PCM1794 DACをI/Vコンバーターにつなぐ2011年12月06日 10時12分16秒

 これまでPCM1794の試作という意味でI/V変換はトランス(タムラTF-3)で行ってきた。しばらく聞いていると、やはりトランスの限界を感じ始めた。音がやせていて、聞いていてもつまらない。楽しくない。これは悪い兆候だ。

 そこで、TDA1541Aで大活躍し、回路もほぼフィクスしているI/VコンバーターVer15.0に接続することにした。しかしすぐにつなぐことはできない。DACの出力電流がTDA1541Aとは4倍も違う。

 まず、心臓となるI/V変換抵抗をVishay Z201 10KΩから同じくVishay VAR 2.7KΩに変更。以前からVARの噂は聞いていた。実際目にしてみると、小さくてどこか頼りない気もしないではない。抵抗部分が裸なので指で触れないよう、ピンセットで扱う。

 それから整流回路も大きく変更。電解コンデンサを追放し、フィルムコンデンサとチョークトランスのπ型フィルターを採用した。この形式のすばらしさはラインアンプで実証済みである。

 パワーサプライの電圧はこの変更により、95V以上欲しいところなのに、75V前後しか出ない。動作に支障が出る可能性もある。その対策は後にして、とにかく音を確認することを優先した。

 それからもう一つ。定電流回路を変更。このDACは無音時に12.4mA(パラ接続なので)の電流をはき出す。吸い込み型の定電流回路を設けて、オフセットを調整する。

 以上の対策をして、スイッチ・オン。エージングなし。ひどい音だ。高いほうに寄っていて、低いほうはまったく出てこない。それでも、トランス変換とは明らかな違いを認める。透明度が高く、ひずみ感が少ない。エージングでもっと良くなることが期待できる。

 2日後、大きく変化。低いほうが軽々とそして伸びやかに出るようになってきた。まだまだ足りないとはいえ、装置のことを忘れて音楽に没頭できるレベルだ。

 Nutron Starのおかげで、音像の構成がきわめて立体的で、ライブ会場の雰囲気が再現される。作った自分さえとまどうくらい、「こんな音が出るのか」と驚く。
 だれでもがすぐにわかる変化は、拍手の音だろう。意外に、拍手の音でシステムの善し悪しが判断できると言うことがだんだんわかってきた。どこかに問題を抱えたシステムは、拍手が甲高く聞こえて突き刺さる。加えて会場の雰囲気が乏しく、ただ左右の平面空間で鳴っている、そんな程度にしか認識できない。
 ところがすぐれたシステムになると、拍手が生々しく聞こえてくるのはもちろん、会場の空間に立体的に広がり、会場に自分が座っているかのように聞こえてくる。

 立体的というのは、左右のスピーカーの間の1次元空間を言うのではない。前後も含めた2次元空間、そしてもっと高いレベルになると上下方向も含めて3次元空間を指す。

 これまで私が聞いていたのは1次元空間に過ぎなかったと知らされる。前後方向も、上下方向も、どこかにべったりとへばりついていて、とても「空間」と呼べる代物ではなかった。
 それがいまは、自由に音が、いや音楽が空間に拡散していく。

 TDA1541Aシステムからの大きな変更点を挙げると次のようになる。

・クロック:自作→Neutron Star
・I/V変換抵抗:Vishay Z201→VAR
・レギュレーター:K式シリーズ→Salas シャント
・電源:フィルムコンとチョークトランスによるπ型フィルター
 おそらくこれらの相乗効果が出ているのだろう。

 これからエージングによってどのように変化していくのだろうか。
 TDA1541Aが昇天したときは落ち込んでしまったが、今は、新しい一歩を踏み出すための良い機会だったと前向きに考えることができるようになった。「雨降って地固まる。」いいことわざだ。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://john.asablo.jp/blog/2011/12/06/6234391/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。