VP-7723A 修理完了2021年12月08日 19時24分17秒

発注していた水晶発振子が届いた。
上がもともと使われていたもの。下が今回入手したもの。表面にある数字は従来品が16.000MHzとあるのに対し、新しいものは16.000000MHzとあるので、発振周波数誤差は±1Hz未満となり、まことにすばらしい。これがたった160円とは驚いた。
基板に半田付けした様子。電源を入れると最初はうまく発振しなかったが、数分後に何かの拍子に16MHzで発振し始め、それ以来安定している。おそらく発振回路が最適化されていないのかもしれない。本当はもっと追求すべきなのだろうが、今回はそのままとする
電源を入れて、内蔵OSCの発振波を測定してみるとそれなりの数値が表示される。ただ、校正はしていないので、そのことをわきまえながら使うことになる。なおマニュアルによれば、入力レベル3.16V, 発振周波数1KHzでは歪率0.001%以下の実力があるようだが、ご覧のとおり実力値はそれよりも少々悪い。電源周りの電解コンデンサが劣化しているせいなのかもしれない。
いずれにせよ、これで再び測定ができるようになったので、ひとまず肩の荷が下りた。

300Bシングルアンプ 測定篇2021年12月08日 20時03分17秒

2021年11月1日に載せた回路図でどのような性能になったか。VP-7723Aが復活したので、早速測定してみた。
まずは歪率特性から。
歪率特性は、各周波数の差が少なく、変化も癖がなく素直で好ましい。実はこれを見るまで、今回の設計がうまくいったかどうか確信をもてないでいたのだが、これで一安心した。
残留雑音については、AC点火でハムバランサなしという厳しい条件のなかでよく健闘していると思う。

続いて周波数特性。
10~20Hz付近に盛り上がりが見られるのは、終段のパラフィード(クラーフ結合)のCとLによるもので、予想の範囲。
むしろ注目すべきのは、低域の-3dBポイントが5Hz付近にあること。出力トランス(ST-171A-M)の仕様では20Hzとあるから、よい方向に拡大している。おそらく終段のP-G帰還によって内部抵抗が低くなったためだろう。

気になるのは高域で、-3dBポイントが16KHzである。出力トランスの仕様では20KHz付近となっているので、高域の減衰が若干早い。音を聴く限り、ナローにはまったく感じられないので、これはこれでよしとする。300Bのグリッド抵抗(200KΩ)が影響しているかもしれない。

KT88pp UL 改訂版2021年12月08日 21時57分05秒

この夏から秋にかけて、300B SE、WE420Aを初段に使ったGaN SE、そしてKT88ppアンプと立て続けに製作した。途中、VP-7723Aが故障してしまったので計測が頓挫し、発表できずにいた。

最近、自分の頭のメモリが揮発性に移行しつつあるので、早めに公開しておかないと自分が何をしていたのか忘れてしまいかねない。大急ぎなのできれいに整理できてはいないが、とにかく掲載だけはしておく。

前回製作したKT88ppは、終段UL接続および出力トランスの2次側を使ったカソード帰還を特色とした。ただ矩形波を見ると、少し癖が感じられ、その点が心残りとなっていた。
そこで今回、GaNシングルアンプで得たノウハウをもとに設計しなおしてみた。
まずは回路図。
特徴は、初段をカスコード接続、定電流負荷として高インピーダンスで終段に送り出していること。単段なのにこれだけで必要なゲインを得ることができる。

回路図のコメントにも書いてあるとおり、センターチョークありの場合と取り外した場合でどのような違いが出るのかをあとで確認する。

できあがった概観。
そして10KHz,負荷8Ωでの矩形波。非常に素直な形で、高域が早く減衰すると言われるDynacoトランスなのに、高域の-3dBポイントが高いことが見て取れる。

センターチョークがない場合の歪率。当然のことだが最大出力が伸びて、歪率2%でも47Wに及ぶ。ゲインは29dBである。
converterとあるのは、不平衡→平衡コンバーターの換算した残留歪率を示す。小出力時の歪率はコンバーターの影響を受けて大きく見えているが、実際はもっと良好である。

各周波数の歪率は非常にそろっていて、設計に破綻がないことを示す。作った本人が一番、このようにきれいな歪率となったことを驚いている。