I/Vコンバーター改造 Ver.15.0 ― 2011年10月03日 17時33分58秒
数週間前、ラインアンプを改造したついでにI/Vコンバーターの出力段も改造していた。出力段はIRF9610のソースフォロワでトランスをドライブしている。ところが音を出してみると、明らかに出力トランスをドライブしきれておらず、硬い音がして長時間聞いていられない。
休日を利用して、出力段の改造にとりかかった。
まず、出力トランスはPO400601。30年ほど前にラジオ放送の番組を収録するために使われていたミキサーから外したものなので、特注品である。素性は不明だが、銘板から推測してUSAで作られたものらしい。
一時期このトランスを駆使したI/Vコンバーターで音を出していた時期があった。しかしその後、回路変更したのに伴いお蔵入りとなり、ほどなく某オークションで売り払ってしまった。それも2セットも。
部品箱にはもう1セット奇跡的に残っていた。今回、あまり期待せずにもう一度出力段に登場願った。
問題のドライブ方法は、根本的に見直しをかけ、push-pull方式を取ることにした。というか、重い負荷をドライブするにはこの方法しか考えられない。けれども、あまり大げさな回路にもしたくない。そこで無い知恵を絞った。真空管とバイポーラ・トラのハイブリッド方式で行くことにした。これだとよけいなCRを使わなくてもpush-pull回路を実現できる。このアイデア、自分で考えだしたつもりだったが、Tube CADを見たら、とっくの昔に掲載されていた。
アンプを組み立てるときはいつもそうだが、電源を入れるときはドキドキものである。まずヒーター回路から。ちなみにヒーターは例によって定電流点火である。無事にヒーター点灯。煙も出ないし、匂いもない。定電流回路に使っているIRF9610の発熱も予想の範囲内。
次にB電源をオン。すぐに電圧をチェック。問題なし。今回は珍しく、一発で完成した。
早速、エージングなしで音を出した。最初の1分、失敗したと思った。音が硬くて以前と変わらないと思った。ところが、音楽を聞いているうちにみるみる変化していく。CD一枚聴き終わったら、全く別物のアンプに変化していた。
硬い音は消え去り、空間に音楽が充満している。床に直に座って聞いていると不思議なことに、おしりから音楽が「聞こえて」くるかのよな感覚に襲われた。あれはなんだろう?
改造は大成功だった。push-pullドライブと出力トランスにPO400601を採用したことが功を奏した。
このトランス、実は某オークションに出品した時、落札された方から「音が良いので友人用にもう1セット譲ってくれないか」と言われたことがあった。そのときは、どうしてそんなに高い評価をすのだろうかといぶかったものだった。猫に小判。目の前に素晴らしい宝がありながら、その価値に全くわからなかったのだ。今回、やっとこのトランスの素晴らしさに気がついた。
出力段に使用した真空管はサブミニチュア管の7963。今回はじめて使ってみた。値段は525円/本。6DJ8とほとんど似たような性格の真空管らしい。
対するお相手は、メタルキャンの2SA607。このトランジスタには以前から愛着がある。派手さはないが中音が充実してることと、半導体にしては嫌な音がしないのも良い。今回も良い仕事をしてくれている。もうとっくに廃盤になったのでビンテージと言っていいだろう。部品箱には、大量の中古品がしまってある。
休日を利用して、出力段の改造にとりかかった。
まず、出力トランスはPO400601。30年ほど前にラジオ放送の番組を収録するために使われていたミキサーから外したものなので、特注品である。素性は不明だが、銘板から推測してUSAで作られたものらしい。
一時期このトランスを駆使したI/Vコンバーターで音を出していた時期があった。しかしその後、回路変更したのに伴いお蔵入りとなり、ほどなく某オークションで売り払ってしまった。それも2セットも。
部品箱にはもう1セット奇跡的に残っていた。今回、あまり期待せずにもう一度出力段に登場願った。
問題のドライブ方法は、根本的に見直しをかけ、push-pull方式を取ることにした。というか、重い負荷をドライブするにはこの方法しか考えられない。けれども、あまり大げさな回路にもしたくない。そこで無い知恵を絞った。真空管とバイポーラ・トラのハイブリッド方式で行くことにした。これだとよけいなCRを使わなくてもpush-pull回路を実現できる。このアイデア、自分で考えだしたつもりだったが、Tube CADを見たら、とっくの昔に掲載されていた。
アンプを組み立てるときはいつもそうだが、電源を入れるときはドキドキものである。まずヒーター回路から。ちなみにヒーターは例によって定電流点火である。無事にヒーター点灯。煙も出ないし、匂いもない。定電流回路に使っているIRF9610の発熱も予想の範囲内。
次にB電源をオン。すぐに電圧をチェック。問題なし。今回は珍しく、一発で完成した。
早速、エージングなしで音を出した。最初の1分、失敗したと思った。音が硬くて以前と変わらないと思った。ところが、音楽を聞いているうちにみるみる変化していく。CD一枚聴き終わったら、全く別物のアンプに変化していた。
硬い音は消え去り、空間に音楽が充満している。床に直に座って聞いていると不思議なことに、おしりから音楽が「聞こえて」くるかのよな感覚に襲われた。あれはなんだろう?
改造は大成功だった。push-pullドライブと出力トランスにPO400601を採用したことが功を奏した。
このトランス、実は某オークションに出品した時、落札された方から「音が良いので友人用にもう1セット譲ってくれないか」と言われたことがあった。そのときは、どうしてそんなに高い評価をすのだろうかといぶかったものだった。猫に小判。目の前に素晴らしい宝がありながら、その価値に全くわからなかったのだ。今回、やっとこのトランスの素晴らしさに気がついた。
出力段に使用した真空管はサブミニチュア管の7963。今回はじめて使ってみた。値段は525円/本。6DJ8とほとんど似たような性格の真空管らしい。
対するお相手は、メタルキャンの2SA607。このトランジスタには以前から愛着がある。派手さはないが中音が充実してることと、半導体にしては嫌な音がしないのも良い。今回も良い仕事をしてくれている。もうとっくに廃盤になったのでビンテージと言っていいだろう。部品箱には、大量の中古品がしまってある。
トランスのドライブ方法 ― 2011年10月03日 18時11分00秒
今回のI/Vコンバーターの改造では、出力トランスにDC電流が流れないことを目標とした。実際は、ホットとコールド各出力のドリフトによって数十mVの電圧がかかってしまうけれど、それはおおめに見ることにした。
これまで、もともとDC電流を流す仕様になっていないものをむりやりDCを流して使っていたのだから、それだけでもアウトだろう。今回、音を聞いてみて、やはりトランスにはDCを流さないほうが良いと確信した(遅すぎ)。
ラインアンプの出力トランスはNP-126で、これはDCが流せる仕様になっている。しかし、それでもトランスをフローティングにしてみたらと妄想が膨らむ。現在、6DJ8をパラで使っているので、これをシングルにし、プレート負荷を真空管抵抗(あるいは定電流回路)にすれば、少ない作業で実現できそうである。そのうちトライしたいと考えている。
これまで、もともとDC電流を流す仕様になっていないものをむりやりDCを流して使っていたのだから、それだけでもアウトだろう。今回、音を聞いてみて、やはりトランスにはDCを流さないほうが良いと確信した(遅すぎ)。
ラインアンプの出力トランスはNP-126で、これはDCが流せる仕様になっている。しかし、それでもトランスをフローティングにしてみたらと妄想が膨らむ。現在、6DJ8をパラで使っているので、これをシングルにし、プレート負荷を真空管抵抗(あるいは定電流回路)にすれば、少ない作業で実現できそうである。そのうちトライしたいと考えている。
I/Vコンバーター Ver.15.0 ― 2011年10月08日 16時03分15秒
実機が完成してから一週間、エージングを重ね、音を確認してきた。トラブルもなく安定している。音はもちろんいままで中でベストと感じている(ほとんど自己満足)。
今回の改訂では、出力段にハイブリッド・プッシュプル回路を採用したことが大きな特徴である。この出力段は初めての回路なので、正直を言うと音が出るまで不安があった。これまで大きな期待をかけながら裏切られたことが何度もあるので、疑心暗鬼にもなるというものだ。
しかし、出て来た音は自然そのもので、こんな簡単な回路からこんな音が出るのかと驚いてしまった。RもCも使わずに真空管とPNPトラだけで組み上がるなんて痛快だ。複雑なバイアス回路もいらず、これだけでプレート電流も自動的に安定するし、良いことずくめだ。
回路は一見複雑に見えるかもしれないが、直接音声信号が通過する抵抗はホット、コールド各1個しかない。これがこの回路のもう一つの自慢である。
出力トランスも優秀で、透明感にあふれ、ピークディップのような癖もまったく感じられない。良いトランスに出会えたことは幸運だった。
回路図を書いてから、一個だけ記入漏れがあることに気がついた。二つの2SC960のコレクタ間には120pFのCを入れてある。高域を制限し、動作を安定させるためである。
今回の改訂では、出力段にハイブリッド・プッシュプル回路を採用したことが大きな特徴である。この出力段は初めての回路なので、正直を言うと音が出るまで不安があった。これまで大きな期待をかけながら裏切られたことが何度もあるので、疑心暗鬼にもなるというものだ。
しかし、出て来た音は自然そのもので、こんな簡単な回路からこんな音が出るのかと驚いてしまった。RもCも使わずに真空管とPNPトラだけで組み上がるなんて痛快だ。複雑なバイアス回路もいらず、これだけでプレート電流も自動的に安定するし、良いことずくめだ。
回路は一見複雑に見えるかもしれないが、直接音声信号が通過する抵抗はホット、コールド各1個しかない。これがこの回路のもう一つの自慢である。
出力トランスも優秀で、透明感にあふれ、ピークディップのような癖もまったく感じられない。良いトランスに出会えたことは幸運だった。
回路図を書いてから、一個だけ記入漏れがあることに気がついた。二つの2SC960のコレクタ間には120pFのCを入れてある。高域を制限し、動作を安定させるためである。
トランスの終端抵抗 ― 2011年10月10日 08時43分11秒
I/Vコンバーターの出力段には、放送局用調整卓から取り外したトランスを使っている。 PO400601という銘板が印刷されているだけで、仕様は不明である。たまたま入手した回路図から推測すると、銘板が示すとおりに一次が40Ω、ニ次が600Ω(スプリット)のインピーダンスで用いるように設計されているようである。
今回のI/Vコンバーターでは、これを一次とニ次を反転させ、40Ωを出力側にしている。問題は終端抵抗である。
ニ次の出力はすぐに600Ωのフェーダーに向かう。当初、終端抵抗なしでそのままフェーダーとつないでいた。ちょっと聞く限り、何も問題を感じなかった。しかし、チェット・ベイカーのボーカルを聞いたとき、異変を感じた。サ行(英語なのでこういうのは変だけれど)の音が耳に突き刺さる。
最初何が悪いのか思い浮かばなかったが、しばらくたってからやっと終端抵抗に問題があることに気がついた。600Ωではあきらかにミスマッチだ。では何Ωにすべきか。これはカットアンドトライで決めるしかない。
最初、手持ちのにYAMの100Ωがあったので入れてみた。NG。やっぱり40Ωに合わせるべきのようだ。手持ちにはないので、YAMの100Ωとスケルトンの100Ωを並列にして聞いてみた。こちらが正解。音の重心が低くなり、落ち着いて聞いていられる。
ただし、問題もある。抵抗のキャラクターが全面に出てくるらしく、音のバランスが驚くほど変わってしまう。スケルトン抵抗の音が支配的になってしまった。他の音を知らなければ、これはこれで十分だと思えるのだが。。
すっかり忘れていたことだが、以前のブログを見ていたら、以前にも終端抵抗で悩んでいたことを思い出した。結局、何も学んでいなかったということらしい。
今回のI/Vコンバーターでは、これを一次とニ次を反転させ、40Ωを出力側にしている。問題は終端抵抗である。
ニ次の出力はすぐに600Ωのフェーダーに向かう。当初、終端抵抗なしでそのままフェーダーとつないでいた。ちょっと聞く限り、何も問題を感じなかった。しかし、チェット・ベイカーのボーカルを聞いたとき、異変を感じた。サ行(英語なのでこういうのは変だけれど)の音が耳に突き刺さる。
最初何が悪いのか思い浮かばなかったが、しばらくたってからやっと終端抵抗に問題があることに気がついた。600Ωではあきらかにミスマッチだ。では何Ωにすべきか。これはカットアンドトライで決めるしかない。
最初、手持ちのにYAMの100Ωがあったので入れてみた。NG。やっぱり40Ωに合わせるべきのようだ。手持ちにはないので、YAMの100Ωとスケルトンの100Ωを並列にして聞いてみた。こちらが正解。音の重心が低くなり、落ち着いて聞いていられる。
ただし、問題もある。抵抗のキャラクターが全面に出てくるらしく、音のバランスが驚くほど変わってしまう。スケルトン抵抗の音が支配的になってしまった。他の音を知らなければ、これはこれで十分だと思えるのだが。。
すっかり忘れていたことだが、以前のブログを見ていたら、以前にも終端抵抗で悩んでいたことを思い出した。結局、何も学んでいなかったということらしい。
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