Driscoll ダブル水晶OSC 開発録その32020年02月11日 13時28分14秒

肝心の出力波形は以下のようになった。

一見美しい正弦波にも見えても、よく見ると歪んでいてまだ改善の余地がある。

実を言うと、この結果が出るまでいくつかのトラブルがあった。
組み上げて最初の電源オン。発振しない。これで慌ててはいけない。落ち着いてバリアブルコンデンサを回していくと、発振を開始した。各定数を追い込まないと発振しないのではと覚悟していたので、これは幸いなことであった。
前回作ったシングル水晶タイプでは調整範囲がある程度ブロードで、少々動かしても発振には影響がなかった。ところが今回は調整範囲が非常に狭く、少し動かしただけで発振が停止する。回路全体のQが非常に高いという印象で、さすがダブル水晶である。これは幸先が良い。

しかし、喜んでいたのはそこまで。発振周波数を見てがっかりした。49MHzという数字が表示されている。なぜこんなにずれるのか、まったく思いつかない。もしかしてダブル水晶だからこうなるのか。しかし、片方の水晶発振子を短絡させても周波数は変わらないのでこれはシロ。

あれやこれやといじること数時間。偶然何かの拍子に45MHz台で発振した。結論を先に言えばこうであった。

回路図に書いたとおりに、発振器の基板と出力先の負荷とはu-FLケーブルでつながってはいても、GNDはつながっていない。グランドを通してノイズが伝わらないようにと考えたからだ。ここに問題が潜んでいた。GNDが浮いたことによって発振器と負荷との間に相互作用が生じてこのような誤動作が発生したらしい。
グランドをリード線で接続するか、もしくは直接つながなくても負荷側をなにかの金属にグランドを落とすことで解決した。
45MHzの数字が出たときは胸をなで下ろした。

電源電圧を+6Vから+18Vまで動かしても安定して発振することと、電源のオンオフさせても確実に発振することを確認。ここまでくれば後はDACにつなぐだけ。

いつものように電源は菊水の実験用安定化電源で、オーブンなし、エージングなしの状態である。出てきた音は、これまで使っていたシングル水晶タイプとは明らかに違っていた。

空間がますます透明になり、ますます表情が豊かになり、ますます音と音との間にある静けさが深まっていく。フェーダーはいつもの位置なのに、音が前にせり出してきて立体的で、特に奥行きの表現がめざましい。
これだけ耳で聞いてわかるくらいなのだから、スペアナがあればきっと明らかな性能差となって現れるに違いない。客観的な数値として表現できないことがもどかしい。

しかし手放しで喜ぶことはできない。純度が高まると不純物の存在が目立つようになる。全体の透明度が上がっているのにもかかわらず、少し周波数域の高いところに耳に引っかかる違和感を感じる。ベースの音階がずいぶんと明瞭になり、ニュアンスが伝わりやすくなってきているけれど、どこか少し膨らみ気味に感じる。ここらあたりは電源の質が影響している可能性がある。専用の電源を用意しなければならない。

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