整流管からGaNダイオードに換装2022年03月29日 20時24分57秒

300Bアンプの音は整流管が大きく影響することは、衆目の一致するところ。理想はWE274A/Bであることにも異論はない。しかしあまりにも高価で庶民には手が出ない。まずはということでPSVANE 274Bを手に入れて音を聞いてみると、先達の言うことが身にしみてくる。

このアンプ、素質はすばらしいと思うのだが、どうしても粗野で荒削り、空間にホコリが舞っているようでいがらっぽく、整流管が足を引っ張っているとしか思えない。

そこで、GaN Transistorをダイオード接続して整流管と入れ換える計画を立てた。真っ先に検討しなければならないのが耐圧。電源トランスの二次電圧が400Vacで、その3倍の耐圧が必要だ。GaN TransistorのVdsは最大650Vだから、そのままでは耐圧不足なので二個直列接続して耐圧を稼ぐ。

変換基板とGaN Transitorが届き、簡易リフローで半田付けもうまくできることが確認できた。役者がそろったところで、300Bシングルアンプに実装する。今回採用したのはGS0650041L。単価が劇的に安くなり、気軽に使えるようになったのがうれしい。

ほんとうはまな板シャーシの内側に配置したかったのだが、残念ながらスペースがない。整流管ソケットのすぐそばに木ネジで固定した。裸のままでは危険なので、黄色に見えるカプトン(ポリイミド)テープで絶縁処置をした。写真では2枚の変換基板が見えているけれど、それぞれ2枚重ねになっているので合計4枚である。
まな板を使うと、こういうとき気軽に改造できるところがよい。
回路図は次のようになる。
変更箇所は、B電源の整流部だけでほかはこれまでと変わらない。
さて音はどうなったか。
最初の数時間は、ひどい音だった。しかしそこを過ぎていくと、徐々に本領を発揮し始め、そのすばらしさにしばし聞き惚れてしまった。これまでの整流管がいかに足を引っ張っていたかがよくわかる。もっともそれはPSVANEが悪いのではなく、安いものを使ってしまった私の不覚である。

GaNダイオードがすばらしい成果を上げるだろうことは予想していた。しかしここまでとは少々驚いた。

お代を云々するのは野暮かもしれないが、一応書いておく。数字は2チャンネル分である。
GS0650041L 単価2.97ドル × 8 =23.76ドル
変換基板 単価.0236ドル× 8 =1.888ドル
合計 25.648ドル
円安になった今のレートで計算すれば、3,180円。
このような素晴らしい音がこの値段で実現できるとは。この落差がなんともすばらしい。もう整流管の選択で悩むことはない。

コメント

_ Bumpei ― 2022年04月09日 22時56分09秒

GaNのダイオード接続の効果が出た記事を、とてもうれしく拝見しました!直列接続すると耐圧が稼げるのですね。

_ (未記入) ― 2022年05月10日 21時47分27秒

Bunpei様
いままでブログを放っておたので、お返事が遅くななってしまいました。
直列接続はダイオードの耐圧を稼ぐ常套手段ですが、GaNダイオードでも通用するかはやってみるまで少し不安でした。うまくいって胸をなで下ろしています。

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