大腸ポリープ摘出手術2020年02月11日 10時37分52秒

これまで病院には二度入院したことがある。一度目は、小学一年の時に扁桃腺を取ったとき。二度目は、大学時代にインド旅行の帰りに法定伝染病にかかり強制隔離されたとき。あのときは一日何もすることがなく、さりとて外にも出られずとにかく暇だったことを覚えている。

昨年末に個人病院で内視鏡による大腸検査を受けたところ、当院では取り切れないポリープがあるので大きな病院を紹介するからそこで手術を受けてくださいと言われことが事の発端である。

遺伝的な体質らしく大腸ポリープができやすいことは知っていて、これまで数年に一度の間隔で検査のたびにポリープを取ってきた。いずれも比較的小さなものだったので日帰りで手術ができた。ところが、前回の検査から五年のあいだ放っておいたことがいけなかった。ポリープが大きく成長してしまい、話も大きくなってしまった。

2月4日に近くの大きな病院に入院。
頭ではわかっていても、心は目の前に起きていることを受け入れることが難しいものである。いかにも具合が悪いというのならば納得いく。ところが、外見的には健康な人間が、いきなり病院のパジャマを着せられ、手首に個体識別のバンドをはめられ、きょうからこのベッドで過ごしてくださいと言われたときは、おおいに戸惑った。
が、数時間もするとすっかり自分も「病人」になっていた。この光景はなにかに似ているなと考えていたら、時代劇に出てくる牢屋である。外では乱暴狼藉を働いていた荒くれが牢屋に入るとすっかりおとなしくなって、日々の細々したことをおなじようになぞり、食事を楽しみに待つ。あれである。気がついたら、歩き方まですっかり病人になっていた。

翌5日に手術。2時間かかった。途中から目が覚めてしまい、内視鏡の画像をスタッフと一緒に眺めながら会話。今回、ポリープの形状とできた位置が特殊であったために、摘出はESD方式で行われた。最後に摘出ポリープを見せてもらったが、意外に大きくて看護師も驚いていた。

6日。一日中絶食。今回の手術で最もつらかったのが食事を摂れなかったこと。入院する日の朝から食事制限が始まったので、実質三日間はまともに食べていない。おかげで体重が2Kgも減り、自転車シーズン中であればいきなりベスト体重であるけれど、今回は体力が落ちるだけなのでふらふらになってしまった。

7日。待望の朝食が出た。病院食にもかかわらず、味噌汁を最初に口に含ませたときは感激した。どんぶり一杯のおかゆをたいらげた。

この後、トイレに行って事態は急変。下血してしまった。真っ赤に染まった便器を見たときは、目の前が真っ暗になった。夢を見ているのだろうか。いやこれが現実。医師に報告したら顔色が変わった。
内視鏡を入れる前に触診するとか、浣腸するとか言って医師や看護師になんどもお尻をさぐられる。命にかかわることなのでプライドも何も捨てるしかない。けつをまくって「なんとでもしてくれ」という気分である。

続いて内視鏡を入れて出血位置を確認し、止血することに。
このときも麻酔があまり効かずに最初から最後まで意識が明晰。医師と一緒に出血位置がどこか探すも見つからず、結局、出血は止まっていたことがわかり安堵。以後、様子を見ることに。

8日。あの後下血もなく安定しているので予定通り退院。
入院したときの手順を逆に踏んでいく。パジャマを脱いで着替える。スリッパを脱いで普通の靴に履き替える。そして最後に個人識別バンドを外してもらい、ご赦免。
外に出たときは思いっきり息を吸った。「シャバの空気」とはよく言ったものである。

当地は今シーズン雪が降らず、記録的な少雪だと言われてきたのに、皮肉なことに入院した日から連日の大雪となった。留守を守る妻が自宅の除雪に追われることになり、すっかり迷惑をかけてしまった。「あとで借りを返すから」と言ったものの、退院した日から雪が降らない。おまけに明日から暖気が入ってくるとのこと。春までに借りを返すことができるのだろうか。それが気がかりである(笑)。

とにかく入院中は予想外の事態も起きて少々慌てたが、こうして普通の生活に戻れたことはうれしい。あとで息子から、出血するのは珍しいことではないと言われ、少し安心した。

Driscoll ダブル水晶OSC 開発録その12020年02月11日 11時53分08秒

Driscoll OSCをうまく動作させることができたので、次の課題となっていた「ダブル水晶」に挑戦することにした。前回試みたときは、無負荷では発振するのに負荷をかけると停止してしまい、失敗に終わっていた。

設計仕様は以下の通り。
1)電源電圧は+12Vとする。
前回は、Driscollの特許に書かれているとおりに18Vに設定したが、これではいかにも特殊で使いづらい。12Vにできれば汎用性がぐっと上がる。
2)同調回路のLCのパラメータを変更する。
前回、トロイダルコアトランスの一次側を1uH 二次側を0.05uHに設定したが、共振周波数に合わせようとするとCの容量が小さくなりすぎてトリマーコンデンサの調整範囲を逸脱してしまった。
それに加えて、Lを変えることで発振の振る舞いがどう変化するかを観察することも目的である。
3)使用するトランジスタをBFR182とする。
Driscollの特許文書を読むと、できるだけ高いftのトラを使えと書いてあったので、これに従うことにした。I氏からは高いftのトラは適切ではないとの意見をいただいているが、とりあえずオリジナルを尊重することにした。

ということで最終の回路図は以下のようになった。

回路図ではC4は固定コンデンサとなっているが、実機では秋月電子でたまたま手に入ったトロンサー製のバリアブルエアコンデンサ(1.9pF ~16pF)を使用した。
いまでも古典的なエアバリコンが製造されているとは驚きである。

また出力に関して付言すれば、回路図ではバランス伝送になっているように書いてあるが、実機ではu-FLの同軸ケーブで出力している。将来的にはバランス伝送を実現したいと考えている。

Driscoll ダブル水晶OSC 開発録その22020年02月11日 13時15分28秒

実装状態は以下のようになっている。

三個見えるトロイダルコアトランスのうちの真ん中が同調回路を構成し、ほかの二個は手巻きのRFCとなる。高周波コイルを巻くのは高校時代に短波受信機を作って以来で、あのときはベークライトでできた筒型のボビンに巻き、US型ソケットの端子に半田付けしたものである。コイル巻きは慣れてくるとこれはこれで楽しいものである。

トリマーコンデンサは、写真で見えるよう状態で羽が重なったところにおさまった。

次に水晶発振の様子。

写真ではわかりづらいが、左と右とでは反対向きにしている。左側には15という手書き数字が見えるが、右側は裏側に18という数字が書かれている。反対向きにすることで、振動モードがお互いに相殺され、位相雑音にたいして有利になることが報告されているのでこうした。理想的には三軸全体にわたって反対向きにすべきであろう。

Driscoll ダブル水晶OSC 開発録その32020年02月11日 13時28分14秒

肝心の出力波形は以下のようになった。

一見美しい正弦波にも見えても、よく見ると歪んでいてまだ改善の余地がある。

実を言うと、この結果が出るまでいくつかのトラブルがあった。
組み上げて最初の電源オン。発振しない。これで慌ててはいけない。落ち着いてバリアブルコンデンサを回していくと、発振を開始した。各定数を追い込まないと発振しないのではと覚悟していたので、これは幸いなことであった。
前回作ったシングル水晶タイプでは調整範囲がある程度ブロードで、少々動かしても発振には影響がなかった。ところが今回は調整範囲が非常に狭く、少し動かしただけで発振が停止する。回路全体のQが非常に高いという印象で、さすがダブル水晶である。これは幸先が良い。

しかし、喜んでいたのはそこまで。発振周波数を見てがっかりした。49MHzという数字が表示されている。なぜこんなにずれるのか、まったく思いつかない。もしかしてダブル水晶だからこうなるのか。しかし、片方の水晶発振子を短絡させても周波数は変わらないのでこれはシロ。

あれやこれやといじること数時間。偶然何かの拍子に45MHz台で発振した。結論を先に言えばこうであった。

回路図に書いたとおりに、発振器の基板と出力先の負荷とはu-FLケーブルでつながってはいても、GNDはつながっていない。グランドを通してノイズが伝わらないようにと考えたからだ。ここに問題が潜んでいた。GNDが浮いたことによって発振器と負荷との間に相互作用が生じてこのような誤動作が発生したらしい。
グランドをリード線で接続するか、もしくは直接つながなくても負荷側をなにかの金属にグランドを落とすことで解決した。
45MHzの数字が出たときは胸をなで下ろした。

電源電圧を+6Vから+18Vまで動かしても安定して発振することと、電源のオンオフさせても確実に発振することを確認。ここまでくれば後はDACにつなぐだけ。

いつものように電源は菊水の実験用安定化電源で、オーブンなし、エージングなしの状態である。出てきた音は、これまで使っていたシングル水晶タイプとは明らかに違っていた。

空間がますます透明になり、ますます表情が豊かになり、ますます音と音との間にある静けさが深まっていく。フェーダーはいつもの位置なのに、音が前にせり出してきて立体的で、特に奥行きの表現がめざましい。
これだけ耳で聞いてわかるくらいなのだから、スペアナがあればきっと明らかな性能差となって現れるに違いない。客観的な数値として表現できないことがもどかしい。

しかし手放しで喜ぶことはできない。純度が高まると不純物の存在が目立つようになる。全体の透明度が上がっているのにもかかわらず、少し周波数域の高いところに耳に引っかかる違和感を感じる。ベースの音階がずいぶんと明瞭になり、ニュアンスが伝わりやすくなってきているけれど、どこか少し膨らみ気味に感じる。ここらあたりは電源の質が影響している可能性がある。専用の電源を用意しなければならない。