サブシステムSA-12にInfineonを投入2016年08月24日 21時29分59秒

 妻が使っているオルガンシステムのパワーアンプはCounterpoint SA-12の大幅改造版である。これまでB電源とヒーター電源の整流にはCREEのSiC BSDを使ってきた。

 しかし、メインシステムでInfineonの優位性が証明されたことから、サブシステムの整流ダイオードも入れ替えることにした。まず最初に手をつけたのがDAC。これについては5月23日付けの記事で報告済み。

 エージングが進めば音が良くなるかと予想したが、妻からはなんの反応が返ってこなかった。妻の耳は鋭いから現実を認めるしかない。

 次に手をつけたのが、SA-12。1ヶ月ほど前にB電源とヒーター電源両方のダイオードをInfineonに交換した。交換直後は、「がさがさする」とクレームが出たが、もう少し我慢するように言い含めて、エージングが終了するのを待った。

 その妻から今朝、開口一番「音が良くなった」と評価がくだった。オルガンをいつまでも弾いていたいと思うほど、心地よい音がすると言うのだ。

 妻からもInfineonダイオードの優位性が認められたことにより、評価の客観性がまた向上したことになる。まずはめでたい。

 この結果から、DACのダイオード交換の時に効果が認められなかったのは、パワーアンプがボトルネックになっていたことが推測される。ダイオードの影響は恐ろしい。

 写真は、SA-12に入れ込んだヒーター電源用ダイオードの実装の様子。手前に写っているのはロシア製オイルコンデンサ。

 ところで、こうしていまはすべての整流ダイオードを交換したことになるのだが、気がつくとジャンク箱にはCREEのダイオードが山積みとなっていた。

DACの出力トランス2014年09月25日 15時08分47秒

妻が使っているパイプオルガンの音源はHauptwerk社から購入したものである。実際のオルガンを録音してサンプリングしたものなので、実にリアルである。オーディオシステムが良くなればなるほど、そのリアルさがよくわかってくる。

音源はMacに搭載されていて、USB経由でDDCに入り、FN1242Aでアナログに変換される。IRF610のバッファを介した後にトランスから出力される。パワーアンプはCounterpoint SA-12(大幅改造)である。

その妻から「音が悪くて練習に身が入らない。なんとかして」というクレームが来た。どこに原因があるのか、思い当たるところはあった。DACの出力トランスである。

実は、ES9018からFN1242Aに変更した際に、タムラのTF-3に入れ替えたのだ。そしてそれまで使っていたPO400601は、我がシステムに来てもらった。TF-3でも妻のシステムでは十分だろうと思ったのである。ところが、これがいけなかった。結局、全体の足を引っ張ることになってしまった。

対策はどうするか。PO400601は、ずば抜けて高い性能をもったトランスで、これに戻すしか方法がない。某所で使っている音響調整卓からはずすことにした。しかし、それでは調整卓が機能しなくなるので、代わりにTF-3と入れ替えた。幸い、音響調整卓が使われているところは音質が問われる場所ではないので、問題はなかった。

早速、妻のDACからTF-3をはずしPO400601をインストール。出てきた音を聞いた妻が感激した。その勢いで、音量調整に使っていたコスモスのボリュームをやめて、23ステップのアッテネーターに入れ替えた。VishayとDALE抵抗を使っている。

これでますます音が良くなった。妻も、練習に力がはいると言ってくれた。

その音響調整卓だが、11年前、偶然のように我が家にやってきたものである。何年もある建物の廊下に放置されていて、管理者がもう捨てるしかないねと言っていたのを私がたまたま聞いていて、それではもったいないので譲ってほしいと願いでたのがきっかけだった。相手も処分に困っていたので喜んで譲ってくれた。

もとはラジオ放送用の番組収録に使わていたもの。使われているCR類はそれほど高価なものではないが、基幹部品は別格である。さっすがプロ用とうなってしまう。

例えばICは、HarrisのHA-4741のセラミックパッケージ。作られた当時、信頼性と音質では最高のものだったはず。一説によれば、かのMark Levinsonのアンプにも使われてICだとか。

いまさらながら、すごい価値あるものをロハで頂いてしまったことに驚いている。

オルガン用DAC制作風景2014年09月08日 16時40分11秒

もう少し何とかならないものかと思うのだが、作業台(ワークベンチ)はいつもこんな感じである。

オルガン用DACの出力波形に異常がないか確認するために、MacのソフトウェアであるSignalSuiteとSignalScopeを使う。Mac内臓のDACはあまり解像度が高くない。そのため誤差は出るのだが、精度を要求しない限り簡便で使いやすい。歪率まで自動で測定してくれるので重宝している。便利な時代になったものである。

オルガン用DAC完成2014年09月08日 15時33分23秒

LU1014Dを用いたバッファーで動作させようとしたら失敗したことは前述のとおり。その原因を調べてみた。当初、貴重なFN1242Aが壊れたのではと書いたが、ちゃんと生きていた。

原因は、LU1014DとFN1242Aとの相性にあった。FN1242Aの出力を直接LU1014Dのゲートに接続すると、DACが異常動作を起こしてしまう。J-FETのVdsは3V程度なのでゲート漏れ電流は極小のはず。詳細は不明である。

対策としてゲートに20KΩを直列に挿入したところ、正常に動作するようになった。かなり大きい値に見えるが、5.7KΩでは不定期にノイズが乗ったので安全のためこの値にした。

新しい素子を使って予期しない現象に出くわし、大いに戸惑ったことはこれまでも何度か経験してきた。しかし、それを乗り越えたところにまた新しい地平が開けてくることも確かである。今回得たノウハウは今後に活かされていくだろう。

予備のDACの音の悪さに閉口した妻は、早く完成させてと言って矢の催促だった。本日やっと完成させて納品。明日のレッスンに向けて、練習に余念がない。

ところでFN1241はどうなったか。秋月電子から2個購入して手元にある。次回のテーマとなるだろう。まずは変換基板を入手する必要がある。

余談であるが、届いたFN1241のパッケージを見たら、商品ラベルがちょっと黄色味がかってちょっと古ぼけて見えた。大量に在庫が残っているのかもしれない。

素子としては優秀でも、高解像度データ・フォーマットに対応しなければ、時代遅れとして全く見向きもされないのだろう。なんとなくかわいそうな気がしてきた。是非活躍の場を与えてやりたい。

オルガン用 DAC作り直し2014年09月03日 21時57分16秒

妻のオルガン練習のために、この7月にDACを改修した。ところが音があまり良くないというクレームが来た。どうするか。メインシステムでLU1014Dを使ったバッファーが好結果だったので、これを妻のDAC にも入れたらよかろうと思い、作業に取り掛かった。

作業量はたいしたことがない。ならば、これを機会に今までやったことのないことに挑戦してもよかろうと思って欲を出した。これまでソースフォロワーで出力トランスをドライブさせていたのを、ドレイン出力でドライブさせたる。ゲインがかなり高くなるだろうが、どんな音になるのか聞きたいと思った。

スイッチオン。出てきた音は歪んでいた。おそらくドライブ電流が不足していたのが原因だろう。テストはここまでとして、当初の予定通り、ソースフォロワー・ドライブに戻して音だしした。ところが、ひどい雑音ではないか。調べてみると、DAC側に原因があるようだ。作業しているうちにFN1242Aが故障した可能性がある。
とほほ。DACをつくり直すはめに陥ってしまった。

FN1242Aは市場からは完全に枯渇した。手元に予備が一個ある。これで作り直すことも考えた。でも、秋月電子のカタログを見るとFN1241があるではないか。DSD音源などを扱う予定はない。オルガンの音源だけである。ならば、FN1241でも十分だ。

ピン数は多くなるが、回路としてはVrefが必要ないのがメリットだが、出力端子が片チャンネルで4個もあって、20KΩ抵抗で合成させるようになっている。その部分が余計にかかるのが難点。とは言え性能はFN1242Aを上回るところもあるので、魅力的だ。値段も高くはない。2個取り寄せることにした。

この素子を使って、再挑戦してみたい。