FN1241とReflektor-D2014年11月03日 11時17分44秒

DACの電源には、Salasが基本的なデザインをしたReflektorを四線方式で接続して使っている。最近、diyAudioを見ていたら、特にデジタル系の特化したものをReflektor-Dと呼んでいることがわかった。これについては、また別の機会に紹介する予定。

ちなみに四線式とは、正式名称をケルビン・センシング( Kelvin Sensing)と言い、高精度測定を目的に使われる優れた方法である。オーディオ用レギュレータでこの方法が用いられることは、私の見る限り非常に稀である。音にさほど影響がないのならば問題視することはないが、従来の二線式から四線式にすると後戻りできないほどの変化を経験している。なので、四線式は必須であると考えている。

さてこの方式、高い精度で電圧をコントロールできるというメリットを享受できる反面、従来のレギュレータと違って、ターゲット基板(つまりDAC基板)のパスコンに特別な注意を払う必要がある。不用意にパスコンを選択すると、最悪場合発振したり、そうならなくても刺々しい音になってしまうことがる。Reflektor-Dが悪いのではない。パスコンがReflektor-Dの位相特性を乱すことが原因である。

FN1241のパスコンはどうすべきか。このテーマを数週間の追求してきた。途中経過を報告する。

まずReflektor-DのZobelについて。
1)当初、刺激的な音がしたので、R=1Ω C=33nFから、R=1Ω C=77nFにしてみたが、それでも刺激音が消えない。
2)調査した結果、FN1241のAVDDCK端子に10uFのPMLCAPが接続されたままであることがわかった。この端子は、FN1241の内部でアナログ電源に接続されているので、そのことが影響しているものと推測される。このCを外したところ、刺々しさは消えた。
3)しかし、R=1Ω C=77nFでは音が暗くなった印象がしてきたので、もとのR=1Ω C=33nFに戻したところ、明るい方向に変化した。Zobelはこれでフィクスとする。

次にパスコンについて
1)上記の通り、全部のCを外したところ刺々しさは消えたのだが、なにか物足りなさを感じた。10uFがあった時は、悪い影響も感じたのだが、一方ゴリゴリと前に出てくる音も魅力的であった。
2)以上の結果から、パスコンがなくても正常動作するのだが、好みの音に仕上げていくためにはパスコンを調整する必要がありそうだと目星をつけた。
3)現在、以下の設定で評価を行っている。
アナログ電源のパスコン R=1Ω+C=22nF(Teflon)
好ましい方向に変化しているのを認めるも、なお高い方に若干のピークを感じる。まだ最適化されていないかもしれない。

Reflektor-D2014年11月03日 12時58分04秒

Reflektor-Dについて、以下のところに紹介されている。

Title: Reflektor-D builds
http://www.diyaudio.com/forums/power-supplies/261031-reflektor-d-builds.html

作り方については以下に詳しい。

Title: GB for Salas Reflektor-D Power Supply for Digital
http://www.diyaudio.com/forums/group-buys/258340-gb-salas-reflektor-d-power-supply-digital.html

この他にも、diyAudioフォーラムでReflektor-Dを検索するといくつかヒットする。驚いたことに、私の小さな研究の成果がいつの間にか皆さんにシェアされ、もっと良いものに仕上げて組み立て説明書付きのキットまで作られていた。

日本では、まだこのレギュレータに言及している人はいないようだ。これまでの三端子レギュレータや LED電源から、新たな可能性に挑戦する人が現れることを願っている。

NZ2520SDとReflektor-D2014年11月03日 15時27分18秒

F1241のパスコンが音に影響をあたえることが確かめられた。ということはもちろん、水晶発振器のパスコンもそうであると考えなければなない。

では同じ値のRとCを入れたら良いのか。そうは問屋がおろさなかった。レギュレータのほうが発振して、肝心の発振器が発振停止に陥ってしまた。確かにシミュレータにかけると、位相余裕が無い。

ではパスコンを全部取り払ったらどうなるか。これもやってみた。かろうじて発振はしているが動作が不安定。オシロで波形を観測するとふらふらと揺れている。使いものにならない。

現在は暫定措置として、1000pF(SEマイカコン)をパスコンとしている。これであれば安定に発振する。
今後、安定動作をして、なおかつ音が良くなるRとCの最適値を探すことがテーマとなる。その成果はFN1241にもフィードバックされるはずだ。

NZ2520SDとReflektor-D (2)2014年11月03日 19時45分09秒

水晶発振器にReflektor-Dを接続する場合、パスコンのことをよく吟味しておかないと、発振が止まってしまう。またいっぽう、パスコンの容量や品質が音に多大な影響を与えることもわかっている。

安定して発振することと、音質を確保すること、このふたつを満足する地点を見つけ出さなければならない。

前回までは、とりあえずパスコンを1000pFとしたが、これは単に発振が安定しているという理由によるものであり、音質については最適化されたものではなかった。これを最適化させていくのが次のテーマである。

そこでシミュレータが大活躍する。RとCをいろいろに組み合わせて、位相余裕を確保できる地点をさぐっていく。その結果は、掲載の回路図に示した。計算上では、最悪でも約17度の位相余裕が確保できる。

実際に確かめてみると、確かに何事もなかったかのように安定動作した。あとは音がどうなったかである。

対策前は、高い周波数域に若干の硬さがあって、どんな曲をかけてもその硬さが顔を出して、音楽の表情を一面的にさせてしまっていた。緊張させるのだ。
対策後は、それが一掃されて落ち着いてきた。全体にどっしりと安定感が向上し、ふくよかさが増したように感じる。

もうしばらく時間をかけて評価した後、FN1241のアナログ電源にも今回の結果を応用していきたい。