Counterpoint SA-202006年11月19日 19時35分09秒

 オークションでCounterpoint SA-20を落札した。調べてみると無線と実験1987年3月号にレビューが掲載されていた。記事によると、発売当時定価は85万円。電圧増幅段は真空管6DJ8、出力段にはMOS-FETを4パラにして片チャンネル220W(8Ω)を得ている。窪田登司氏によると「太くゆったりしたみずみずしい音」となっている。
 オークション出品者によると、五年前までは動いていたが、現在正常動作するかどうかは不明とのこと。電源だけは入ったとの報告である。写真で見ると電源トランスにさびが浮いているのがわかる。若干不安もあったが、落札を決意した。
 という経過を経て我が家にやってきた。予想はしていたが重い。25Kg。そしてでかい。作りはさすがアメリカ製。どこかおおらかにできている。
 天板をはずし、中を覗いてみた。押し入れに長らく置かれていたようなにおいがしてきた。蜘蛛の巣も張っている。基板の上にうっすらとほこりが載っている。ところが意外にもパーツ類はしっかりしていて、さびや腐食は見られない。電解コンも外から見る限りふくらんだりしていない。電源を入れてみると真空管のヒーターもきちんとともる。出力電圧を測定してみても異常はない。オシロで出力波形を見てもハムや発振は観測されない。
 異常のようなチェックを経て、サブシステムのメインアンプに使ってみた。出てきた音は。。。
 五年間放置されてきたのでそのことを割り引いても、一聴してすごい実力のアンプであることがわかった。ここで初めて、緊張が解けて顔がにんまりとしてくる。
 当然、UHC-MOS-FET使用の金田式(もどき)アンプの音との比較になる。金田式アンプも十分前に出てくる音なのだが、この音を聞くとどこか「薄い」音であったことに気がつく。
 このアンプはまず高音域の音が前に張り出していて、ボーカルが非常に聞きやすい。刺激的な音とは違う。まさに音楽を聴くアンプ。日本人が設計したアンプと根本的に目指すところが違うことがわかってくる。いつまでも聴いていたくなるアンプだ。特にジャズボーカルは逸品だ。ほれぼれとしてくる。よく批評記事で「色気がある」と書かれることがあるが、うなずける。
 今後、エージングが進むのが楽しみだ。またネットで調べるといろいろシューンアップの記事が載っている。同好会のようなものもあるらしい。それだけ根強い人気があるということか。確かにそれだけの魅力はある。