C3m+GaNアンプの改訂2025年10月16日 21時24分07秒

およそⅠ年前、アンプのスイッチをONにした瞬間に右チャンネルの終段がこわれてしまった。
実を言うとこの現象はこれまで数度起きていて、そのたびごとに終段のGaN素子を入れ換え対症療法でごまかしてきた。しかしこうたびたびということになると、電源スイッチに触れるのもおっくうになる。それで修理せずシステムからはずしてまい、代わりに300Bシングルアンプを使ってきた。

最近やっと重い腰を上げて故障原因を探るためにシミュレーションをかけてみる気になった。電源を入れることと同期して発生する現象なので、絞り込みは難しくない。

結論を述べると、電源入れた瞬間、初段C3mがまだ冷たい状態なのでプレートにいきなり273Vがかかり、そのAC成分はカップリングコンデンサを経由してそのまま次の段に控えるGS0650041LのG(ゲート)に伝わる。シミュレーションでは最大で80Vほどとなり、これが終段にそのまま伝わる。
このとき、終段GS66502BのD(ドレイン)にも+30Vがかかり始めていて、このタイミングで過大な電圧がG(ゲート)にかかり、絶対定格を超えるドレイン電流が流れることがある。これが終段GaN素子破壊の機序である。

なので対策は、終段の電源立ち上がりを遅くすればよいことになる。問題はその方法で、いろいろ考えられる。
結局、フォトリレー素子であるTLP172GとPICによるタイマーを組み合わせて実現した。回路図は以下のとおり。
まずはアンプ回路
次に電源と遅延タイマー回路
次に実機のようす。ワイヤーをあまり結束していないので、一見すると乱雑に見えるが、なにか手を加えるときには実に作業がしやすいというメリットがある。
やや見にくいが遅延タイマー回路のクローズアップ。
GS0650041Lの基板上にフォトリレー素子TLP172Gを置いた。
音に関してはまた次のコラムで。

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