I/Vコンバーター Ver.10.02009年06月29日 21時28分29秒

 Aleph-Xの開発に伴って、I/VコンバーターもVer.10.0に進化した。回路図はあっけないほどシンプルだ。エミッタ入力のトラがなければ、一頃流行した単なるトランスI/Vそのままではないか。これは先祖帰りなのか。いや、そうではない。

 トランスI/Vコンバーターをまともに動かすには、トランスをドライブする強力な電流が必要らしいのだ。DACの電流をそのまま流しても確かに音は出る。しかし、きれいな音は出てもどこかひ弱な神経質なか細い音しか出てこないことにじょじょに気がついた。そのうち、一部の人たちを除いて忘れられていったような気がする。

 電流は当然多ければ多いほど良い。トランスの容量やトラの損失が許すならもっと流したいほどだ。でも、音を聴いてみるとこの電流値で十分であることも確か。ここに真空管アンプ用の出力トランスを使ったらどうなるのだろうか。妄想がわいてくる。手持ちが沢山あるIRF9610でドライブするというアイデアもある。放熱さえしっかりすれば、電流は大量に流せるはずだ。

 以前は音量調整の方法を重視して、どうしても2段アンプにならざるを得なかった。しかし、回路図を見てわかるように、いわゆるH型アッテネーターを思い切って採用することにした。出力にボリュームを入れることには抵抗感があったが、大電流ドライブが功を奏したのか、全く問題なかった。できてみると実にあっけないものだ。

 トランスを使うことに抵抗を覚える方もいるだろう。しかし、DACの出力には高い周波数域にわたるノイズが重畳している。このままアンプに流せば、アンプに悪影響を与えることはよく知られている。しかし聞けば、かのジェフ・ローランドのプリアンプもトランス入力を採用し、なんと選別したICを増幅回路に使っているというではないか。
 トランスは、使い方さえ間違わなければ非常に優れた素子であると私は思っている。

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