GaN Single End Power Amp その72023年05月17日 20時47分30秒

「その6」アンプの100Hzの歪率が極端に悪い現象。入力トランスの2次側負荷が重すぎたのが原因と判明。

ということで次のアンプ、次のような構成となる。
・入力トランス:PI201203
・初段はC3mをカソードフォロワとし、カソードには30Hのチョークを接続。終段のアイドリング電流は、C3mの第二グリッドの電圧を変えることで設定する。
・終段はGaN素子
・GaNはドレインフォロワとし、100mHの空芯インダクタをドレインに配する
ここまでは前回までと同じ。NFBのかけ方が変わる。
・NFBは反転入力タイプとし、C3mのグリッドに47KΩを配する。これで入力トランスの2次側の負荷が軽くなる。

回路図は以下のとおり。なお電源部についてはアンプ6と同じ。
出力に0.22uFをつなぐことで動作は完璧に安定する。

さて、歪率であるがつぎのようになった。
アンプ6に比べ、まだ十分とは言えないかもしれないが100Hzの歪率は明らかに改善した。
音も格段な変化があった。いままで頭が押さえつけられた蓋が取り去られ、空間が大きく拡大する。

こうなるとNFBの47KΩをもっと大きな値にしたらどうなるかというところに興味が湧く。

GaN Single End Power Amp その62023年04月26日 22時12分08秒

その後のGaN シングルエンドアンプ。SCOTTを組み立てながら、それと並行してこちらも進展があった。結論から言えば、前回の回路では満足できず、入力トランス付きに戻した。ところがこの回路には重大な問題があった。どんなに手を尽くしても動作が安定せず、簡単に発振してしまう。

原因は入力トランスの2次側がグランドから浮いているためと推定。GaN素子のバイアス電圧を与えるためには、これ以外の方法もあり得るのだろうが、シンプルな回路にこだわるならこれしかない。

こうしてもう一度出直しとなった。
昨日、設計し直したアンプが暫定的に完成した。動作はほぼ安定している。詳しいことはまた別の記事で書くとして、概要はこう。入力トランスで受けた信号はC3mのカソードフォロワを経由して終段のGaN素子を駆動する。このC3m、ちまたの噂通りすばらしい。

歪率を測定したところ、ちょっと問題が発覚。
1KHzと10KHzはよくそろっているのだが100Hzだけ極端に悪い。これには必ず理由があるはず。この調査が次の課題となる。

GaN Single End Power Amp その52023年03月13日 21時43分38秒

前回のアンプを使っているうちに、次のような目標が見えてきた。
1)少なくともゲインは20dB必要である。
2)トランスを使わないでバランス入力を受けたい。
3)新しい部品は極力買わないようにして、手持ちのものを活用する。
4)GaNラインアンプでやったように、フロントエンド(前段増幅部)を10mm厚アルミ板に組み立てたい。

ということで、途中経過を一切省略して最終的な回路図はこうなった。増幅部。
次に電源部。
注意点をいくつか。
・出力段のGaNのゲートにある寄生発振防止用抵抗R11は、必ず1KΩとすること。当初500Ωとしたところ、みごとに発振してしまった。
・出力につながっているR14は、入力と出力が同時にオープンになったとき、動作が不安定になることを防止するためのもので、これがないと最悪出力段のGaNが壊れる。
・C18は発振対策として念のために入れておく。
・C8があるとないとでは音質がかなり変化する。Dynamicapはよい仕事をしている。
・C2,C3の値も音質に大きく影響する。手持ちのものという制限があるためとりあえず8pFとしているが、音を聴くともう少し大きな値にしたい。
・R4は100Ωとしている。この値が1KΩを超えると出力段GaNのゲート漏れ電流の影響で動作が不安定になる。

使っているGaNトランジスタを数えてみたら全部で18個になった。

この項続く。

GaN Single End Power Amp その42023年02月19日 20時53分27秒

入力トランス付きGaNトランジスタ・パワーアンプの歪率を示す。
周波数ごとの歪率がほぼそろっていたのは収穫であった。
Gainは+1.5dB。その割に歪率がそれほど低くならないのは、入力トランスで信号を単純に減衰させているためである。
予想はしていたが、回路設計としてはバランスを欠いていたようだ。ということで次の構想に移る。

GaN Single End Power Amp その32023年02月18日 22時12分12秒

入力トランスを使ったGaNパワーアンプ。
内部の様子を紹介する。まずはフロントエンドから。
銀色に光っているのが入力トランスのPO400601。かつて放送局の調整卓で使われていたもので、音のバランス、品位、どこをとってもさすがプロの世界で選ばれただけあって一級品である。メーカーなど詳細は不明で、表面には品番の他にUSAとだけプリントされていた.
これがアンプの基板かと思うほど簡素で拍子抜けする。

続いて、GaN素子の実装の様子。フロントエンド基板の向こう側にある放熱器に斜めに取り付けてある。
最後は全体の様子。手前が電源部で、向こう側に100mHの空芯コイルと出力コンデンサが見える。主要なところにはWEのワイヤをおごり、大電流が流れるところには2mm径の単芯銅線を使ってある。