Driccoll ダブル水晶OSC 試作6号 その12020年03月10日 11時01分02秒

いろいろ作り直していくうちに試作回数が積み重なり、一度整理しておかないと自分でも混乱してしまいそうになる。そこで試作番号を振ることにした。以下はそのリスト

試作1号 andrea_mori オリジナル
試作2号 andrea_mori オリジナル+オーブン
試作3号 andrea_mori 発振回路はそのままで、矩形波変換部を変更+オーブン
正弦波をFETバッファーで出力+矩形波変換部にLTC6957-3を使用
試作4号 Driscoll出願特許掲載の回路を再現 シングル水晶 オーブンなし
試作5号 同上 ダブル水晶 オーブンなし

そこで次の試作にとりかかる。これを試作6号と称することにする。
設計仕様はいかのとおり。
・電源電圧 発振器本体 +12V, オーブン +5V
・ダブル水晶
・出力はSMA同軸
・主要CにはSEコンを使用
・主要RにはVishayのVARを使用
・フェライトビーズを指定箇所に使用
・リミッターを導入
・カスコード回路の下側のトラにInfineonのBFR70を使用
・回路はこれまでの特許に掲載されていたものではなく、Driscollが2002年に行われたIEEE Frequency Control Symposiumで発表した資料のp61に掲載されている回路を参考にした。オリジナルから変更したのは出力部分である。
なお、元資料はここを参照のこと。

いつものようにすったもんだしながら動作確認を進めた結果、回路図は次のように固まった。
いくつかコメントを。
データシートによれば、BFP740はheterojunction bipolar transistor (HBT)と呼ばれるRF信号用トラである。ft=44GHz, NFmin=0.85dBが主な特徴。後でわかったのだが、HBTは一般のトラとは違い、ダイオード接続ができない特殊な構造になっている。
BFR182からBFP740への入れ替は簡単だろうと思っていたら痛い目に遭った。ftが高いだけあって簡単に異常発振する。Driscoll氏の原回路になぜフェライトビーズ(FB)が使われているのか、これで納得した。FBを指定箇所に入れたらピタリと動作が安定した。

ftが低いトラでも問題なく動くのに、なぜBFP740を使うのかと言えば、Driscoll氏の前掲の資料に「ローノイズ実現のためには高ftのトラを使うべし」と書かれているからである。そのため、レイアウトに注意しないと動作が不安定になることがあるとの注意書きも添えられている。

Q2,Q3,C8がリミッター回路となる。普通はここにショットキーバリアダイオードを使うのだが、BFR182のダイオード接続で代用したのは、できるだけ接合容量が小さい方が良かろう(Ceb=0.8pF)と思ったからで他意はない。なお、C8を大きくすると発振が停止する。C8=5pFが安定動作の限界であった。
ところでリミッターの有無による出力電圧の変化は若干ある程度で、今回のケースではリミッターなしでもよいと思われる。ここはまだ研究の余地がありそう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://john.asablo.jp/blog/2020/03/10/9222687/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。