MUSES72323電子ボリューム 回路図フィクス2023年10月09日 21時51分28秒

いろいろな試行錯誤を通って、やっと回路がフィクスした。
特徴は以下のとおり。
1)MUSES72323のデータシートによれば、入力にはカプリング・コンデンサを入れるようになっている。しかし、今回は省略した。接続先のDACの出力にトランスを使っていて、DC成分がないからである。実際、何の問題もない。

2)また、MUSES72323の出力側には0dBのバッファを入れてあるが、そのバッファはAI-4741を使った。741型アンプが4個入っている1970年代の古典的opアンプである。しかし侮ってはならない。セラミックパッケージというところもすごいが、当時の放送用音声調整卓に多数使われていたらしく、信頼性は抜群である。
このICのデータシートを見ると、バイポーラトランジスタ差動入力段+プッシュプルエミッタフォロワという極めて単純な構成。それでも1KHzのオープンゲインが75dBもある。これをバッファとして使用し、ホット、コールド両方でパラ接続する。

3)バイポーラ入力タイプを使用する場合、MUSES72323との間にカプリング・コンデンサを入れるよう指示されている。最初はそうしていた。しかし、これがなくても問題なく動作することがわかり、自己責任で全部取り去った。おかげで回路図は随分すっきりした。

4)制御部にはPIC12F675を使った。非常に小型なわりにはいろいろな機能が備えられていて今回の目的にはぴったりだった。

5)定電圧回路はTL431によるシャント型を採用した。情報源は別府氏の記事である。今回参考にさせていただき、大変助かった。

6)プラス電源はオーディオ信号回路と、デジタル回路と共通になっているが、将来デジタル回路を分離独立させたいと思っている。

ところで音の印象だが、もう機械式音調調整には戻れない。空間が透明で、いままでなにかにマスキングされて聞こえてこなかった音が全部そのまま出てくる。そのうえ音に力があり、前にせり出してくる。実在感という陳腐な表現があるけれど、それ以外にふさわしい言葉がみつからない。

これまでパワーアンプの限界と思っていたことが、実は音量調整機能が制限していたことが本当によくわかる。GaNシングルエンドアンプの実力が遺憾なく発揮され、非常に満足度が高い。

朝里峠一周コース 熊とニアミス2023年10月30日 19時33分42秒

前回、朝里峠を走ったのは9月の中旬。その間、自転車に乗れたのは週に一回から二回だから、足の筋肉はどんどん落ちてしまった。

本日、もしかして今季最後になるかもしれない朝里峠に向かった。案の定とろとろな遅さで、なんとも情けない。真っ盛りの紅葉がそんな自分を慰めてくれる。

こうして定山渓ダムから降り、旧豊羽鉱山に向かう道路との分岐を無事に過ぎ、さあもうすぐ定山渓温泉だというときのこと。こちらは足がとうの昔に売り切れているので、30Km/hも出ていなかっただろう。向こうからいかにも高級なSUV車が走ってきたかと思ったら、私の横で駐まって運転席の窓が開き妙齢の女性が顔を出した。てっきり道でも聞かれるのかと思ったら、いかにも緊張した顔で「そこに熊がいましたよ!」と言うではないか。思いがけない言葉を聞いた私は「えーっ!」と声を上げるだけで、その先が続かない。そのときは慌てていてお礼の言葉も言えなかったが、実に親切な方であった。こういう方にであうと世の中は悪くはないなと思う。

さて迂回路はない。どうするか。頭がぼーっとしてくる。選択肢は二つ。(1)Uターンして、朝里峠を登り返し、朝里温泉経由で自宅に戻る。しかしそんな体力はあるはずもなし。(2)そのまま直進する。結局これしかない。

いつもは楽観的な私であるが、さすがにこのときは緊張した。前方左右をきょろきょろ監視しながら、徐行速度で走る。でも草むらからいきなり襲われたらどうしようもない。こちらが持っている武器といったら、水の入ったボトルくらい。役にも立たないだろう。
そこで、作戦を変えて後ろから追い越していく車の後に全速力でついて走ることにした。幸いにして住宅街はそこから1Km先にある。

結局、何事もなかったのでこうしてブログを書くことができているわけ。今回は笑い話で済んだが、熊を実際に見たらびびっただろう。

わがS市のホームページに「熊出没情報」があり、これを見ると市街地を取り囲むように、熊のマークがずらりと並んでいて、私が通ったところは数日前にも目撃情報があったらしい。

家に帰るすぐに妻に報告。こちらもお隣の奥さんと熊談義をしていたのだとか。我が家の周りも熊だらけで「熊注意」の看板があちこちに貼られている。鹿やキツネが出るのはよいが、熊だけは御免被りたい。

MUSES72323電子ボリューム 見直し2023年10月30日 20時21分26秒

MUSES72323電子ボリュームのその後。聴いているうちに徐々に違和感を感じるようになった。いつものことだが、ここから本当の開発が始まる。

症状としては、高いところに緊張感を感じることと、音が期待したようには弾まず、聴いていて楽しさがないのだ。
さて原因は何か。まずはGaN SEパワーアンプを疑った。NFB量を変更したり、カソードフォロワーの負荷をチョークからVAR抵抗に変えたり。確かに効果はあった。しかし依然として緊張感が取れない。

こうなると電子ボリューム側に問題があると考えなければならない。さてどこだろうか。風呂に入りながら、トイレに座りながら、はたまたフトンに横になりながら考える。おもしろいことに、一生懸命考えているときではなく、ふと気を緩めたときに正解にたどり着くことがある。

MUSES72323の出力はパラ接続したAI-4741のバッファに続き、これで入力インピーダンス200Ωのトランスをドライブする。

果たしてこの構成が適切なのか。AI-4741をバッファに使ったのは、手元に大量にあったからで、本当にうまく動作するかは実験していない。シミュレーションでは問題がないことを確認しただけ。

ここに問題があるのではないか。このことを確かめるためには、バッファをはずして、電子ボリュームの出力を直接パワーアンプに接続する。インピーダンス不整合によって音が変になる可能性はあるけれど、やってみる価値がある。

で、実際にやってみた。驚いた。少々音量が小さくはなったが、実に素晴らしい音に変貌した。この音を待っていた。

問題はバッファにあった。ではバッファ無しで済ませるか。しかし音量ボリュームをマックス(減衰量0dB)にしても、音が小さすぎる。やはりバッファは必要のようだ。

さてどうするか。ここはやはり真空管を使いたい。
この項続く(おそらく)。