わってもVp-k電圧が変動せず固定されている、これがカスコード増幅回路の定義であろう。
翻って右側回路を眺めてみると、プレート電圧は交流的に接地しているので固定されている。なおかつカソード電圧もPNPトランジスタによって固定されているので、立派にカスコード増幅回路の定義を満たしている。
John氏は1988年に次のようなアンプを作ったという。友人たちには散々なコメントもらったそうだが、今から見ると非常に先進的な回路である。(出典 Tube CAD Journal)
同様の回路を2015年頃に「単管ドライブアンプ」と称してK氏がMJ誌に発表しているが、あれは残念ながらオリジナルではなかった。
John氏は、NFBをかける際に出力電圧を注意深く反転入力側に戻し、カソード側にあるPNPトランジスタがカソード電圧を固定する役割に徹するようにしている(出力電圧を安定化させるためにサーボアンプの出力をベースに戻しているが、交流的にベースは接地されているとみなすことができる)。
このようなすばらしい開拓者に励まされて、KT88ppアンプの初段には右側回路を応用したカスコード増幅回路を採用した。
しかしそのままコピーというわけではない。まずは次のシミュレーション回路を見ていただく。 左側のCase1はカソード電圧を固定したカスコード増幅回路。この回路を維持しながらNFBをかけたいというところから検討が始まった。本来であればJohn氏のように反転入力側に出力を戻せば事足りる。しかしそうなるとどうしても入力インピーダンスが低くなり、汎用性が若干犠牲になる。
そこで考えついたのが、右側のCase3のようにPNPトラのベースにNFB電圧を戻す方法。しかしこうなるとPNPトラはもはやベース接地動作ではなくエミッタ接地動作とみなさなければならず、出力インピーダンスは低くなるとともに、ミラー効果も生まれるはず。そもそもこの回路は、6DJ8のカソード電圧が固定されていないのだから、カスコード増幅回路の定義を満たしていない。
「ものごとは二つと良いことはない。」これは心理学者であった河合隼雄氏の口癖であったようだが、今回もまさにそのとおりで、どこかで妥協点を求めることになる。
一つは、Case3のままでも得られるメリットが大きければよしとする案。もう一つは、Case3で生じた出力インピーダンスの低下を防ぐためにPNPトラに対してカスコード増幅回路を設ける案。それが真ん中のCase2である。
シミュレーションしてみると意外なことにCase3ががんんばっていて、歪み率だけ見ればCase3が優位にある。ただしカットオフ周波数はCase2にはかなわない。そこはきちんとカスコード増幅回路の効果が出ている。
この結果をどう評価するか。
部品点数の増加を抑えるならCase3を選択すべきだろう。ただし、KT88ppアンプはバランスタイプなので、ホット信号とコールド信号の対称性を問題にしなければならない。そうするとCase3のQ4トランジスタのマッチングが必須となる。表面実装部品ではかなり面倒な作業となる。
ところが、Case2ではQ2にかかる電圧を小さくできるので小信号トラが使える。回路図ではZTX560となっているが、ここはスルーホールの2N4403を使う。すでにマッチングしたものが引き出しの中にあるという理由と、もうひとつ、かつてMark LevinsonのJC-1DCに2N4403が使われていたとの理由からこれを採用した。もちろん製造プロセスは、エピタキシャル・プレーナである。
ちなみに、各回路の周波数特性は以下の通りとなる。 Case2において明らかにカスコード増幅回路の効果が認められ、Case1にNFBを施したときに得られる周波数特性に近似する。
結論。
KT88ppアンプの初段は、6DJ8から見れば純粋なカスコード増幅回路ではない。しかしCase2のQ2をカスコード増幅回路で構成することにより、Case1とほぼ同等の周波数特性を得ることができる。
Tube CAD Journalに、2016年4月30日のの日付でカスコード増幅回路に関する非常に興味深い記事が掲載されている。まずは下の回路をご覧いただく。(出典 Tube CAD Journal)
左側は、真空管とトランジスタで構成されたカスコード増幅回路であることに異論はない。では右側の回路はどうか。このサイトの管理人であるJohn Broskie氏によれば、シミュレーションによってPSSR、出力インピーダンス、ひずみ率ともに全く同一で差がなかったと報告している。
しかしながら同氏は、出力される位相が180°違うことを根拠に、この二つの回路を同じ名称で呼ぶべきではなく、右側回路についてはRetrograde-Cascodeと呼ぶよう提案する。
どう呼ぶのかについてはいろいろ議論がありそうだが、右側もカスコード増幅回路の一種であることには間違いなさそうである。問題は、ではカスコード増幅回路の本質は何であって、右側回路はどのようにしてその本質が実現されているかである。
ある方が右側回路を見て、これはカソードフォロワーの変種ではないのかと述べたそうだが、それは誤りであろう。なぜならもしカソードフォロワーであるならカソード電圧は信号によって変化しなければならない。ところがこの回路ではPNPトランジスタによって固定されている。
実はそこにヒントがある。左側の回路を見るとプレート電圧はNPNトランジスタによって固定され、なおかつカソード電圧もコンデンサによって交流的に固定されいていると見なすことができる。すなわち、どのような信号が加わってもVp-k電圧が変動せず固定されている、これがカスコード増幅回路の定義であろう。
翻って右側回路を眺めてみると、プレート電圧は交流的に接地しているので固定されている。なおかつカソード電圧もPNPトランジスタによって固定されているので、立派にカスコード増幅回路の定義を満たしている。
John氏は1988年に次のようなアンプを作ったという。友人たちには散々なコメントもらったそうだが、今から見ると非常に先進的な回路である。(出典 Tube CAD Journal)
同様の回路を2015年頃に「単管ドライブアンプ」と称してK氏がMJ誌に発表しているが、あれは残念ながらオリジナルではなかった。
John氏は、NFBをかける際に出力電圧を注意深く反転入力側に戻し、カソード側にあるPNPトランジスタがカソード電圧を固定する役割に徹するようにしている(出力電圧を安定化させるためにサーボアンプの出力をベースに戻しているが、交流的にベースは接地されているとみなすことができる)。
このようなすばらしい開拓者に励まされて、KT88ppアンプの初段には右側回路を応用したカスコード増幅回路を採用した。
しかしそのままコピーというわけではない。まずは次のシミュレーション回路を見ていただく。 左側のCase1はカソード電圧を固定したカスコード増幅回路。この回路を維持しながらNFBをかけたいというところから検討が始まった。本来であればJohn氏のように反転入力側に出力を戻せば事足りる。しかしそうなるとどうしても入力インピーダンスが低くなり、汎用性が若干犠牲になる。
そこで考えついたのが、右側のCase3のようにPNPトラのベースにNFB電圧を戻す方法。しかしこうなるとPNPトラはもはやベース接地動作ではなくエミッタ接地動作とみなさなければならず、出力インピーダンスは低くなるとともに、ミラー効果も生まれるはず。そもそもこの回路は、6DJ8のカソード電圧が固定されていないのだから、カスコード増幅回路の定義を満たしていない。
「ものごとは二つと良いことはない。」これは心理学者であった河合隼雄氏の口癖であったようだが、今回もまさにそのとおりで、どこかで妥協点を求めることになる。
一つは、Case3のままでも得られるメリットが大きければよしとする案。もう一つは、Case3で生じた出力インピーダンスの低下を防ぐためにPNPトラに対してカスコード増幅回路を設ける案。それが真ん中のCase2である。
シミュレーションしてみると意外なことにCase3ががんんばっていて、歪み率だけ見ればCase3が優位にある。ただしカットオフ周波数はCase2にはかなわない。そこはきちんとカスコード増幅回路の効果が出ている。
この結果をどう評価するか。
部品点数の増加を抑えるならCase3を選択すべきだろう。ただし、KT88ppアンプはバランスタイプなので、ホット信号とコールド信号の対称性を問題にしなければならない。そうするとCase3のQ4トランジスタのマッチングが必須となる。表面実装部品ではかなり面倒な作業となる。
ところが、Case2ではQ2にかかる電圧を小さくできるので小信号トラが使える。回路図ではZTX560となっているが、ここはスルーホールの2N4403を使う。すでにマッチングしたものが引き出しの中にあるという理由と、もうひとつ、かつてMark LevinsonのJC-1DCに2N4403が使われていたとの理由からこれを採用した。もちろん製造プロセスは、エピタキシャル・プレーナである。
ちなみに、各回路の周波数特性は以下の通りとなる。 Case2において明らかにカスコード増幅回路の効果が認められ、Case1にNFBを施したときに得られる周波数特性に近似する。
結論。
KT88ppアンプの初段は、6DJ8から見れば純粋なカスコード増幅回路ではない。しかしCase2のQ2をカスコード増幅回路で構成することにより、Case1とほぼ同等の周波数特性を得ることができる。
Circlotron3 見えてきた次なる課題 ― 2019年08月27日 12時55分15秒
終段に用いているGaN素子(GS66502B)のG-S間抵抗をVARに交換してすばらしい音が出ることを確認。その後、エージング期間に入り、感動の薄い音になってしまった。いつものことなので、ここはひらすら忍耐。ここにきてやっと本来の音に戻りつつある。
さて良いことずくめに見えているCirclotron3であるが、実は憂鬱な事実が発覚した。
ほぼフィクス状態になったのでPanasonicのオーディオアナライザVP-7723Aを使ってひずみ率の測定をしたのだが、いささかがっかりするような結果になった。
THD+N(%)
いずれの数値もシミュレーションに比べて3〜4倍程度悪い。
その原因についてはいくつか考えられる。
その一つは電源から侵入するノイズ。測定はEMIフィルタを入れる前に行っていた。
そしてもう一つの原因。
これは予想していなかったわけではない。シミュレーションは、同じ品番であればすべて特性が一致していることを前提に計算を行う。しかし現実には、すべての素子にはばらつきがあり特性が一致することなどあり得ない。この特性の不一致がCirclotron3で特に影響を与えるのがカレントミラー部であることはわかっていた。本来ならば素子を選別しなければならない箇所である。しかし今回はそれを省略。表面実装部品を使ったこともあって、選別が非常に面倒であったことが理由。とにかく動くことを優先した。
積極的な見方をするなら、無選別でもよくぞここまで素晴らしい音が出るものだと言えなくもない。とはいえ、このままではCirclotronが持っている本来の実力を出し切っていないのは明らか。そこで次なるステップに進むことになる。
対策。面倒なカレントミラー回路を使わずに、もっとシンプルな形でWE420AとGS66502Bを結合できればこの問題は解決する。それが可能かどうか、まずはKT88ppアンプで実証する予定である。
さて良いことずくめに見えているCirclotron3であるが、実は憂鬱な事実が発覚した。
ほぼフィクス状態になったのでPanasonicのオーディオアナライザVP-7723Aを使ってひずみ率の測定をしたのだが、いささかがっかりするような結果になった。
THD+N(%)
出力 | 100Hz | 1KHz | 10KHz |
---|---|---|---|
0.45W | 0.270 | 0.168 | 0.206 |
1.4W | 0.505 | 0.365 | 0.424 |
4.5W | 1.14 | 1.02 | 1.06 |
いずれの数値もシミュレーションに比べて3〜4倍程度悪い。
その原因についてはいくつか考えられる。
その一つは電源から侵入するノイズ。測定はEMIフィルタを入れる前に行っていた。
そしてもう一つの原因。
これは予想していなかったわけではない。シミュレーションは、同じ品番であればすべて特性が一致していることを前提に計算を行う。しかし現実には、すべての素子にはばらつきがあり特性が一致することなどあり得ない。この特性の不一致がCirclotron3で特に影響を与えるのがカレントミラー部であることはわかっていた。本来ならば素子を選別しなければならない箇所である。しかし今回はそれを省略。表面実装部品を使ったこともあって、選別が非常に面倒であったことが理由。とにかく動くことを優先した。
積極的な見方をするなら、無選別でもよくぞここまで素晴らしい音が出るものだと言えなくもない。とはいえ、このままではCirclotronが持っている本来の実力を出し切っていないのは明らか。そこで次なるステップに進むことになる。
対策。面倒なカレントミラー回路を使わずに、もっとシンプルな形でWE420AとGS66502Bを結合できればこの問題は解決する。それが可能かどうか、まずはKT88ppアンプで実証する予定である。
EMIフィルタ ― 2019年08月26日 17時12分19秒
Circlotron3が完成したと宣言したが、実はいくつか課題が残っていた。
電源オンからプロテクタが解除されるまでの約90秒間、終段に微量のアイドリング電流が流れているので完全にシャットオフしているわけではない。その90秒間、ラジオ放送が聞こえるではないか(笑)
プロテクタが解除されて完全にオン状態になるとさすがにラジオ放送は聞こえなくなるが、不定期にジーというノイズが入る。スピーカの能率が高いので結構耳につく。これには困った。
電源から侵入するノイズが原因であることは明白。なので対策も明快である。EMIフィルタを入れる。
数年前に手に入れたコモンモードファインメットチョークであるF1AH0722に教科書通りにXキャパシタとYキャパシタを接続。 これを車庫にあった21mm厚の合板を切って電源ボックスの形にする。塗装していないのでまことに不細工である。
箱の中はこんな様子。一応、銅箔テープを張り巡らしてあるが、おそらく気休めに過ぎないだろう。
数年前に庭にアース棒を打ち込んだ結果、接地抵抗は10Ω以下を達成している。そのアース線にEMIフィルタを接続する。写真に写っている黒い線がそれである。
さて、その効果は。
あの気になるノイズは全く聞こえなくなった。効果はてきめんだった。これを静寂と言うのだろう。安心して音楽に没頭できる。
電源オンからプロテクタが解除されるまでの約90秒間、終段に微量のアイドリング電流が流れているので完全にシャットオフしているわけではない。その90秒間、ラジオ放送が聞こえるではないか(笑)
プロテクタが解除されて完全にオン状態になるとさすがにラジオ放送は聞こえなくなるが、不定期にジーというノイズが入る。スピーカの能率が高いので結構耳につく。これには困った。
電源から侵入するノイズが原因であることは明白。なので対策も明快である。EMIフィルタを入れる。
数年前に手に入れたコモンモードファインメットチョークであるF1AH0722に教科書通りにXキャパシタとYキャパシタを接続。 これを車庫にあった21mm厚の合板を切って電源ボックスの形にする。塗装していないのでまことに不細工である。


さて、その効果は。
あの気になるノイズは全く聞こえなくなった。効果はてきめんだった。これを静寂と言うのだろう。安心して音楽に没頭できる。
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