中山峠登っては降りてまた登り2017年07月04日 21時07分04秒

カンパのShamal Ultraに履き替えてから、俄然走りのモチベーションが上がってきた。この勢いで昨日(3日)、今季初の中山峠に向かった。

朝起きて外をうかがうとどんよりとした雲。山の方を見ると中腹までガスがかかっている。気温はこの季節としては低め。予報によれば雨はふらない。風も弱い。長距離走には絶好のコンディション。

自宅を出たのが8時50分。まずは小林峠を目指す。もちろんトンネルをくぐるようなやわなことはしないで、きっちりと峠を通過。ここで自分山岳ポイント獲得(笑)。

国道230号線に出てからはひたすら定山渓を目指す。朝里峠の帰りときは、やや下り基調なので向かい風でなければ40Km/hで走るところ。今回は逆方向であることと、スタートしてからまだ体が順応していないこともあってそんな速度は出ない。おまけに、長距離を走るのでペース配分も考えなければ後半がきつくなる。

定山渓温泉を通過。近く道路を拡幅するためなのか、左側の建物が壊されていたりして、少しずつ街の雰囲気が変わってきている。ほどなくしてチェーン着脱場を通過。ここから峠までのタイムを測定する。

普段ならここから速度が落ちるのだが、追い風基調に助けられて速度が下がらない。いつもなら無意根山登山口あたりでインナーに落とすのも、今回はアウターでどんどん前に進んでいく。やがてインナーに落とすことになっても、サイコンを見ると17Km/hを維持。いつもなら14Km/hあたりなのでびっくりである。この調子でトンネルまで行った。

この登りでShamal Ultraの実力がわかってきた。まず最初に気がついたのは、ペダリングの質が変わること。正確に言えば、「漕手の意思でペダリングを修正する」のではなく、ホイールの方から「正しいペダリングとはこうである」と修正を求めてくるのだ。

具体的に言えばこうである。クランクは滑らかに回す。これが鉄則であることは頭の知識としては知っていた。しかし実際はどうなのか。このホイールを履いて初めて自分のペダリングが間違っていたことに気がついた。無意識のうちに膝に力が入り、速筋を使ってしまっていた。その結果、すぐに乳酸がたまり、足が痛くなる。心拍数も上がって青息吐息となる。

それに対してShamal Ultraは、もっとも効率の良いペダリングはこうですよと、ペダリングの「ツボ」を教えてくれる。もちろん声を出して教えてくれるわけではなく、回していると「あ、これだ」とわからせてくれるなにかがある。これを口で表現するのは難しい。でも貧脚の私でさえわかるのだから、だれでもすぐわかるはずだ。

Shamal君が教えてくれたペダリングとは。
なんのことはない、「ハムストリングを使いなさい」である。いや、これも頭では知っていた。しかし実際は使っていなかった。Shamal君は、ハムストリングで正しく回す方法を自然に体に教えてくれる。その結果、おもに遅筋を使うことになリ疲れにくくなる。走り終わった後、ふとももがそれほど痛くならずに中殿筋に心地よい筋肉痛を覚える。

このようにShamal君は乗り手に合わせるのではなく、乗り手を教育してその気にさせる。素晴らしい駿馬である。

そんなこんなしているうちに中山峠着。タイムは51分40秒。
前回の記録を見ると3年前に55分と書いてあった。うーむ、この年令でもまだ速く走られると知って、素直に嬉しい。

ここで駐車場に入って、朝食の残りで持ってきたパンを食べる。羊蹄山は雲の中で裾野がわずかに見えるくらい。峠が霧でなくてよかった。すぐに喜茂別方面に向けて降る。

快適なダウンヒルと言いたいところだが、路面状況はあまりよくない。あのリム打ちのトラウマが残っているので、なおさら注意深くなる。結構あちこちにピットがあって、気が抜けない。後ろを気にしながらも、ややセンターよりのラインを取りたくなる。

途中、工事による片側通行が二箇所。工事関係者がいつもメンテナンスしてくれるおかげで私たちは走ることができる。感謝の気持ちを込めて「ありがとうございます」と声をかけて通過する。

斜度がゆるくなってくると、左右の森林地帯が終わり、景色が開けてくる。野菜や果物の直売所が店を開いているのを眺めなら走ると間もなく「喜茂別町 郷の駅」に到着。ここでトイレタイム。および、カロリーメイト補給。(この補給が足りなかったことはあとでわかった。)すぐにUターン。 

ここからぽつりぽつりと雨が降ってくる。しかし路面が濡れるほどでもない。体感の気温はやや肌寒いくらい。この季節、登りの時はジッパーを全開して熱を逃がすのだが、今回はその必要がない。

喜茂別から中山峠を超えるときは、とにかくあせらないことである。最初の取っ掛かりは斜度がゆるいので、気が緩んで速度を上げたくなる。これが魔物で、後から足が売り切れて頂上を目前にして目が回る思いをしたことが何度もあった。今回は、最後まで余裕を残しながら峠を通過。これもShamal君のおかげ。

定山渓までの下りはここもピットの連続なので、慎重に。トンネルを抜けてからもっとも速度が上がるところで、後ろから救急車が通過。こちらは左に寄せて停止。また走り始めるのだが、ここあたりから徐々に力が入らなくなってきた。軽い頭痛もする。水分不足と、エネルギー補給が不足している。

定山渓街のコンビニに寄ってスポーツ飲料水一リットルとおにぎり二個を調達。やっと生き返る。あとはひたすら自宅を目指す。帰りは小林峠ではなく石山通を北上し、北1条通りを西進するコースを取る。

自宅に着いたのが3時30分。走行距離、きっちりと150Km。

腹が空いて、妻にラーメンを所望する。ガツガツと食べる夫の姿を見て妻はあきれていた。

今回の反省点。水は2.5リットル補給したが全体に不足していた。またカロリーメイトとおにぎりでもまったくエネルギー不足。久々の長距離だったので、補給のコツを忘れてしまっていた。

東京出張2017年07月17日 17時30分51秒

10〜12日、東京へ出張。
行く前は気が重かった。あの暑さと湿気は、からだにこたえる。

17年前、某社で働いていたときは社有機(Beechcraft 300 King Air)で札幌ー埼玉間をほぼ毎週移動していたこともあった。夏場に桶川にあるホンダエアポートに降り立ち、外に出ると、途端に眼鏡が曇り、一気に湿気がからだにまとわりついたものだ。あの頃は、それでもがんばれた。

今回の行き先は、奥多摩。JR青梅線で登っていく。この時期に毎年開かれる研修会に出席するためである。懐かしい同僚、先輩後輩に出会い、また先生方と再会し、少し元気をもらってきた。

札幌に戻ってくると、、、東京と変わらない暑さ。昨年は帰ってから体調を崩したが、今回は無事である。ただ仕事が忙しく疲れがたまったこともあり、今日の休日は家でおとなしくしていた。

奥多摩に行くと、必ずローディが坂道を登っていくのに出くわす。斜度はそれほどきつくなさそうだが、東京都内でこれだけ自然に囲まれて走られるのは貴重である。ただ、道路幅が狭く、おまけに大型ダンプがかなりの頻度で走っているので、結構緊張するはずだ。

大型ダンプは山の中にある採石場から砂利を運び出している。昨年に比べると、台数がかなり増えている模様。これも東京オリンピックの影響だろうか。

通勤の帰りは小林峠経由2017年07月17日 17時57分27秒

出張から帰ってきて、翌13日は車で通勤。
14,15日は自転車通勤。いずれも帰りは小林峠を経由した。

川沿から峠に向かう途中の道路は一部工事中で、砂利道になっていて「通行止め」の看板が出ている。無理をすれば走れないこともないが(以前は何回か走った)、パンクのリスクもあるので、もう少し上に登ってから左折すると旧道に出ることができる。しばらくこのコースで走ることになるだろう。

まず14日のこと。車がほとんど走らなくなって、いくぶん昔の趣をとりもどした風景を楽しみながら左にカーブを曲がっていくと、道路の真ん中に2匹の狐が座っているではないか。親子か、兄弟か、それとも夫婦なのかはわからない。すぐに逃げると思いきや、なにやらのんびりと構えている。こちらは狐を驚かさないようにわざわざ左路側帯ぎりぎりのラインを走る。

と、やや大きな方の狐があとを追いかけてくる。一瞬びっくりした。後を振り返りながらゆっくりと走っていくと、あちらもどんどんついてくる。蛇行すると、そのとおりにあちらも蛇行する。どうも人慣れしているらしい。

どうしようかと思っているうちに、やがて相手は立ち止まり、大きな声で「キョイーン」と何度か声を上げた。目の前で狐がなく姿を見るの初めてである。そのままお別れするとまもなく峠が見えてくる。そのまま下りに向かっていった。今シーズンの十大ニュースのひとつになるだろう。

次は翌15日のこと。昨日の狐がいるだろうかと心楽しみに登りに取り掛かったら、前方に一台のローディを発見。距離およそ300m。

すぐに相手の実力を見極めるための情報収集にかかる。こちらはおよそ14Km/h。でがんばっていると、なんだか少しずつ距離が縮まっているようにみえる。もしかして、峠までには追いつけるかもという希望が湧いてきた。

こうなると、こちらもがんばる。カーブを曲がるたびに相手の姿が見えなくなるとやや心がくじけるのだが、すぐに後ろ姿を見つけるとまた奮起する。結局峠を通過するときは100mまで距離を縮めた。そのまま下りへ入り、こちらは追いかける。

そのようにしてトンネル入口のすぐ手前にある新道交差点に来た時、お相手のローディは右旋回してすぐにまた来た道を引き返す。こちらは右手を上げてお互いの労をねぎらった。ちらっと見た限りでは30代のレース経験者だろうか。

いつもなら小林峠の登りは後から抜かれることが多かったのだが、距離を縮められたことは嬉しかった。ただし、お相手は峠を3往復くらいした後で、こちらと出会ったときはゆっくり流していた可能性はある。

Shamal Ultraで朝里峠コース2017年07月24日 14時19分42秒

前回、長距離走をしたのが7月3日。10日は東京出張。17日は、天気も体調も悪く自宅で休養。
3週間ぶりに長距離走に出かけた。朝里峠一周コース。ホイールはShamal Ultra。マシンは中華カーボンである。
天候は、やや雲があるものの晴れ。最高気温は25度。風はおだやか。条件に文句はない。ただ仕事の疲れがたまっていて朝起きるのがつらく、30分ほど寝坊してしまった。

8時50分に出発。
Shamal Ultraは、巡航速度に達すると非常に滑らかで快適なのだが、ただひとつ弱点があって、リムがワイド化したことに伴い慣性モーメントが増大したことで、走り出しがサクサクといかない。どうしてももたつく。
信号が多い市街地を走行するときはストップアンドゴーの繰り返しだから、その欠点が目立つ。ただ、Shamal Ultraが悪いのではなく、レースに特化して設計されたものを街なかのホビーユースで使うのが間違っているだけである。

さて、そんなこんなしているうちに朝里温泉を通過。ラップタイムをとるのを忘れてしまって正確ではないが、いつもより速いことに気がついた。もしかして今日は調子がいいのかもしれない。ということで、朝里ダム記念館から峠までのタイムを測ることにした。

タイムに最も影響をあたえるのは、体調のほかに風がある。今回は向かい風でもないし追い風でもなし。斜度のきついところを走っているとほとんど風を感じない。じりじりと太陽に焼かれる。
まずいことに虫が寄ってきた。風がないので、だらだら走るライダーは格好の攻撃対象になる。速度を上げれば良いのだがそんなことはできない。手で追い払いながら走るしかない。

三つ目のトンネルを超えると斜度がゆるくなる。体力のある人なら、ここでアウターにチェンジして加速するのだろうが、そんな力がない。きょうも平凡な記録かなと思ってサイコンを見ると、30分経過したばかり。もしやここで頑張れば35分を切れるかもという希望が湧いてきた。

ヒイコラ言いながら最後のトンネルを抜け、定山渓側の駐車場を通過。 タイムは、34分45秒。久々に35分を切った。この感動を胸に秘めながら下りに入る。しかし、いつもの恒常風が前から強めに吹いてきて速度が上がらない。忍耐。

定山渓に降りてきて国道230号線の交差点までのラップは1時間50分。前回よりも10分速い。いつもより速いという感触がなかったので驚き。
さあ、ここで速度を上げるかと加速するも、向かい風に阻まれる。小金湯温泉までは、条件がよけれが50Km/hで巡航することもあるのだが、きょうは40Km/hも出ない。こんな状態が、北1条通りに出るまで続いた。

川沿のイオンデパート前交差点までのラップは2時間53分。定山渓からの速度が伸びず、前回より3分遅い。石山通を北上するときも、40Km/hは出せず、忍の一字。
北1条通りにでたときのラップは3時間10分。自宅ゴールで3時間30分を切れるかどうか、可能性は半々。ここでボトルの水が完全にからになる。若干の頭痛がするので、水分不足は明らか。おそらくパフォーマンスにも影響が出ているはずだ。なにより、判断力の低下に気をつけなければならない。

残り時間を気にしながらゴールに向かうのはスリルである。今シーズンは、目標タイムに届かず敗退の連続であった。
今日のリザルト。3時間28分47秒。
やっと3時間30分を切ることができた。素直に嬉しい。もちろん信号と交通規則を守り、路線バスを邪魔しないように配慮して出した結果である。ちなみにこれまでのベストは、2015年8月31日に出した3時間25分56秒である。

走り終えて勝因を分析する。
追い風区間はほとんどなく、弱いながらも向かい風状態が多かったように思う。だから風が原因ではない。
今回もハムストリングと中殿筋を使ったペダリングを意識した。速度が上げられないが、疲れにくいことは確かである。ペダリングを矯正してくれたShamal君に感謝。

それからもう一つ。先週、先々週と自転車通勤コースは小林峠経由であった。登りはもちろん、下り斜面でも目一杯ふんばる。あれが効いたのかも。

Dynaco MK3の改造(1)2017年07月29日 19時59分38秒

Dynaco Mk3について、かつて森川忠勇先生は次のように語っていた。
「このアンプの特長は回路がPK分割による、いわゆるアルテック型と称されるもので比較的に簡単な構成であり、それに加えて出力トランスが非常に優秀な特性を持っていいたので(現在でも第一級のOPTとして通用する)、電気的な特性は安定であって優れたものであったことです。」(MJ無線と実験1985年5月号)
OPTが優秀なことについては、かの伊藤喜多男先生もどこかで触れていたと記憶している。

Mk3は海外製品にもかかわらず我が国の市場にも豊富に出回ったらしく、いまでもオークションにしばしば出品され、トランスの価値を考えたらかなり安いと思われる相場で取引されている。ということで本年3月に我が家へやってきたのだが、そのまま数ヶ月放置していた。

モノラル2台を比べてみると、KT88のブランドが異なっていた。一方はGEでもう一方は中華製。裏側をのぞくと、一方は比較的丁寧なワイヤリングだだ、もう一方はいかにも素人がはんだ付けしたとわかる粗雑さが目立つ。それでもきちんと音は出た。ただし、GE製の球が熱暴走するのか、突然プレートが赤熱するというトラブルに遭遇。

定石通りに、電解コンを新しくし、固定バイアス調整を出力管ごとに個別に行えるように変更し、カップリングコンデンサのリークも疑ったので、ASCに交換した。それでも熱暴走がおきたので、多分球が寿命なのかもしれない。

我が家のオーディオ装置はすべてバランス伝送に統一してある。Mk3は当然のことながらアンバランス入力なので、変換コネクタが必要になる。なんのことはない、コールド側をグランドに落とす。

出てきた音はそれなりだった。使っている部品のせいだろうか、少し荒っぽくて、細かな音が聞こえてこない。もう少し品位と静けさがほしい。なにより電源トランスが盛大にうなるのには閉口した。うるさくて音楽に没頭できない。結局、積極的な魅力を感じることができなかったため、お蔵入りとなってしまった。

しかし、これでおしまいにするわけにはいかない。先輩たちが一目置いたOPTに活躍の場を与えるべきではないか、と変な義務感をいだき、Mk3を改造することにした。詳細はまた別途。