Vishay VAR(Naked)のエージング2012年01月16日 17時19分22秒

 ラインアンプの出力トランスにはタンゴのNP-126を使っている。出力インピーダンスが600Ωなので、入力インピーダンスが20KΩのパワーアンプと接続するためには2次側を必ず終端しなければならない。今回、その終端抵抗にVishay VAR(Naked)の1KΩを起用した。

 従来ここにはYAM(スフェルニースの無誘導巻線抵抗)を使っていたのだが、交換してすぐにVishayに軍配が上がった。

 しかしここからが問題だった。交換した2日目はすばらしく聞こえたのに、次の日以降まったく鳴らなくなった。まるでAMラジオのような音で、低音はすっぱりと切り取られ、高音はキンキンして耳が痛い。こんなはずでは、と大いに戸惑った。もしかしてほかの部分がおかしいのだろうかと疑ったりもした。

 休日の今日、朝から電源を入れっぱなしにし、CDをリピート再生してエージングを試みた。およそ8時間経過してから聞こなおしてみた。

 確かに変化している。低音がのびてきている。高音のキンキンも良くなってきている。まだ完全ではないが、これでVishay VARのエージング不足が原因であったことがほぼ判明した。

 この抵抗はエージング不足の場合、ほんとうにひどい音しか出ない。ピアノのある特定のキーに反応して影のような歪音が聞こえることもある。実体感が薄く、まるで幽霊の音を聞いているかのようでスイッチを切りたくなることもあった。エージング不足とわからなかったなら、お金をどぶに捨てたような暗澹たる気持ちになったかもしれない。

 話しは変わるが、昨年末某所でYAMAHA特性のマリンバを使った演奏を聞く機会があった。話に聞くと、世界最大なのだとか。確かに音もすごかった。マリンバがこんなに迫力ある楽器だとは浅学にして知らなかった。からだに風圧を感じたほどだった。

 これは職業病のようなものだが、オーディオでこんな音が再現できるのだろうかと考えてしまった。過去の「ラジオ技術」をひもといていたら、是枝重治さんが「風圧ではなく気圧差を感じる」と書いてあったのを見つけた。すごいものである。

 マッキントッシュのパワーアンプのメーターが振り切れるほどのパワーを掛け、ときには60Aのブレーカーが落ちることもあったとか。あっけにとれた。古き良き時代であったと、自分を慰めるしかない。