DuCULoN®のためのTaylor型レギュレータ(検討編)2018年08月24日 20時25分21秒

某様から、是非試聴評価してみてくださいということでDuCULoN®(試作機)が送られてきたのは、3月の中旬だった。あのあこがれの発振器が手元にあるなど夢のようで、某様には感謝の言葉もない。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

普通ならすぐにDACに入れて音を出ししていただろう。ところが今回、ずっと棚に置いて毎日拝む日が続いて、なかなか手がつけられない。それには理由があって、どうせ評価するならやはりTaylor型レギュレータを使わなければ気が済まない。そうしないと同じ土俵で評価したとは言えないということもある。

ところがそのためには越えなければならない問題があった。Taylor型レギュレータは、定電流回路を基本としていて、設定された電流以上を流すことができない。いっぽうDuCULoN®はオーブンが内蔵されているため、定常状態に入るまでの数分間ではあるが、600~800mAほど流れる。これまでTaylor型レギュレータは、電流設定値がせいぜい200mA程度だったので、このままではレギュレータが正常に動作しない。電流設定値を多くするのは簡単だが、それでは巨大は放熱器が必要となるし、たかだか最初の立ち上がりの数分間のためにだけ、装置を大げさなものにするのはあまり賢い選択とは思えない。
そこでどうするか。

最近、ラインアンプのヒーター定電流回路をいじったことがきっかけでいろいろアイデアがわいてきた。ここ数日、ああでもないこうでもないを繰り返した結果の、現時点での回路図を掲載しておく。
ポイントは四つほどある。
1)立ち上がり時に1A程度流れても若干出力電圧は下がるが動作には問題が生じない。

2)万が一出力端子をショートさせても、フェイルセーフが効いていて出力電圧はゼロとなり、電流もゼロ近くになる。

3)なんと言っても、二つの能動素子にGaN素子を使ったことである。いつか実現したいと思いながら、スタートアップ回路が必要となるためどうしても複雑になることや、それに伴い異常動作時の安全対策が必要になるなど、難問があった。今回、それがクリアできたので実現にこぎ着けられた。

4)下に表示した出力インピーダンス特性で、特に位相回転の美しさには驚いた。90°までの余裕が十分にあるのでZobelの必要もない。100KHzで28°とは、さすがGaNである。

これから評価基板を作って動作確認をする予定。これがうまくいったら、ほかのレギュレータも作り直しになるだろう。

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