13D2 バッファー アンプ(改訂)2023年12月13日 21時49分48秒

前回のバッファーアンプ、音は良かったのだがひとつだけ大きな欠点があった。
MUSES72323は、入力も出力もDC成分があるものをつないではならない。DC成分があると音量切り替え時にノイズが発生してしまうから。なのでそういう場合はコンデンサを入れてDCをカットしなければならない.

前回のバッファ、予想はされたことではあったけれど、やはりノイズが出てしまった。音量調整しなければノイズは聞こえないといっても、使ってみるとわかるがこれが大きなストレスとなる。
ということで、対策をすることにした。

途中経過を省略して、まず回路図から。
続いて電源部も前回の絵には一部ミスがあったので改めて載せる。
改訂の要点は一つ。2N3634単独使用から、2SA726とのダーリントン接続にしたこと。
その理由。2N3634のhfeは50前後。Ic=5mAだからIb=100uAとなる。ベースに20KΩの抵抗がつながればVb=2Vとなる。これがMUSES72323にかかるDC成分となりノイズを発生させる原因となった。
(補足:20KΩはMUSES72323のデータシートに記載された入力抵抗値。2SA726のベースにつながれている100KΩは入力オープン時にグリッドがオープンになることを防ぐために入れてあるものなので、計算には20KΩを使うのが正しい)

ならばIbを小さくすればこの現象を回避できることになる。ダーリントン接続ならば、2SA726のhfe=250とすればVb=8mV程度になる計算。実測ではこれが2mVとなった。実際にMUSES72323につないでみると、まったくノイズは出ない。
欠点としては、半導体の使用数が増えたこと。
いまのところ、ダーリントン接続にする前と比べて大きな変化はないと感じているがもう少し聴き込んでみたい。

最後に実装の様子。 ダーリントン接続されたトランジスタ群。
そしてシャーシ裏の様子。真ん中に銅箔で巻かれたフィルムコンデンサが四本並んでいる(DCカット用)。これは現在撤去している。
最後に出力電圧について。回路図を見ておわかりのとおり、出力電圧は+1.2Vとなっていてゼロではない。わがシステムでは、パワーアンプがすべてトランスによるバランス受けなのでDC成分があっても問題とはならない。
ホット・コールド間の電位差も微小で数mV以下に納まっているし、ドリフトもほとんどない。半導体の選別をきちんとしたこともそうだが、一番は13D2の双極が非常によくそろっているおかげである。