歪んでいる2005年11月07日 09時58分08秒

 ここまで大満足しているかのように書いて来たが、実はずっと引っかかっていることがあった。高音域で歪みがはっきりと聞き取れるのだ。しかしそれがいつもということではない。オーケストラを聴いていれば気にならない時もある。キース・ジャレットのピアノを聞いていても気にならない。しかし、オペラでソプラノとかテノールを聞いていると常に歪む。もう聞いていられない。いつかは改善されるのではないかと淡い期待を持って来たが、これは明らかにどこかがおかしいとあきらめざるを得なくなって来た。
 2パラの時にはどうだったろうか。あの時は、ローパスフィルターさえ入れていなかったので、それで歪みを感知することはあったが、ここまでひどくなかったと思う。いくつかの仮説を立ててみるとこうなる。

(1)後から追加したDACの異常or誤配線
(2)改造途中で4個のDACが故障した
(3)I/Vコンバータがおかしい
(4)リクロックした後、DACに信号を送るあたりで波形の異常がある
(5)何かの思い違いがある

と、いろいろ考えたが、(4)(5)については手がつけられない。とりあえず、最も可能性があって手のつけられるものは(1)からであろう。少なくとも、DACに異常があるかどうかの確認したいのだが一筋縄では行かない。アマチュアでは限界がある。
 さて、どうするか考え込んでしまった。

対策2005年11月07日 14時33分46秒

 高音域で歪む現象に対して対策を試みた。こういう場合、原則に従って、まず正常に働いていた時の状態に戻してみることにする。

(1)2パラ状態(これまで使っていたDACを使用)
音を出してみた。歪まない。少し安堵した。
(2)2パラ状態(今回追加したDACを使用)
音を出してみた。歪まない。もっと安堵した。こちらは双信の混成V2A,M2AをDEMに使っているが、音を聞く限りASCとの違いは感じられなかった。ただしほんの数分しか聞いていない評価だが。

 ここで、結論が見え初めて来る。DAC本体は異常がないことは確認できた。このとき、単純にDAC出力をはずしただけで、他の配線はそのままにして2パラ状態を実現した。ということは、電源の配線とか、デジタルデータの配線が原因ではない。出力合成の仕方が問題だったと考えざるを得ない。
 今までどのように出力をつないでいたのか。実は、もしものことを考えて、旧2パラDACと新2パラDACとを簡単に分離できるように、新旧基板からの出力をうねうねと延ばしたところにあるピンジャック端子で接続していた。配線の長さを測ってみたら、22cmはあった。単純に電流を合成するのだから問題がないだろうと考えたのだ。どうもこの接続の仕方が怪しいのではないか。
 ということで、最短距離でDAC出力を結ぶことにした。今度は2cmに短縮された。そこから1本の線で出力端子に配線するようにした。
 結果は。。大正解。うそのように歪みがなくなった。全くなくなったかどうかは、これから聞き込まなければならないが、少なくともソプラノのアリアで歪みっぱなしということはなくなった。
 ここで、また新たなノウハウを発見した。というか、私が知らなかっただけかもしれないが。鉄則「パラ接続するDACどうしは最短で結ぶべし」もし、パラ接続で同じような現象に出会ったら、是非試していただきたい。
 しかし不思議なのは、どこを見ても、製作記の中にこのような注意事項が出ていないことである。他の方々の製作記をネットで拝見させていただいているが、結構DAC基板が離れているものも、見受けられる。きちんと動作しているのだろうか。
 最も私の場合が特殊なのかもしれない。DACからI/Vコンバータまで、モガミ2497で1mは離れている。こういうことも影響しているのかもしれない。このような特殊事情を考慮していただければ幸いである。

 最後の確認に出力波形を観測した。MJテクニカルディスクのNo49トラックを用いて、周波数をスイープさせる。このとき、I/Vコンバータの出力を見た。
 同じことを対策前にもしていたので、記憶をたよりに比較してみると。。あきらかに高音域の波形が異なる。対策前は、汚いスパイクが見えたし、波形が安定せず、すさまじく変動していた。それに比較して、対策後は非常にきれいに見える。もちろん、高い周波数になると、もはや正弦波とは呼べない波形であることはもちろんだが、形が安定し、スパイクも見えない。こんなに違うのかと驚いた。高い周波数になると、数cmの長さでも電流合成に大きな影響を与えるようだ。DACの世界は本当に奥が深い。
 さて、次の課題はノイズ対策である。これも頭が痛くなりそうだ。