Salas Reflektor 2011 +3.3Vタイプ(改訂)2012年02月06日 09時04分22秒

 Salas Reflektor 2011の +3.3Vタイプは発表されていない。+5Vが限界であるとSalas氏が宣言している。しかしいっぽうこれはまだベータ版であるとも言っている。つまりまだまだ伸びしろが残されているということだ。

 生半可な電気知識しかない私が大先輩たちを相手にするなんて恐れ多いことだが、それでもなんとかない知恵を絞ってささやかな貢献ができないか考えてみた。それが+3.3Vレギュレータである。

 前回、シャント素子にUHC MOS-FET(G2)を採用したらなんとか動作したことを報告した。その後、試聴しながら色々手を加えていった。

 まず基本的なことで、前段にある定電流回路で設定している電流を約120mAから約200mAに増やした。本当はもっと増やしたいところなのだが、本格的な放熱器が必要になるので、それは将来の課題とした。これで、音楽がのびのびと鳴るようになった。

 しかしまだ課題が残った。音が硬いのだ。せっかくSalasシャントレギュレータに入れ替えたのに、以前不満に思っていた部分がまた頭をもたげてきた。これには非常がっかりしてしまった。

 原因は何か。そんな場合、シミュレーターが大いに力を発揮する。しかし肝心のUHC MOS-FET(G2)のSPICE MODELがない。
 と、思っていたら世の中捨てたものではない。代替えがあるではないか。細かな点では完全に同じとは言えないけれど、おおまかな傾向を知るためにはこれで十分だ。それが2SK3163である。ルネサスエレクトロニクスが公表しているデータ。ありがたや。これでなんとか活路が開けそうだ。

 早速シム開始。最も疑ったのは発振である。Salas氏は、位相回転にもっとも注意をはらうようにと示唆を与えてくれている。広い周波数範囲にわたって位相回転が90度以内であること。もしそうでなければ発振のリスクは高い。

 シムの結果、90度を超えることはないが、きわめて近いところまで回転している。つまり余裕が無い。これでは発振してもおかしくない。

 対策をどうするか。シャント素子に並列に接続されているZobelと呼ばれる位相補正機能が重要になる。ここは現状、1Ωと0.47uFのシリーズ接続としてきた。これをいろいろな数値に変更して位相がどう変化するか見ていく。数秒で結果が出る。このあたりがシミュレーションの素晴らしいところだ。

 対策が見えてきた。Zobelを0.1ΩのRと20uF以上のCで構成すると位相回転がおよそ70度程度におさえられそうだ。これなら発振のリスクはずっと低くなる。

 早速昨夜対策をした。出てきた音は。Zobelをいじっただけで、まったく別物になったくらい変化した。CにOSコンを使ったのでエージング不足の偏りはあるにせよ、以前は硬くて詰まって聞こえた音楽が、ピラミッド型のどっしりとした音形に様変わりした。以前なら管楽器が苦手で耳に突き刺さるようなこともあったのに、今は風が吹く様なさわやかさだ。

 これでなんとか+3.3Vはフィクスしそうだ。ここ数日、思うような音が出なくて悶々としていたが、これでまた道が開けた。これは決して小さくはない、大きな扉であるように思える。

(追記)
回路図の改訂版を掲載しました。
回路図の誤りを修正しました。

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