Single End Amp with GaN Transistor 試行錯誤篇2022年03月24日 21時32分06秒

前回発表の回路に行き着くまでにあれやこれやと試した中で、密かに期待していた回路構成があった。
まずはその回路図から。
できるだけ回路を簡略化するために、入力はトランスで受ける。ただこのトランスの使い方が変則的で、一次が40Ω(二次は600Ω)であるのに600Ωのフェーダーを通して信号を入れている。なのでどうしても周波数特性があまりよくなく、-3dBポイントが44〜100KHzとなる。

その点は試作ということでとりあえず脇に置いて、この回路の特徴は、終段にある。ふたつある7963の左側は典型的なカソードフォロワーなのだが、その右側はプレートが電源ではなくGS66502Bのドレインに接続されている。これは通称「タマリントン」と呼ばれるもので、GaN素子と組み合わせることで三極管特性を実現できる。それによって300Bアンプと同じ傾向の音が出るのではないかと考えたわけである。

実装の様子。
そして歪率特性。
入力トランスを変則的に使った悪影響が100Hzの歪率に表れている。1KHzと10KHz変化が離れており、回路が理想的でないことを示唆している。

肝心の音であるが、残念ながら期待したほどのことはなかった。単純なカソードフォロワー+終段GaN の構成の音とほとんど変わらない。
7963は、10Vのプレート電圧でも動作するのだが、そうなるとグリッド電流も流れやすく、それがどうも影響しているのではないかと推測している。
これを避けるためには、プレート電圧を高くするしかなく、そうするとGaN素子の消費電力も大きくなり、SOAを満足できなくなるので実現困難となる。

結局、この回路はボツとなった。

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