300Bの選定2016年10月03日 21時59分47秒

本家WE300Bペアの取引価格は、市井人の趣味の範囲を大きく逸脱し、有名絵画か宝石のような扱いで、もはや凡人の手の届くところにはない。
松並先生であったと思うが、「WE300Bを超える真空管は今後絶対に出ることはないだろう」とおっしゃっていた。

まことに残念としか言いようがない。しかしここであきらめていたら前に進まない。たとえ超えられないとしても、近づく努力を怠る理由は存在しない。

そこで頭を悩ますのが300Bの選定である。諸先輩方もさまざまなメーカーを試され、「名前は300Bでも、中身が全く違うものもある」と嘆くありさまであるから、なおさら初心者にはわかりにくい。

ただひとつわかるのは価格である。予算が限られているので選択肢はおのずと狭まる。そう考えると、候補に挙がるのはあれとこれとあれくらいである。その中から最終的に選んだのが、Gold Lion PX300Bである。ちまたの評価が高かったのが決め手となった。

あとはどこから購入するかが問題。Amazonでも扱っているくらいなので日本国内でも入手可能。しかし、調べてみると香港のお店がもっとも安かったのでさきほど注文した。

ただ一つ残念なのはデザイン。白と赤はどうもいけない。色調をもっと整えていただきたかった。

ぎっくり腰2016年10月03日 22時18分11秒

先週金曜日、仕事場に出かけて朝の掃除をしようと掃除機をかけて中腰姿勢になったら、いきなりぎっくり腰になってしまった。一週間まえには熱が出たり、くしゃみが止まらなかったりで、あまり体調が良くなかったのは確か。前日の木曜日には、手稲山に上ってきたのだが、ひどいタイムだったのと、二度挑戦するつもりがまったく足に力が入らずそのまま帰投したことあがった。やっぱりからだに異変が起きていたのかもしれない。

火曜日のきょうになってだいぶ回復してきた。一時はトイレにいくのもつらかった。腰が痛いと、アンプを動かすのもひと苦労である。

腰痛のことを話したら、製薬会社にお勤めのご主人からは湿布薬をいただいた。最近の湿布薬は、まるで皮膚の一部のような感触があり、すばらしい張り心地である。いたく感心した。

おかげであと数日で全快となるだろう。

13D2ラインアンプの最新状況2016年10月04日 22時32分37秒

DACレギュレーターの制御素子を全台入れ替えてからおよそエージング時間は400時間経過した。

このエージング途中で高い周波数域に緊張感がまだ残っていることに気がついた。策を打つべきところはすべて打ったつもりだったので、頭を抱えてしまった。

そんななか、たまたまある方が6SN7GTでよい音を出すためにはプレート・カソード間電圧を180V以下に抑えなければならないと書いてあるのを読んで、はたと思い至った。わがラインアンプはこの条件から大きく逸脱しているではないか。

そこで以前の状態をもう一度見返してみた。調べてみると、製作当初のプレート電圧は、B電源にレギュレータを採用していたこともあって100V程度に設計されていた。その後、レギュレータをはずしてから280Vに上がり、今回WE412Aを降ろしてダイオード整流にした結果プレート電圧は300Vにまで上がっていた。13D2の最大定格に達していて、明らかに高すぎだ。

そこで早速電源トランスのタップを取り直し、プレート電圧120Vにしてみた。一聴、音が変わった。迷うことなくこちらが正解である。桎梏から解放されて音が自由に踊りだす。

ということで最新の回路図を掲載。なお、ヒーターの定電流回路部分はこの回路図では省略している。

PX300Bのグリッド抵抗2016年10月10日 14時46分25秒

データシートによれば、PX300Bのグリッド抵抗は、自己バイアス時で最大500KΩ、固定バイアス時で最大50KΩとなっている。

固定バイアスを選択しようとすると、これは結構な制約となる。こんな場合、ベテランの諸先生であればトランス結合か、カソードフォロワを選択するのが定石であろう。

それはそれで魅力的であるが、あくまでも「91Bのような」アンプにこだわるならば、別の方法を考えなければならない。

結論から言えば、ここはグリッドチョークを選ぶことにした。理由は3つある。
(1)PX300Bの仕様を満たす。

(2)グリッドチョークでなければ出せない音がある。
以前、SA-20の二段目をRからグリッドチョークに入れ替えた時、濃密な音が出てきたのが印象的で、CR結合との違いは明白だった。

(3)このグリッドチョークトランスは、数年前にAnalogo親爺様からいただいたものでもある。このような貴重品を部品箱に眠らせておくなどもってのほか。是非活用したい。

この他にもAnalogo親爺様からは、タンゴのチョークトランスを二個いただいていた。20H 150mAという仕様で、まさに300Bアンプにうってつけ。今回は、モノラルを2台作る予定なので、ちょうど左右に振り分けることができる。

スクリーングリッド考2016年10月10日 15時10分25秒

この回路にいきなり決まったのではない。いろいろなアイデアを試してああでもないこうでもないと私なりに試行錯誤した結果である。

やってみるとわかったのは、初段のスクリーングリッド電圧が歪率に大きく関与することである。わずか1Vの違いが大きな変化をもたらす。ベストポイントは意外に狭いようだ。

しかし、たとえ計算上歪率が良くても音が良いとは限らない。そこがむずかしい。とは言え、シミュレーションによってある程度の傾向をつかむことができるという点では非常に有効である。

こういうときは先人の知恵を活用がさせていただくのが良い。今回大いに参考させていただいたのが、MJ99年1月号に掲載された松並希活先生の記事。
この記事は、初段管の選択が大きな関心事となっており、当然スクリーングリッドの扱いに細心の注意を払っただろうということは推測できる。

それで回路図をよく見ると、91Bのそれとはまったく異なっているではないか。松並先生の記事によれば、B電源を分圧してSGに加えるのではなく、B電源から470KΩを介して直接SGにつないでいる。そして、SGとKとの間には0.47uFを配置する。

森川忠勇先生は、WE310AのSGを定電圧回路で固定した記事をMJ74年8月号で発表されたらしい。87年8月号では、詳細な検討を加えた結果ツェナーダイオードで固定している。金田先生もそうしている。

SG電圧の変動は極力抑えるよう注意を払うべきであるのに、なぜ松並先生はこのような方法を取られたのか。最初は懐疑的であったが、シミュレーションしてみると実に深い配慮があってのこととわかった。

もう一つ問題なのが、SGから出たコンデンサのもう一端の側の処理。松並先生はKに接続されている。もう一つの処理方法として、グランドに落とすのが一般的。ざっと世間を見渡すと、どちらのケースもあってどれが正解というものではないらしい。しかし音は違うはずである。どう違うか。これだけは聞いて判断するしかない。

それにしても、SGの扱いについてはもっと系統だてた説明があっていいはずだが、製作記事で触れられことは少ないような気がする。