Circlotron3 改版2019年08月02日 19時55分50秒

猛暑のニュースが連日報じられるなか、当地も負けずに暑い日が続いている。先日は、三日連続熱帯夜が続き、観測を始めて以来の記録になったのだとか。我が家にはエアコンがないので自然冷房が頼り。熱中症にかからないよう、水分補給はこまめに。。

こうなると半田ごてを握ろうという気持ちにはなれない。ああして、こうしてというアイデアが頭に浮かんでも前に進まない。

それでも昨夜はとうとう意を決して半田ごてを握った。
理由はひとつ。Circlotron3の音が堅いのである。最初はエージング不足のせいだろうと高をくくっていたが、いつまでたっても変わらず、これは根本的に何か問題があることに思い至った。

実を言うと完成直後から気になっていたことがあった。アイドリング電流を目標値のIo=800mAに設定しようとすると、GS66502Bのゲート・ソース間電圧は Vgs=2.7Vとなる。そのためにはWE420Aのプレート電流が1.35mAでなければならない。Vp=300Vでなんとか流れたが、この真空管の限界を超えている。おまけにカレンミラー素子の電力消費量も大きくなり、発熱のためドリフトも無視できなくなる。おそらくこれが原因で音が堅くなっているものと推測。

対策は簡単である。G-S間の抵抗を1KΩとしていたものを2.2KΩにすればWE420Aのプレート電流は613uAに抑えられて、余裕のある動作が期待できる。おまけに発熱も劇的に抑えられるのでドリフトも少なくなるはず。

肝心の抵抗のことだが、ここはどうしてもVARにしたいところ。すでにTexas Componentsには注文してあるのだが、いまだに工場から出荷されずバックオーダーに入っているようだ。と言っても、到着を待ちながらこのまま我慢して聞き続けたくない。手持ちの抵抗で応急措置をするしかない。音に癖があって使いたくはないのだが進抵抗を持ち出した。

抵抗を入れた後、アイドリング電流と出力のオフセット調整となる。アイドリング電流は680mAとした。オフセット調整は非常にスムースでドリフトがほとんどなく極めて安定している。これには驚いた。
B2電圧は300Vから160Vへと大幅に落とした。それにともないVp-k電圧は157Vとなった。

さて音はどうなったか。予想は的中。あれほど耳に突き刺さり、心にも突き刺さった音の堅さは消散し、音のエネルギーが低い周波数域に美しく広がる。音に芯があって、Amazing Circlotronで感じた抑圧感などみじんもない。自由でありながら荒れところや奔放なところもなく、静かである。音に独特の粘りのようなものを感じるのは初段にWE420Aを採用したためであろうか。あるいは、出力段に採用したGaN素子(GS66502B)の色づけが非常に少なく、初段の良さが存分に発揮されているためと考えることもできる。 とにかくこの音は味わい深い。一年間苦労してきた甲斐が十分にあった。
こうしてCirclotron3本来の実力が発揮されたわけだが、これを進抵抗ではなくVAR抵抗にしたらどんな音になるのだろうか。

今後の作業予定。
  1) VARに入れ替え
  2) WE420Aを定電流点火にする(すでに回路は完成済み)

Circlotron3 ついに完成2019年08月14日 20時56分26秒

前回からの変更点は以下の通り。

(1)WE420Aのヒーターを定電流点火とする。そのため、専用トランスを一台追加。整流は理想ダイオードブリッジ、電流制御素子はもちろんGaNである。

(2)GaNのG-S間抵抗を2.2KΩ VARに入れ替えた。

(3)終段のフローティング電源の仮想グランドとなる510Ωを 100Ωに変更した。というのは、どうしてもコモンモードノイズが乗り、高能率スピーカーでは無視できないほどの大きさで聞こえてしまうからである。

これで回路はフィクスとするので、回路図を掲載する。
まずはメインアンプ部から。
続いて初段の電源関係。
続いて終段の電源とプロテクター回路。ただし、プロテクター回路については、絵だけで詳細は省略してある。
最後にヒーターの定電流回路。
それで結果はどうなったのか。そのことは次のコラムで。

Circlotron3 出てきた音は2019年08月14日 22時10分38秒

まずは証拠写真から。ヒーター定電流回路を入れ込むスーペースがちょうどぴったりあいていた。
内部の様子。終段GaNのG-S間抵抗VARは基板の裏側に置いたので写真には見えていない。
このアンプの立役者であるGaN (GS66502B)がいかにすごいのか、せめて写真で見てもらって目に焼き付けていただきたい(いらぬお節介か)。
それで音である。
これが同じアンプかと思うほど、手を入れる前とは全く違う。ヒーターの定電流回路とVARを同時に入れ替えたのでどちらがどのように利いているのかはわからないが、おそらくVARの効果であろうと推測している。

正直に言えば、これを超えるアンプを作る自信がなくなった。繊細でありながら雄大。重心が沈み込むという形容があるけれど、もはやそんな評価は意味がないように思うほど楽器がそこに実在する感覚が強く、演奏者の息づかいがせまってくる。

6年前、ピアノの音を再生しても子供のおもちゃのピアノにしか聞こえなかった。それからひたすらグランドピアノの音に近づくことを目標にしてきた。それがやっとかなったように思う。
これは神経を張り詰めながら耳をそばだてて聞く音ではない。ただただ身も心も、からだ全体に染み渡っていく。それに身を任せるだけ。そんな音である。

これでもまだエージングの途上である。落ち着いたらどうなっているのだろうか。

Circlotron3 考察編2019年08月15日 17時18分56秒

手を入れる前と後で誰が聞いてもわかるほどの大きな変化があった。変化することはわかっていたつもりだが、まさかこれほどとは予想していなかった。いままで見落としていたなにかがあると考えるのは当然であろう

ヒーターの定電流点火とGaNのG-S間抵抗のVAR化を同時におこなったのだから、変化の原因はこのどちらか、またはこの両方と考えることができる。あるいはもう一つの原因としてヒーター電源のトランスを独立させたことも可能性として捨てることはできないだろう。どれが主要な原因であるかを確かめるためには、さらなる実験が必要となる。

とりあえず思考実験として、変化をもたらした原因がVAR化にあると仮説を立ててみる。まったく根拠のない話ではない。2.2KΩVARが届く前に、1KΩVARと1.2KΩ進抵抗を直列接続して音出ししたのだが、これによってWE420Aの動作条件がより望ましい方向に変化したにもかかわらず、明らかに進抵抗の影響が感じられ、満足とはほど遠い音しか出なかった。
出てはならない音が出ているというのではなく、出なければならない音が出ていない。百人の合唱隊がいたならおよそ三十人が欠けている。音は聞こえても、心を揺すぶる大切なものが消えている。比べるものがなければ、こんなものかと納得してしまっていただろう。しかしVAR化した音を聴いて初めて、あのとき足りなかったものが何かに気がつく。

抵抗が音を悪くすることは以前から気がついてた。しかしこれほどの影響があるとまではわかっていなかった。

もしこれが正しければ、次のようなことが言えるのではないか。
トランスを多用する佐久間式アンプがある人々を魅了している事実。あるいは、「アンプ親父の製作記」の管理人さんがどんどん古典スタイルのアンプに戻り、とうとうトランスを自分で巻くまでに至るあの情熱。このような現象について従来、「トランスを使ったアンプは音が良いのだ」と説明がなされてきた。しかしこの説明は単純すぎて、重要な点を見落としているのではないか。トランスが良い音を出しているのではなく、トランスを使うことで音の悪い抵抗を少なくできる。なので結果的に良い音になる。そのように言うこともできるのではないのか。

このことは半導体式アンプについても敷衍できる。「真空管アンプは音が良く、半導体を使ったアンプは音が悪い。」巷間でよく言われるこの表現も、正しくは次のように修正すべきかもしれない。「確かに半導体の中には音の悪いものがある。しかし半導体のすべてが音が悪いとも言えない。もし音が悪く聞こえるならば、それはもしかして半導体アンプで多数使われている抵抗が原因かもしれない。」

この仮説が正しいのかどうか。そのことを証明するために、次の実験としてDynaco MK3のトランスと用いたKT88ppアンプを予定している。すでに回路は固まっていて、あとは涼しくなるのを待つだけである。

朝里峠一周コース2019年08月21日 16時28分01秒

ここ2週間、公私ともどもいろいろあって長距離を走ることができなかった。おまけに15日から18日は突然舞い込んできた案件に対応するためにてんてこ舞い。18日の夜ベッドに倒れ込んで11時間ぶっ続けで寝てしまった。ここ数年、こんなに長い時間寝た記憶がない.

この疲れが尾を引き、19日から一年に一度の長期休暇が始まったのに、ぼんやりして過ごす羽目に。疲れもやっととれてきたので、本日朝里峠一周コースに出かけた。

先週は台風崩れの低気圧が通過したおかげでムシムシするほどの湿度だったが、今週に入ってめっきり秋らしくなってきた。隣にある公園には秋桜が咲いていた。蝉の声も最盛期に比べたら弱々しく聞こえる。

本日の天候は曇り。最高気温は25℃。東南東の風がやや強い.
ずっと自転車に乗れなかったがそれはまずいと思い、昨日は三本ローラーで走り込んだ。と言っても1時間10分。しかし侮ってはならない。負荷をあまり重くせずにLSD走をするだけで抜群の効果がある。

その甲斐があってか、朝里温泉分岐交差点までラップタイムは45分台。ダム記念館から朝里峠駐車場(定山渓側)までラップタイムは36分。10年前は30分切りを目指したものだが、いまはそんな体力はない。登りでロスしたタイムを取り戻すために、降りは40Km/h維持を心がける。ところどころ30Km/h台に落ちるところもあるが、気にしない。
四峰トンネルはトンネル内工事中で、ずっと片側交互通行通行になっている。係の方が頭を下げて歩道を走ってもらいたいとお願いする。こちらは快く受け止めて歩道にバイクを移動。必死のTTができなくて少々寂しいが、変な意地を張ってほかの方々に迷惑をかけるわけにはいかない。

定山渓まで降りてくると最初の信号がある。その角に最近、ピザ屋さんができた。看板を見ると「雨ノ日と雪ノ日」とある。休暇中に妻で来ようかと思っている。その店の前で赤信号待ちの間に補給。国道に出るとラップタイムが2時間15分。きょうは3時間30分を切れそう。

藤野から川沿までは向かい風で速度が上がらない。じっと我慢。川沿からの石山通は追い風基調で助けられた。
その後は特記事項なし。リザルトは3時間24分45秒となった。最近走り込みが足りなかった割には良い結果となった。

暑からず、寒からず。風が強かったことを除けばちょうど良いコンディション。2本のボトルでちょうど間に合った。


ところで、走行時間の解析をしてみたい。比較するのは2019年6月13日のラン。
まず6月13日の走行記録を再録する。
朝里温泉分岐交差点 46分台
定山渓国道分岐交差点 2時間21分
自宅 3時間20分50秒

本日のラン。
朝里温泉分岐交差点 45分40秒
定山渓国道分岐交差点 2時間15分
自宅 3時間24分45秒

これを見てすぐわかるように、6月13日は定山渓国道分岐交差点からの追い込みが半端でない。いまでも覚えているが、集中力が研ぎ澄まされて前へ前へという意識で走り続けた。風も味方してくれたおかげだろう。