TDA1541A-S1 DAC 製作記42022年12月01日 20時11分00秒

製作過程を簡単に紹介する。
最初に手がけたのがDAC部で、いつもお世話になっている秋月のユニバーサル基板を使った。デジタル信号を扱うとき、グランドのインピーダンスをできるだけ低くすることが大切である。今回は基板に銅箔テープを貼ってグランドプレーンとする。写真はまだ銅箔を貼る前の状態の裏面。

続いて基板の上部。DACソケットの周囲にデカップリング用の電解コンデンサが立ち並ぶ。使った電解コンデンサはニチコンのUKAシリーズ100uF/25Vである。

続いてDDC部の様子。左にI2SoverUSBが見えていて、その右側にはDDCを載せるソケットがある。ソケットの高さの空隙を利用して、LTC6957に供給する3.3Vレギュレータ基板を配置する。

できあがった基板は実験用安定化電源を使って動作確認をする。デジタル部に±5V、アナログ部に-15V、計三つの電源が必要となり、このため某オークション経由でHPの電源を購入した。
万が一不具合があっても電流を制限できるので、希少な部品を守ることができる。

TDA1541A-S1 DAC 製作記32022年11月30日 22時09分04秒

それで様子はこうなった。
結構大きなシャーシを使ったつもりだったが、組み上げてみるとぴったりで、空白がほとんどない。
写真では見えていないが、DAC基板だけは10mm厚のアルミ板に載せ、その下にゲル緩衝材をはさみ、シャーシに直接触れないようにしている。

今後の課題。
Laptech OSCからの信号受け渡しはSMAの普通のケーブルを使っている。取り回しは最高であるが、ジッタに対しては理想的ではない。これをセミリジッドケーブルに入れ換える。

TDA1541A-S1 DAC 製作記22022年11月30日 21時25分40秒

この一ヶ月、回路にいろいろ修正を加えて、だいたいフィクスしてきたので全体の回路図を公開する。

まずはDAC本体から。
ポイントは以下のとおり。
(1)デジタル部
・DDCはI2SoverUSBを採用。理由は三つある。1)USB側とDAC側との間がアイソレーターによって分離されている。2)リクロック回路が内蔵されている。3)TDA1541Aのsimultaneous mode信号を出力できる。
・Laptech OSCのクロック信号(サイン波)の矩形波変換は実績のあるLTC6957を採用する。
・DACはもちろんTDA1541A-S1で、これを左右分離の2パラ接続で使用。
・以下二つの内容はこecdesigns氏のアイデアによる。
・いわゆるDEMリクロック回路は採用しない。その代わり、DEMの発振周波数を50Hzに落とす。デカップリングCは別府氏によればASCが指定であったのだが、DEMの発振周波数が極端に低くなるため、100uFの電解コンデンサとなる。
・DACは前述の通りsimultaneous modeで使用する。

(2)アナログ部
・i/V変換は18Ωの抵抗一本で行う。
・データシートによれば、TDA1541A-S1のアナログ出力のコンプライアンスは、±25mV以内と定められている。抵抗I/Vを採用すると大信号ではこれを守れないケースが出てくるが、ここは妥協する。これはecdesign氏のアイデアであるが、最初これを見たときは正直ちょっと驚いた。しかし様々なI/V変換法を実験した結果、これがベストだったという。使用する抵抗はもちろんVARである。当初は実験的にZ201抵抗を使用していたが、VARに変えたとたん、その格の違いに驚いた。少々高価ではあるが、これしかない。
・18Ω抵抗そのままでは振幅電圧が小さいので、トランスでステップアップする。これはローパスフィルタも兼ねる.
・DACのアナログ出力電圧ゼロ補償はこれも抵抗一本で行う。これも上記のような実験結果による。ただし、この抵抗も音質に大きな影響を与えるので、VARを採用する。電流値の調整は10KΩ半固定抵抗でおこなう。

続いて電源部。
(1)電源トランスと整流部の回路
・USB側とDAC側とは電源から分離するので、その分トランスが一個必要となる。
・アナログ部の電源も左右分離とし、特に重要な-15V電源についてはチョーク入力平滑回路とした。また平滑コンデンサにはWEST-CAPを並列に入れる。これも結構効いてくる。
・USB側電源を除いて、DAC部、アナログ部の整流にGaN素子を採用した。

(2)続いてプラス側レギュレータ関連
・制御素子はUSB側電源を除いてほかはすべてGaNを採用。
・無帰還とする。

(3)次にマイナス側レギュレータ関連
・同じく制御素子にGaNを採用。
・こちらは負帰還をかけている。 ・マイナス電圧の制御は通常p-ch MOSFETもしくはバイポーラトランジスタを使うのが王道であるが、n-ch素子であるGaNを使いたい。そこで回路を工夫した。ただしバオポーラトランジスタに特有のアーリ電圧による音質劣化を避けるなければならない。そこでカレントミラー回路が登場する。実験すると安定して動作する。今後マイナス電圧レギュレータの基本回路となるだろう。