DEM Clock(3)2006年07月13日 20時59分48秒

 前回の記事でわずかにノイズというかひずみ感が伴うことにふれた。元ネタであるdiyAudio.comに掲載された記事を見ると、デジタルノイズがDACのpin16から混入しているためと推測される。開発者もかなりこの点に苦労しているらしく、トロイダルコアで分離を試みて良好な結果が得られたと報告している。
 最初は私もトロイダルコアを入手して対策をしようと考えた。ところが、同じ開発者からフォトカプラの利用が示唆されていた。もしフォトカプラが入手できるのであれば、この方がよいかもしれない。そこでCDX-2200の内部を覗いてみると、なんとフォトカプラが載っているではないか。東芝のTLP552である。データシートを調べてみると、目指す用途に使えそうである。再現性も高いと予想される。で、やってみた。
 その結果。これは良い。フォトカプラを使わなかった場合と比べて全く様子が異なる。やはりここは直接接続すべきではない。きちんと分離処理を施すべきである。
 まず気になっていたノイズ感、ひずみ感がなくなった。そんな消極的な効果ではない。低音部がぶあつくなった。なにかゴリゴリした質感を感じる。そして高音部はひずみがなくなったせいで、若干高音部が薄くなったような印象を受けるが、決してそういうことではない。本来の音になっただけである。人の声のリアルさはたとえようもない。定位も全く以前とは異なる。ピンポイントで位置が決まる。歌手の位置がきれいにわかる。
 ということで、メインシステムに肉薄する音に変貌してきた。

メインシステムvs サブシステム2006年07月13日 21時18分04秒

 サブシステムのコーナーに書いていたのだが、ここでメインシステムと対決することになった。何か裏舞台から表舞台に一躍躍り出てきた感じである。
 CDP, DAC部が異なるだけで、アナログフィルター以降はメインシステムをそのまま使う。結果はどうか。
 うーむ。うなってしまった。サブシステムは限られたスペースと予算から多電源トランスなどにはなっていない。その上電源容量も小さなものである。2パラDACで左右分離でない部分も見劣りする。初めからハンディがある。
 ところがこれがなかなかメインシステムと渡り合える技量を備えているのだ。DACは同じものなので当然音の傾向は同じである。細かく聴けば、物量を投入したメインシステムの余裕ある音には負けてしまう。でも、サブシステムだけを聴けば、これで十分ではないかとも思うほどである。
 ということはどのような結論になるか。DEM Clockの効果がどれほどすごいものかということである。サブシステムにもしDEM Clockを導入しなかったなら、完全にメインシステムに負けていたはずである。
 こうなると、メインシステムにもDEM Clockを導入したくなる。今その準備をしている。その結果については、次の欄で報告する。

DEM Clock導入2006年07月17日 17時43分18秒

 DEM Clockシステムを組み込んだ。サブシステムと同じくフォトカプラによって、デジタルグランドとアナロググランドを分離した。エージングなしですぐに試聴してみた。
 サブシステムと同じ傾向だ。低音部がゴリゴリと押し出してくる。というよりも、本来の音に近づいたと考えるべきだ。高音部は少し引っ込みすぎかなと思われるが、バランスが低音方向に偏っているためかもしれない。
 24時間放置してエージングを待った。この場合、通電していなくても音は結構変化することを経験している。
 昨日はゴリゴリと固まりのように聞こえていた低音が、今度は音階が見えてくる音に変貌してきた。まだエージングで変化する予感がする。音全体も滑らかでストレスが全くない。
 しばらく聴いていると、あの懐かしいアナログプレーヤの音を思い出してきた。似ている。けれども差は確かにある。アナログ時代は低音の音階が少し不明瞭で、もやもやしていたと判る。デジタルがアナログを追い越したとは思わない。アナログがデジタルに劣っていると決定づける根拠もない。優劣を競うのではなく、技術が優れいているならば、どちらの方式も同じ音が出てくるというごく当たり前の結論ということかもしれない。
 しかしこのDEM Clockという技術は、TDA1541Aを使っている方には是非紹介したい手法である。わずかに癖がというものを感じないわけではないが、メリットの方が遙かにデメリットをうわまわる。おそらく、この音を聞くまではTDA1541Aのもっている本来の実力を知らないままで終わることになるだろう。この底力には驚いてしまった。フィリップスはCD普及初期に、すでに完成度の高いDACを開発し終えていたのだ。

DEM Clock詳細(1)2006年07月30日 15時23分09秒

 メインシステムに組み込んだDEM Clockの写真である。黄色のチップがフォトカプラになる。下に見える175は、6fsをマスタークロックでリクロックするために使用している。なぜ175かというと、たまたまYAMAHA CDX-2200のDAC基板に載っていたのを取り外して用いたに過ぎない。
 フォトカプラの横に赤色のLEDが三個光っている。これは、LEDを使ったリップル除去回路である。ネットで検索すると、LED電源について詳しい解説がある。最初は半信半疑であったが、確かに低ノイズという点では優れているように思える。ただし音質にどの程度影響しているかは、きちんと確かめているわけではない。

DEM Clock詳細(2)2006年07月30日 15時31分12秒

 続いてDEM Clock基板の全体を示す。右側2個並んでいるのが161。384fsのマスタークロックを分周して、6fsに落としていく役目を担っている。
 なお、ここには写っていないが、分周回路およびリクロック回路と、フォトカプラ回路の電源は分離している。電源を共通にしたら、フォトカプラで分離した意味がなくなってしまう。音を聞いてみると、これは正解であったように思う。なお分周回路およびリクロック回路の電源はTL431を使ったシャントレギュレータとしている。