Circlotron2 その4 挫折編2019年02月06日 22時52分51秒

Circlotron2プロジェクトは、紆余曲折、迷路をさまよい、何度も壁に突き当たり、最後に私の検討不足が露呈し、苦しみの中で自然の真理の前に謙虚にさせられ、多くのことを学ぶことになった。

問題の現象としてはいくつか発生したのだが、突き詰めれば原因は一つであった。

初代Circlotronは終段の素子にGS66502Bを使っていた。今回、Circlotron2プロジェクトでは、これをGs61004Bに変更した。値段が安いことと、大電流が流せること、Mouserで在庫していて入手が容易だったことなどが理由である。

ところがこれがいけなかった。あとからデータシートをじっくりと眺めていてやっと気がついたのだが、Ids vs Vgs変化曲線の温度依存性に大きな差があって、同じ土俵に載せて議論するレベルではなかった。

まずはGS66502Bのほう。矢印で示したIdの差はおよそ3Aと見える。
続いてGS61004B。こちらは、15A程度はありそう。
つまりGS66502Bを使う限り、電源オン時のラッシュカレントは比較的コントロールが容易であるが、GS61004Bを使おうとするなら、厳重な対策をしなければならない。対策を怠れば、一瞬にして安全動作領域をはみだし、破壊される。

これがわかるまで何個のGaNをこわしたことか(涙)
Mouserで販売制限がかけられたことを知り、大事に使わなければと誓ったその日にまた飛ばしてしまったときは青くなった。

結論。
GS61004Bを使うことは諦めて、GS66502Bに戻すことにする。幸い、あちこちからかき集めればなんとか2ペアは用意できそう。

何事も身銭を切らないと自分のものにならないと言うが、今回は痛かった。

ところで、初代CirclotronにGS66502Bを使ったことは、今から思えば幸運だった。あそこで今のような事態に遭遇していたら、半可通の私はさじを投げてしまい、GaNは終段には使えないという結論にしてしまっていただろう。

きちんと基礎をやってきた人なら、こんな話は一番最初に検討すべきイロハのイと心得ているはず。ずっと雑誌の制作記事をコピーしてばかりいて、自分で学ぼうとしなかったつけが回ったということらしい。

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